磨硝子日記

ココナッツディスクとくま。

サンボマスターを聴いていた

朝、歩くごとにほほがぱりぱりとつめたくなる。まばたきをするたび、まぶたのきわまで冷えた涙がいきわたる。くちびるにはつや消しの深い赤をさして、片耳に髪をかけて、車窓の景色を前髪のすきまからぼんやりとながしみる。iPhoneにイヤフォンをつないで再生するのは、サンボマスターサンボマスターは君に語りかける』。

先月ココ吉のCDのところに面出しになっていて、なつかしい、よく聴いていたな、くらいの感じで買った。買ってすぐに、部屋の掃除をしながらなにげなく聴いてみようとおもってかけてみたら、なにげなく聴けなくて、掃除はぜんぜんすすまなかった。


18歳のとき、塾の冬期講習にかよった。冬休みに朝早くのる地下鉄はくらくて、気もちがふさいだ。塾の授業は12月だというのについていくのがやっとというほどむずかしかった。友達もいなかった。夜おそくにひとりで帰るのはさみしかった。そのときわたしは、サンボマスターを聴いていた。

www.youtube.com
当時aikoなどを聴いていたわたしがどういうきっかけでサンボマスターを聴きはじめたのかおぼえていないけれど、なにごとも胸をひらいてうけとめていたころにサンボマスターに出会えたことはとてもしあわせだった。いつも聴いているわけではない。だけれどもおりにふれて思いだしたようにサンボマスターを聴く。受験のとき、就活のとき、残業したとき、どうしようもなく気もちがからだにおいつかないとき、イヤフォンの音量をぐんとあげて、ただ耳から音をながしこんで、いっぱいにながしこんで、あふれるだけぽろぽろないた。

かっこわるいこととか、泥くさいことをどうしてもできなかったけれど、そんなことをいっていられないときがあって、そういうときにほんとうにかっこわるくて、最高にかっこいいロックンロールを鳴らしてくれるのがサンボマスターだから、暗い地下鉄のなかでも、このさきどうなっちゃうんだろっていうときでも、いつも愛と情熱の光で照らしてくれるのがサンボマスターだから、これからもお世話になりますという気もちでいるのだ。


ヒートテック、制服の下になんで2枚重ねで着ていたんだろ、そのうえにセーターも着て、コートも着て、マフラーをぐるぐる巻いていたのに。通勤電車のなかでおもいだす。冬は底抜けにさむいけれど、はちみつ色の日差しがあたたかくてこころづよい。

ちなみにサンボマスターのすきな曲はたくさんあるけれど『きみのためにつよくなりたい』にはいっている『新しく光れ』がとてもすきだ。

きみのためにつよくなりたい

きみのためにつよくなりたい

Mステで岡村ちゃんをみる、ココ池で東郷清丸インストア、小杉湯フェス、埼玉大学『THREETONE』へいく

鍋焼きうどんがすきだ。冷凍うどんを土鍋に入れてぐっつぐっつと煮るだけでできる。ぶよぶよになるまで煮こんで豚肉とねぎをいれて味噌味にするとおいしい。

さむくなってきたので冬物の洋服を買いたいとおもうけれど、だれにも会わないしどうでもいいやとおもって毎日てきとうな服を着た。すきな人に会うときは唯一あたらしく買った花柄のスカートをはいたりして、お化粧もきれいにするやる気がなぜかあって、ほんとうにあほあほだった。いつもなにかをたくさんたべた。ビッグマックがおいしかった。


17日、ミュージックステーションでDAOKO×岡村靖幸ステップアップLOVE』をみた。

地上波の、ゴールデンタイムの番組に岡村ちゃんが出演することはほとんどないから、ほんとうにたのしみにしていた。ちなみに3年前の11月17日には『SMAP×SMAP』に出演していたのらしい。この映像すごくすきだ。

岡村靖幸 ✖ SMAP
とにかくそもそもテレビにあまりでないし、ライブでMCをまったくしない(曲中のベイべへの声かけは『ベイべ、準備はできてるの?』『ほんとのデンス、チェンス、ロメンスは自分たち次第だよ!知ってた?』『僕はあのほんとに・・君たちを・・だいすきです!(ターン)』等いろいろある)ので、Youtubeで過去に出演した番組をみるくらいだったのだけど、なんかひな壇にすわってすんなりとタモリさんとトークする岡村ちゃん、新鮮でこそばゆかった。ジャケットの衣装に、この日はピーチバッジをつけていて、こんなに笑うのかってほどに歯をみせてる笑顔がすてきだった。
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曲がはじまるとオオオかっこいい、DAOKOちゃん青いキャットラインかわいい、足首が折れそうなほど細く、そろりそろりとした足運びがクール。岡村ちゃんのデンスがキレキレだ、あ岡村ちゃんのうしろに、白石さんがいる!!!!!!!!!バンドメンバーいる!!!!!!!!!白石さ~~ん!!!!!!!(狂乱)
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MV中盤でDAOKOちゃんを岡村ちゃんが抱きしめるシーンも完全再現されていておもわず息をのんでしまった。汗をかきながらデンスする岡村ちゃん最高にかっこよかった。おわってみればTwitterのトレンドワードに「岡村ちゃん」があがっていておどろいた。

