磨硝子日記

すりがらすのブログ

年末年始のこと

あけましておめでとうございます。

年末年始のことをぼんやりしるしておきます。
今年もよろしくおねがいいたします。


12月27日
年賀状を書いて、夕方ココ吉へいく。

大掃除をしていたらしく、どこからかでてきた在庫なのか、きょうは放出だったっけかとおもうようなのが面出しされていた。
ほしかったあこがれのをみつけてしまって白目をむきながら買う。


12月28日
中学時代の友達とふたりで忘年会をする。

吉祥寺のいせやの近くのお店でまちあわせをして、ふたりそろっておちあう前にiPhoneの電源がおちるというあほあほ具合であったが、なんとなく合流した。

彼女はわたしが10年以上かかさず年賀状をおくっているひとり。

なんにもかんがえずにどんどん注文してがつがつたべながら、話したってどうにもかわらないことをこねこねとこねた。
めずらしくお酒をのんだ。
帰ってからすぐに新年会の約束をとりつけた。


12月29日
柴田聡子の神保町ひとりぼっちへいく。

柴田さんは鮮やかな黄色のモヘアニットを着ていた。かわいい人が着るモヘアニットはかわいいの2乗だ。
この日はテナガザルみたいな茶色い動物のプリントされた白のスカートをはいていた。こういう攻めているファッションもめちゃくちゃに好みである。

2曲目に歌っていた、箱のなかにはちばてつや、みたいな新曲がとてもすきだった。『後悔』みたいにヒットしてほしい。柴田さんが大ヒットしてほしい。

まえに宇多田ヒカルのカバーをやってくれたときがあったけれど、安室ちゃんのカバーもよかった。柴田さんは歌姫なのだ。

『Baby Don't Cry』、『ヒミツの花園』の主題歌だったんだな。堺雅人のシャギーな髪型がかもしだす爽やかな王子感とうすはり氷みたいな儚さがなつかしい。『アフタースクール』の木村がだいすきだ。エッセイがひらがなだらけなのもだいすきだ。『鎌倉物語』をつぎのレディースデイにみにいこう。


12月30日
年末の番組表は大股でくぎられた色つきの帯。

アメトーーク!の年末スペシャルをみる。
サンドウィッチマン伊達さんの0キロカロリー理論、東西ネタ合戦でみられたけれど、今年もアメトーーク!でみたい。


12月31日
家族と親戚と紅白をみながらお寿司とケーキをたべる。
シャムキャッツ夏目くんの「エ~~レ~~カ~~シ~~ま~~だ~~」ツイートをみて笑う。
去年はたしか「聖子ちゃんやっぱ歌うまい」みたいなことをつぶやいていて、夏目くんのそういうところほんとうにすきだ。

日付がかわる。
さっきまで並んでいた料理、味もみためもなにがかわるわけでもないけれど、なんでか、2017年につくったこれを、2018年になってちょっとたべてみる、ということにどきどきする。
子どものころ、おなじように親戚とテレビをみながらカウントダウンをして、HAPPY NEW YEAR!とでたすぐあとに、「去年は大みそかにみんなでご飯食べたよねぇ」なんて10分前のことを話したりしたのだ。
日付を書けば2018年、アルバイトをしていたときには領収書の日付を間違えるなといわれていた。

みえない日付変更線を気づかないうちにまたいで、2017年が記憶のなかへ収納されていくのをみおくりながら、すこしだけ時間を逆走して、山下達郎のサンデーソングブック 年忘れ夫婦放談を聴いて寝た。


1月1日
レコード屋さんにいっていい感じのレコードを買う夢をみる。
ちなみにお店はいったことのないレコード屋さんでたぶん存在していなくて、買ったレコードはみたことがない、おそらく架空のものなのだけれど、買いながらよろこんでいたからよかったんだとおもう。

イラストレーター oyasmurさんのミックステープ、年末年始によく聴いていた。
買ったときにはしらない曲もおおかったけれど、だんだんとしっている曲がふえてきてうれしい。まえからしっていたユーミンの『あなただけのもの』がぐんとたちあがってくるようになって、ますますうれしい。
秋田にあるコーヒーとカセットのお店、のら珈琲へはやくいきたい。

ゴッドタンのマジ歌にEMCがでていてうれしい。ゲンホシノもきっと泣いてよろこんでいる。


1月2日
初夢というのは1月1日の夜にみて2日の朝に気づくものだというけれど、2日の夢はへんだった気がするから、1日のを初夢とする。

箱根駅伝をみる。
箱根駅伝とか高校野球とかにでている男の子の年齢をいつのまにか追いこしてみると、この未来ある若者たち、このまま幸せに生きていってくれ、運動がんばって、くれぐれもけがはしないで、そのまま洋洋とひろがる前途を歩んでいってくれ、というきもちである。


1月3日
新宿へルミネのセールをみにいく。
ルミネエストのHERBSの前などがいつもにまして大混雑しており、歩くのもたいへんなくらいだったけれど、こんなのは想定内である。

セールへいったときにやってはいけないのは『○%オフ』という字面に惑わされることである。
蒼井優が菊池亜希子との対談ではなった「高い買い物は日割り計算」という金言を胸に、ショッパーを3つかかえて帰る。

『許さないという暴力について考えろ』における柴田聡子のこと

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12月26日(火)、NHK総合で放送されたドラマ『許さないという暴力について考えろ』。
又吉直樹がはじめて脚本を執筆した、渋谷を舞台にした物語。ふれこみだけで期待がたかまる。