DAOKO × 岡村靖幸『ステップアップLOVE』MUSIC VIDEO

今日で岡村ちゃんのツアーがおわるのでネタバレしてしまうけど、今回のツアーは1曲目がこの『ステップアップLOVE』だった。中野サンプラザにはDAOKOちゃんも出演したらしい。真っ赤なスーツに身をつつんだ岡村ちゃん、すごくまぶしくて、一気にぐわっとこころをうばわれた。

それから今回のツアーのカバーでは大貫妙子『都会』をやってくれて、感激した。大貫妙子トリビュートに坂本龍一が編曲して岡村ちゃんが歌っているバージョンが収録されているのだけど、大貫さんのことがとてもすきで、YOUも日本まで買いにきた大名盤で、そのなかの大名曲で、それを岡村ちゃんがメロウに歌ってくれて、とてもうれしかった。男性が歌うのもいいなとおもった。

大貫妙子トリビュートアルバム - Tribute to Taeko Onuki- (2枚組ALBUM)

大貫妙子トリビュートアルバム - Tribute to Taeko Onuki- (2枚組ALBUM)


22日、ココ池で東郷清丸のインストアライブをみた。アルバムに『2兆円』というタイトルをつけるなんて、どんな人なんだろうとおもったら、目がきらきらしてるすごくおしゃれでかわいい好青年で、こんないいお兄ちゃんなのか、とおもった。さらりと裏切られて痛快だ。


あんなに近くでライブをみるのはひさしぶりだったのだけど(いつもライブはうしろのほうでみるから)、ココ池のカウンターにちょんとすわって歌う清丸さんはなにかこう「舞いおりた」感じで、いい声でいいギターの音だった。やわらかそうな赤いスウェットがかわいくて、ほしかった。足首がすこしだけみえるパンツの丈とか、まるっこい白いスニーカーとか、かろやかですきだ。おしゃれなのにぜんぜんかっこつけていなくて肩の力がぬけていて心地よい、そういう人がすきだし、いまはそういう音楽を聴きたい気分なのかもしれないとおもった。

終わったあとに帰ろうとお店をでたら、フライヤーを手渡ししてくださった。ライブよかったですとか、そういういちばん肝心なことをちゃんといえないままに話していたら、清丸さんが自分から握手をさしだしてくれた。指がながくてきれいな手だった。ライブよかったです、アルバム聴いています、変拍子がたのしいです。


23日、高円寺 小杉湯にて『小杉湯フェス』。今回もまたすごいメンバーで、江本くんはすごいとおもった。

江本くん、ロロの『BGM』劇中歌の『サマーバケーション』がとてもよかった。ロロメンバーが見守るなかでこの曲と『ライトブルー』を歌う。『ライトブルー』のあと「エモかったっす」といって笑っていたけど、そりゃエモくもなる。

曽我部恵一、わたしはこの人をこんなに近くでみられる日がくるとはおもわなかった。男湯の従業員通用口からするっとでてきて、お客さんはみんな、すこし息をとめていたんじゃないかとおもうくらい、しずまりかえる。演奏がはじまると、曽我部さんは息をするように歌って、ギターを弾いた。生きて、音楽をつむいでいるさまというのはこういうことなのかもしれないとおもった。わたしよりも曽我部さんやサニーデイ・サービスをだいすきな人に、絶対みてほしくなって、いますぐこられないのがとてもくやしかった。演奏がおわるとまたすっと立ちあがって控え室にもどっていった。ふしぎだった。


yojikとwanda、以前カフェ・クウワでみてすきになったので、めずらしく前のほうにすわってみた。『I Love You』やっぱりとてもいい曲だ。『ナツ』という曲でみんなでコーラスをして、たのしい。お風呂で歌うのは胸がひらくような気がして、きもちがいい。

ラッキーオールドサン、弾き語りでみるとなぜかいつも泣いてしまう。今回も『ミッドナイト・バス』でぽろりと泣いてしまった。それから『I want you baby』は最高のラブソングで、この曲を聴くときのいとおしさややさしさをずっとだきしめていたいとおもった。

カネコアヤノ、最近ほんとうになにかすごくないか。とにかくなにかがすごくないか。ギターをぴっちりからだにひきよせて、じゃんとかきならせば、ぐんぐんと歌って、銭湯の天井まで全部、彼女のギターと歌声でぎゅんといっぱいにしてしまった。するどい視線と、ときどきみせる少女のようなしぐさ、つやをたたえた長い髪をうしろへながして、また次の曲を歌う。完全に圧倒されてしまった。

最後は王舟。はじめて目の前でみたけれど、彼の声、やわらかい英語の発音がとてもすきだった。湯船のなかにはいって歌ってみたり、そうしたら「濡れてる」といってみたりして、お客さんをなごませた。

今回も妄想インドカレー ネグラのカレーがおいしかった。しびれるチャイを2回飲んで、2回ともびりびりしびれた。
sentogurashi.com


25日、埼玉大学 むつめ祭ライブ企画『THREETONE』へいった。
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発表されたときから、EMCとカネコアヤノちゃんとミツメって最高、そしてDJはココナッツディスク店主 矢島和義氏、いかない理由がないのですぐに申しこんだ。

会場に着くと、矢島さんがピンク色の照明にてらされてDJをしていた。
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EMC、むつめ祭ジャケットを着て登場。元気にお客さんを盛りあげるひらのさん、ぼそっとおもしろいことをいう松本さん、一歩ひいたところから見守る江本くんが対照的だなといつもおもう。ともあれEMCはたのしい。

カネコアヤノバンド、最近ほんとうになにかすごくないか。とにかくなにかがすごくないか。会場がはちきれそうなほどの音量で、もうとにかく胸がいっぱいになった。LP『群れたち』を買えたのがとてもよかったな、としみじみおもったりした。猫抱きしめロンT(スポーツグレー)を買った。

ミツメ、『eye』と『mitsume』の曲で、わたしは完全に、ミツメをはじめて聴いたときのことをおもいだした。わたしに音楽を教えてくれた人は、ミツメがすきで、一緒にライブにいったりした。こんどワンマンがあったら一緒にいきたいとおもった。

ミツメがおわって帰ろうとしたら、矢島さんが山下達郎『土曜日の恋人』をかけてくれた。おもわずはっとして、もうほんとうにうれしくて、やっぱり矢島さんは最高だとおもった。DJブースに近づいていったら、「土曜日なんで・・」といっていてかっこよかった。
youtu.be

家に帰ってから『POCKET MUSIC』を聴いた。土曜日の夜ははじまったばかり、そのとおりだ、わくわくするきもちで、つづけて買ったばかりのクリスマスレコードを聴いたりして、寝た。

10月と11月のはじまりのこと

チョコレートをたべたい。食事をおえたあとに口さみしいと、ああチョコレートだなとおもう。中学生のとき、透明のフィルムでつつんで左右をキャンディのようにきゅっとひねったチョコレートを毎日ぱくぱくたべていたらみるみるうちにふとったので、それ以来チョコレートはバレンタインのときにこれでもかとたべるくらいだけど、ふとしたときにアーモンドチョコをがりぼりたべたくなる。

台風が2回きて、週末は雨だった。きもちがおちこんで、半分以上体調をくずした。鼻水とのどのいたみと咳がかわりばんこにやってきて、なにかしらの薬をのみながらがんばってヨガへかよった。だんだん、ポーズがとれるようになってきた。

おシャムのワンマンはほんとうに救いだったし、ココナッツディスクへたくさんいけたのもうれしかった。スカートのインストアは、出張帰りのつかれたからだにとてもしみた。

雨があがるとすこしだけからだがかるくなって、ココナッツディスクへげんきにかよった。
なにかあたらしい音楽を聴きたいなとおもいながら、知識もなくてぼんやりしていたけれど、ココ吉の壁にあったRobert Wyattのジャケの色づかいがとてもうつくしくて、おもわず買ってみた。矢島さんはおどろいていたとおもうけれど、わたしもおどろいた。それからココ池にいってBruce Cockburnを買う。ジャケのライオンが全体的にもちもちしたフォルムで、ビーズクッションみたいでかわいい。

あたまでかんがえるよりも先に、なにかたのしいことないかなというきもちで、気になったものをぱっと買う、ということにした。レビューがあふれて、自分の買ったものや聴いている音楽がかっこいいのか、いい買いものなのかということをすごく気にして、失敗のない買いものをしようとする2017年に、わたしは、星の数も点数もしらないままに、興味のおもむくものを、きまぐれにつかまえようとおもった。こういう音楽があるんだなあとおもうことは、いつでも何回あじわってもたのしいから。毎日商品がいれかわって、それもいつもおなじものがあるとはかぎらない中古レコード屋さんなら、いっそうたのしく、いろいろと興味のわくものに出会えるとおもう。いつなにを聴いてもおそくないしださくないし、すきな音楽をすきなときに聴こう。信頼しっぱなしのレコード屋さんにいけてしあわせだ。

11月になって、連休はロロ『父母姉僕弟君』を観にいった。島田桃子さんに胸をわしづかみにされた。曽我部さんの音楽がずるいほどすてきで、キャラの濃さを引きたてる伊賀さんの衣装もこころにくく、ほわほわとしたきもちで帰った。

下北沢の東洋百貨店であたらしく買った、茶色いもこもこのフリースみたいな生地の、タートルネックのプルオーバーをおろした。毛布を着ているみたいにあったかくて、自分ひとりでさわさわと手ざわりをたしかめていたのだけど、誰かにさわってほしいきもちになって、誰もいなくてすこしかなしくなった。

4日にはZepp Divercity Tokyoで岡村ちゃんのライブを観た。岡村ちゃんのライブはフリや掛け声がけっこうあるけど、最近無意識にできるようになったので、わたしもそろそろベイべの仲間にいれてもらえるだろうかとおもったりする。春のツアーの会場がZepp Tokyoだったので今回も観覧車のしたで待っていたら、チケットに「Divercity」と書いてあって、めちゃくちゃ走った。(お台場にZeppはふたつある)

岡村ちゃんはいつ観てもかっこいい。最高のパフォーマンスをすることだけに徹していてかっこよすぎる。Trafficのときにおもったけど、あの時のお客さんが『カルアミルク』『だいすき』『あのロン』から『愛おしゃ』まですべて歌えて、みんなが知っているってすごい。これまでの曲も新アレンジでかっこいいし(マニピュレーター白石さんと徹夜してつくっているらしい、岡村ちゃんは夜がつよいが白石さんはぼろ雑巾のようになってしまうとのこと)、どんどん更新されている最新がかっこいいというのはこれもまたいいことだ。ちなみに白石さんのキャラはナイスすぎてだいすきだ。いつも手をふってしまう。また次のツアーにもいこう。

最近は通勤のときにラッキーオールドサンの1stをくりかえし聴いている。ラッキーを聴いていると、わたしのみている世界はまだまだたのしいことがありそうだなとおもう。つらいときに、つらいことばかりみつめないで、もっとひろく見渡してゆけば、どこかにかならずこころをやすめる場所があるから、そういうきもちで、ときどきがまんをして、てきとうにやすんで暮らした。

続 髪の毛をめぐる話

ここ数日でなんどか「髪のびたね」と声をかけられた。
もう切りたいとおもいながらじりじりと半年ほど、「のばしながら切る」というのをくりかえして、両耳がでるほど短かったマッシュは、あごのラインでまっすぐそろったボブになった。

そもそもだれにもなにもいわれなかったら、いまもまだぱつぱつに切りそろえたマッシュをつづけていたとおもうけれど、なんやかやで、髪の毛長いの見てみたい、なんなら長くしてほしい、みたいなことをいわれることがあって、かるい気持ちで、当面は短くしない、ときめたのだった。

マッシュがすきなのはもうここ数年ずっと、一時期クールグリースをつけて、櫛でとかしていたこともありました、VIDEOさんの髪型があこがれでした。夏目くんの髪型をまねしたくて『AFTER HOURS』のときみたいなセンターわけにしていたこともあります。

髪型というのは、まわりの人にもみえやすいところだから、ショートカットの人、とか髪をひとつにたばねた人、というように、髪型でその人をおぼえたりもする。こだわりもでやすいから、その人がどういう人かとかなにがすきかを表したりもする。
わたしの場合は、髪型ときもちと記憶が密接にからみあっているから、髪を切るときには毎回一大事なんであったはずだけれど、そんなわたしも、なんかロングヘアにしたらもてるらしい、ゆるふわで、女らしくなっちゃうらしい、とかそそのかされて、かんたんに信じこんだのだから、脳みそ直列つなぎ、相当にちょろいとしかいいようがない。まあ5年もすれば髪ものびるし、とおもううちに1年がたって、いまここ。


ほんとうになんども、わたしの髪を、いったいだれのためにのばしているのだろうかとおもったし、たぶんいってくれた方もかるい気持ちでいっているとおもうから、短くしたければすればいいのに、というとおもう。だけれどどうして、そのあたりをわりきれなくている。

かくいうわたしも、男の子の真っ黒な髪をつやつやにセットしたのは、ほんとうにうっとりするほどすきで、指のとおった跡がのこる毛流れをながめていると、朝いそいでくしゃくしゃっと手ぐしでととのえたんだなぁとおもったりして、とてもいとおしい。すきな人の黒い髪はいつみてもどきどきするものだし、前髪をさわって直すくせを、できればずっとなおさないでほしいなとおもう。わたしにこういうあこがれがあるかぎり、すきな人のすきな髪型もまた、彼にとってはすてきなのだなとおもって、後ろ髪がもさもさとふえてきたのを気にしないようにして、のばしかけの中途半端な髪型をあつかう。
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先日はたとおもいだしてみつけたこの写真にわたしが写っているのだけど、黒々とした髪がたっぷりつきすぎていて自分でもびっくりした。かわいさとはなにかがちがって、ただ健康で量の多い海藻のようだ。いくら時間がたっても、髪が順調にのびていったとしても、すきな人のすきな髪型にはなれない気がした。しゅんとしたきもちに、すきな人をおもうきもちもどばどばまぜて、ごりごりとすりつぶしては、悲しみが練りあがるのをみまもっている。

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シャムキャッツ 『Friends Again』ツアーファイナル@渋谷 TSUTAYA O-EASTのこと

f:id:slglssss:20171022162541j:plain小雨のふる肌寒い夕方、渋谷O-EAST。だいすきなバンド、シャムキャッツの『Friends Again』レコ発ツアーがファイナルの日をむかえた。


フロアは、この日を待ちのぞんでいたファンでいっぱい。客入れの曲がつぎつぎときりかわるたび、こころにくい選曲ににやりとする。やがて定刻になり、暗転とともにBGMがおおきくなれば、開演だ。アルバム『Friends Again』の衣装に身をつつんだメンバーがステージにあらわれる。

夏目くんのギターのじゃきっとした音色からはじまる『Funny Face』。菅原さんの奏でるフレーズがフロアのうしろまでしみわたれば、観客はみんな胸をふるわせて、4人に釘づけになる。
アルバムからもう1曲『花草』がつづいて、MC。「今日は雨のなか」とかいわないのがいい。『GIRL AT THE BUS STOP』『KISS』でシャムギャルのハートをわしづかみにしたあと、『Four O'clock Flower』『Coyote』とたたみかける。
MCで「ワンマンは『デート』だとおもってる」と夏目くんがいえば、シャムギャルのみならずシャムギャルソンまでが首ったけだ。バンビさんと菅原さんの微妙にかみあわないトークだって愛せるよ。


この日は『Friends Again』の曲を中心に、新旧の名曲をおりまぜたセットリスト。
なんといってもかっこよかったのは、『AFTER HOURS』や『LAY DOWN』、(ダブルアンコールで急きょ披露してくれたけれど)『MODELS』といった、いままでほぼかならずセットリストに入っていたような曲をあえて選ばず、さらりと最新アルバムの曲を全曲組みこんでいたことではなかろうか。

それどころか、最新曲といままでの曲はよどみなくなめらかにつながり、『GIRL AT THE BUS STOP』は一本の太い筋がとおったしなやかな大名曲へと変貌、『マイガール』はイントロでつつみこむようなやさしさ、アウトロはつよく抱きしめてはなさないたくましさを帯びて、アンコールへきての『渚』は2017年の観客の胸を完全にさらっていった。
夏目くんの声は、あまくドリーミーできゅんとする、鉛筆でやわらかく描いた線のようなタッチをのこしつつ、『Travel Agency』のように歌がよく聴こえる曲になれば、マッキーの太いほうで描いたゴシック体のような、はっきりとした輪郭になる。
菅原さんの歌はステージの色をかえる、『Four O'clock Flower』の歌詞をつぶさに聴いて、涙がこぼれそうになる、もっと菅原さんの声やことばを聴きたい。

このすばらしいセットリスト、曲や歌声の進化ともいうべき姿は、『AFTER HOURS』『TAKE CARE』以前/『マイガール』『君の町にも雨はふるのかい?』の過渡期ともいえるような時期/『Friends Again』という局面が、けっして断絶されたものではなくて、シャムキャッツというバンドがひとつづきに歩んできた道のりであることを、ほこらしげにあらわしているのだった。『洗濯物をとりこまなくちゃ』『SWEET DREAMS』『WINDLESS DAY』ときて『October Scarf』、『手紙の続き』『真冬のサーフライダー』『マイガール』からの『Lemon』『Riviera』、そこからつづく『台北』『Travel Agency』『Hope』。シャムキャッツのこれまでのすべてが、みごとに、ツアーファイナルのセットリストへと帰結した。


アルバム発売から4か月。あの日も雨だった。出張先から帰る足でココ吉へいってアルバムを買った。シャムキャッツのお店まわりがおわったあとだったので、矢島さんが「シャムキャッツがいないのにわざわざごめんね」というようなことをいってくれたのをおぼえている。

アルバムはiPhoneにいれて、いろんなところで何度もくりかえし聴いた。
じめじめとした梅雨の日にはひときわにさっぱりと削ぎおとされた音が心地よかった。夏には、ぬけるような青空の下で『Travel Agency』のぐんぐん前にすすむビートを感じるのが爽快だったし、べたべたに汗をかく湿度の高い日本の夏には、おなじく湿気のおおい台湾のことをうたった『台北』を聴くのがすきだった。すずしい風がふいて、心がかたむくような日には『Funny Face』を聴きながらゆきばのない気持ちをなぐさめた。満員電車に乗れば『Coyote』で「いつも通りやるだけ」と言いきかせ、くたくたに疲れた帰りには『Four O'clock Flower』がしみた。

仕事につかれると音楽をたのしめなくなってきて、だんだんと聴ける曲がかぎられてくることもあった。けれども、シャムキャッツの曲は、ことに『Friends Again』の曲は、いつでも日常に寄りそってくれた。がんばれともふんばれともいわずに、うつくしい景色も、未練も、迷いも、ただありのままを見つめてすくいとってくれて、そばにいてくれるだけで、どれだけつよくなれたかわからない。同じアルバムを聴いているはずなのに、元気なときにはますます元気がでたし、つらいときには毛布のようにあたためてくれる、そういうふしぎな力がある。インタビューのなかで夏目くんが『鏡みたいなアルバム』といっていたのを読んで、はっとするほどに腑におちた。このアルバムは、聴く人のこころを映すのだ。
thesignmagazine.com
ライブ中、時折客席をうかがうように、するどい目線をなげかける夏目くん。ファイナルの日は結局ヒゲを剃らなかった菅原さん。トークがかみあわなくても最高に音がごりごり鳴っていてしびれさせてくれたバンビさん、コール&レスポンスを1回でやめちゃった藤村さん。EASTの広いステージで、メンバーのからだはひときわおおきくみえた。それはまるで、力を均等にわけあって立つ、4本の太くてがっしり頑丈な柱のようだった。『Coyote』で夏目くんが歌うのを聴いて確信した、もう「大丈夫」なのだ。


終演後のサイン会で、ツアーパンフレットの『Tetra Magazine』にサインをしてもらう。もちろん、ココ吉矢島さんのページに(矢島さんからのお手紙、みじかくてかっこよすぎてずるい)。
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すばらしい夜をともにしたわたしたちはいうのだ。

「ねえ シャムキャッツ、次のデートはどこへ連れていってくれるの?」


Siamese Cats/Tour "Friends Again" Final 10.21 SHIBUYA TSUTAYA O-EAST
01.Funny Face
02.花草

03.GIRL AT THE BUS STOP
04.KISS
05.Four O'clock Flower
06.Coyote

07.洗濯物をとりこまなくちゃ
08.SWEET DREAMS
09.WINDLESS DAY
10.October Scarf

11.手紙の続き
12.真冬のサーフライダー
13.マイガール
14.Lemon
15.Riviera

16.台北
17.Travel Agency
18.Hope

Encore
すてねこ

31 Blues

Double Encore
MODELS

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先週のこと

毎度おなじみのココナッツの話ですが、ここ最近また感謝しかなく、わすれないように書いておきます。

火曜日、出張先から帰ってきてココ吉へいったら矢島さんがいた(というのはもうお店に入る前からわかる、駐車場のところからみえる)。スーツケースをひいて一目散に銀杏BOYZ平賀さち枝をとって、レジへいく。矢島さんと話しているときに、レジの横にある鏡にうつったわたしがにこにこしていたので、われながらちょろすぎるなとおもった。
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矢島さんはいつもいろいろなことを話してくださるので元気がでる。なので仕事で疲れたらあえて行くようにしている。前にシャムキャッツの話をしていたら店内の音楽をさらっと『AFTER HOURS』にしてくださったのがほんとうにかっこよくて、むむとおもった。閉店まぎわに柴田聡子『いじわる全集』をかけてくださった日はたくさん話してしまった。この日も銀杏BOYZをかけてくれた。ちなみに銀杏BOYZのMVにココナッツスタッフの皆さんが出演されてるの、前情報なしできづいたけど、なんかはずかしくてご本人にはいえていない。
www.youtube.com
カネコアヤノちゃんのLPをココ吉へ買いにいった話が、矢島さんにつたわっていてとてもうれしかった。レコードとかCDとかをただ買うだけなら、けっこうどこでも買えるけど、わたしにとってココナッツはレコードを買うだけの場所ではもはやなくって、ほかにいろいろなことを受けとりにいっている感じがする。たとえば、カネコアヤノちゃんのLPを走って買いにいって残り2枚のところで買えたな、とかそういう、レコードを買うときの経験とか記憶をもらっている。ちょっと前にココ吉で、太田裕美の『心が風邪をひいた日』のポップに「ラッキーオールドサンファンにもおすすめ!」とかいてあって、そんなふうにコミュニケーションをとろうとしてくれるのがすばらしいとおもう(買った)。

それからココ池にもよくいくけれど、中川さんは、いつも「仕事はどうですか?」って近況を聞いてくれて、それがとてもやさしくてうれしいし、わたしが買おうとしたCDをみて、きらきらした目をして「これほんとすごくいいよ」とおしえてくれたりするのもこころづよい。あと、わたしはインスタをやっていないけど、ココ池のインスタはブラウザでみている。毎日たくさん更新してくださっていて、ほんとうにありがたくて、ひれふしている。それからココ池の壁はいつもいつも入れ替わって、いい顔がこちらを向いていてくれてたのしい。いついっても子供部屋みたいにかわいくて、いい匂いがする。スカートはなにがなんでもぜったいにココ池で買いたいとおもう(予約した)。

前にココナッツディスクとの出会いについてながながとブログを書いたことがあったけど、あのときのきもちはなんにもかわっていなくて、むしろどんどんすきになっている。音楽のことを話しているココナッツ両氏、とてもかっこいい。こんなふうにおもわせてくれるレコード屋さんほかにありますか。わたしはココナッツじゃないとだめだな。

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秋の日とホットヨガ

きのう毛布をかぶってねた。朝、家をでたときの、ウワッといういやなあつさがなくなったけど、こうも急にすずしいとそれはそれで。肌さむくなるとなぜか、さみしいのかもしれない、みたいなきもちになるのはいけない。

ユーミンの数ある曲のなかでも『生まれた街で』がすきで、このあいだふと金木犀の匂いをみつけたときにそのことをおもいだした。『MISSLIM』はとてもすきだ。

荒井由実 生まれた街で あの日に帰りたい


先週、いいようのないきもちの傾きがとても気になって、やおら近所のホットヨガ教室へ通いはじめた。ふだんはノースポーツをつらぬいているけれど、なんやらヨガというのがこころとからだにとてもよい、とにかくよい、ばつぐんに、とのことだから、おためし気分でいこうと思ったのだ。

ヨガがこころとからだにどのように作用するのか、ということについて川上未映子が書いた一節がある。

そして何が本当にすごいかというと「屍のポーズ」というのをやる最後の十分間。くまなく使ってきた体を完全に脱力して、体内から要らないものを排出するイメージを浮かべます。意識は覚醒と眠りのあわいを漂うというか、体を忘れながらに再発見していくというか、なんとも説明できないような境地に導かれていくのであります。さっきまで「これ終わったら何食べよう」なんて考えていたのに一瞬のちには「この体にこの精神が何でか一致している!」ということを言葉を介さずに感じるに至り、涙がごぼごぼと溢れたりして驚愕です。ヨガすごい。神秘的すぎ。興奮しつつにわか神秘主義者的な気持ちになってるわけで。(川上未映子『世界クッキー』、文藝春秋、2009年、27頁。)

世界クッキー (文春文庫)

世界クッキー (文春文庫)

え、ヨガで泣くの、というのが全般的な感想でして、わたしはこれを読んでからというもの、うかつにヨガにいくこともできないと思っていたけれど、前にヨガのポーズというのを試してみたときに、腕を伸ばしたり、背筋を伸ばしたり、胸をひらいたりするかんたんな動きなのに、なんとなくからだのどこからかあついものがみちみちとこみあげてくるような感覚があり、これがきっと「力」的なもの、目に見えないけどなにか、こんこんと湧きでてくるものを感じて以来、ヨガにいきたいなとうすぼんやり思いつづけていた。

予約の時間に教室へいくと健康そうなインストラクターの女性がむかえてくれて、あれやこれやと施設やコースの説明をしてくれる。肌がぴんぴんに張っていて、これがヨガ肌、とかおもう。運動する用の服をもっていなかったのでTシャツと短パンをもっていって、ここへきて急に、なぜわたしはヨガへきたのだっけか、とかおもいながらもよたよたと着替えて、ホットヨガのスタジオへ。

むあむあに蒸気がこもったあつい部屋のなかで、ヨガマットという、滑り止め的な一畳分くらいのマットの上にすわってあぐらをかく。こどものころ、あぐらは行儀がわるいといわれていたから、あまりかいたことがなくて、あぐらが下手だった。
この時点で、からだの動きはほとんどないのに、なぜかきもちがざわざわしておちつかない。からだがとまっているぶん、きもちの波立ちがぐわぐわと大きくなっていくのを感じる。涙が、ごぼごぼとあふれだしてきた。

うわ、泣いてる。これは部屋があついから汗をかいているのではない。波が堤防をかるがるとこえて、ぼろぼろと涙がこぼれる。やばい、ヨガで泣いてる。

涙はぜんぜんとまらずに、結局1時間のレッスンのうち、前半の30分は泣いていた。ヒーリングミュージックみたいなのがかかっている暗い部屋の中で、呼吸をかぞえたり、息を吸っておなかのふくらみをたしかめる。ときどき「からだの力を抜いて」とか「肩の力をゆるめて」といわれて、そのたびに涙がどぷどぷこみあげる。両腕をひらいて頭の上にもっていき、膝立ちになって、頭の上で手のひらを合わせて、そのまま胸の前へもってきて合掌する、というポーズをしたら、息を吐いたときに、だーっと涙がでてきてしまって、鏡にうつる自分がなさけなかった。

それから胸をひらいたり、胸をはったりするポーズというのをやりはじめてから、だんだんと落ちついてきて、からだの真ん中まで温まってきて、きもちがまっすぐ立ち直ってくる。指先やつま先の向きひとつで、力が入る箇所や、伸びる箇所がちがうのがわかる。わたしのからだを、わたしでうごかしてがっぷりよつ、おもいどおりにからだをうごかすのはむずかしくて、なんとなくはできなくて、でもきちんと力を通わせて、伸びるところを伸ばせば、呼吸が自然とついてくる。

レッスンが終わりにちかづくと、脱力するポーズをする。いままで使ってきたからだをやすませて、力が抜けていくのをあじわう。ここでまた、涙のビッグウェーブが、ずいずい押しよせて、ごぼごぼ泣いた。レンタルのヨガマットに涙がしみる。

終わってからスタジオのまんなかで汗と涙まみれになってかたまっていたわたしにインストラクター(20歳ウォーターボーイズ的さわやか男子)が声をかけてくれて、「どうですか?続けられそうですか?」と聞いてくれたけど、放心しきってしまって「ちょっと泣いちゃって、へへ」と答えたら「エッ、、」と驚かれてしまった。

でもそのあとに彼は「ヨガで泣いてしまう人もけっこういますよ」とフォローしてくれて、一生懸命勧誘してくれるので、いちばん手軽そうなコースを、放心しているわりには冷静にみきわめて選んだ。

入会の手続きをして家に帰るまで、毎回こんな泣くんだったらもたないな、とおもったけど、おもいかえしてみると、ヨガの涙は、かなしくないのだ。蛇口をひねると水がよどみなくでるように、ヨガの涙は力をこめなくても、力を抜けばぼろぼろとでてくる。すっきり爽快!というのともちがう。あの漫画の最後みたいに、全部だしきって白くなってしまう感じに似ているのかもしれない。ボクシングやったことないけど。


平賀さち枝の『まっしろな気持ちで会いに行くだけ』がとてもよかった。MVでさち枝さん(さっちゃんとよぶのなれなれしくてもうしわけないので)が食べているのは渋谷のピザ屋さんのどでかいピザ。

平賀さち枝 - 10月のひと
このあいだ友達につれていってもらったのだけど、彼がとちゅうで「これをかけるとおいしい」とテーブルにあったハーブのビンをさしだしてくれて、なんか急にやさしさをみた。食事をするということはけっこう、親しくないとできないよな、とおもったりする。

そういえばさち枝さんもヨガにいっているとブログにかいていたな。
まだ1回しかいっていないヨガ、こころとからだによいヨガ、がんばる。