TLに柴田さんからのお知らせがながれてきたときには、まじかとおどろき、普段ドラマをあまりみないわたしだけれど、絶対にみようとこころにきめた。

ちなみに柴田さんと渋谷といえばこれしかないですよね。電話口で「うー・・・あー・・・」と考えあぐねる聡子が最高で最高のやつ。

どついたるねんMV 大嫌いfeat.柴田聡子


物語は、渋谷という街について取材をするテレビディレクター 中村(森岡龍)が、通りがかりの服飾デザイン専門学生 チエ(森川葵)に街頭インタビューをするシーンからはじまる。f:id:slglssss:20171227232951j:plain

中村「あなたにとって、渋谷とは?」
チエ「渋谷・・・好きなんですけど、なんかたまに怖いなぁと思うときがあります」
中村「それは、治安とかそういうことですか?」
チエ「なんか、人に厳しいというか、許さないというか」


中村はあるとき、閉店間近のカフェで、店をでるよう紋切り型にいって店内の椅子を片づけはじめる店員を、客の男が「なんでコーヒー買って嫌な気分にさせられなきゃいけないの」と怒りつける場面に居合わせてしまう。ふと気がつくと中村のとなりには正体不明の老婆(宮本信子)が。店員にまくしたてる男をみて、老婆がつぶやく。
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老婆「そんなに怒らなくっていいのにねぇ。なんで許せないんだろうねぇ。」

その後も中村は、渋谷と人とのかかわりについて取材をつづける。
とちゅう、恋文屋をしていたというおっさん(でんでん)と出会って虚実ないまぜのできごとにでくわし、ふたたび老婆に出会う。
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老婆「怒りはおさまったのかい?」
中村「えっ?」
老婆「いらいらしても仕方がないでしょ?あんたのために、みんなが生きてるんじゃないんだからねぇ」

「なんで許せないんだろうねぇ。」
カフェで店員を怒鳴りつけたのは、中村自身であった。

それだけではない。タクシーを運転しながら陽気に歌う運転手に「客が乗っているときに歌わないで」と吐きすてて下車したのも中村なのであった。

老婆「こっちで、勝手に誰かを理解できないものとして排除してしまうようなことが、この街にも起こってて、どっちが怪物なのかわからないよね」

中村は、自らの「他人にたいする不寛容さ」に気づく。
同時にそれは、渋谷という街にあつまってくる人々の「許せないという暴力」でもあるのだ。


アパレル業界で活躍するチエの先輩もまた、つねに最新コレクションを身にまとうことを至上のよろこびでありステータスであると感じ、1年前に買った服を身につけるチエを「センスがない」として許さない。

そんなチエを見守るのが、漫画家で「強烈な自己を持った姉」(柴田聡子)である。
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寝巻にざっくり編みのカーディガン、ヘアバンドで前髪をあげ、首肩用のゆたんぽを装着。あたたかそうなルームシューズ。家からしばらくのあいだ一歩もでていなさそうないでたち。トレードマークのめがね。おれたちの聡子が光輪、もとい、降臨。
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姉「お昼にねぇ、ハンバーグをつくったんだが、焦げた」
チエ「ちゃんと油ひいた?」
姉「(フライパンをみせながら)みてくれ。焦げたところが悪魔に似てるんだよ」
チエ「もういいよそういうの、怖いから」
姉「生ごみみたいなにおいだが食うか?」
チエ「食べないよ」

これはあれか新曲を聴いているのか。次はハンバーグソングなのか。ていうか柴田さんがハンバーグつくってるところ想像しただけでかわいい。ひき肉こねてるだけでかわいい。フライパン焦がしてもかわいい。
それからこの独特のキャラ設定。言葉づかいがなんとも変わり者らしいけれど、それを柴田さんのやさしい話し方でいうと、自然と腑におちる感じがする。聡子すごい。
ちなみに柴田さんがチエちゃんにつくったハンバーグこちらになります。しばっさんかわいい~!レッツゴー!
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チエは先輩たちに後れをとるまいと、必死についていこうとする。部屋には、渋谷で生きていくために買いあつめた洋服があふれている。
そんなチエをみて姉はいう。

姉「チエちゃん、服買ってばっかいるけどつくんないのか?」
チエ「つくるためにいろいろ勉強してるよ」
姉「いつかやるっていうのと、実際にやるのとでは、大きな距離があって、タイミングを間違えると、永遠に始めらんないぞ」

このお姉ちゃん、先輩についていくことだけで精いっぱいで、夢にむかってどうがんばればいいのかもわかんなくなって自分を見失っているチエちゃんにたいして、なかなかに金言をさずけてくれるのだ。
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姉「チエちゃんは、人にやさしくすることは得意だけど、自分を許すことが、たまに下手になっちゃうんだよね。」
チエ「お姉ちゃんはさ、わたしとか先輩のことばかにしてんじゃない?わたし毎日渋谷で遊んでるだけじゃないよ。いろいろみて、ちゃんと勉強してんだから」
姉「チエちゃんをばかにしたことはない。でも、チエちゃんを傷つけるやつはばかだよ。ただし、いなくていいとは思わない。」
チエ「え・・・」
姉「いかれてるようにみえる渋谷って街がどこかに飛んでいってしまわないのは、そこに存在している人たちの質量が、しっかりとあるからなんだよ。」


どこからともなく人があつまってくる街、渋谷。夢をおう人も、出会いをもとめる人も、昔のおもかげをさがす人も。なんでもない人も。
だれであっても受け容れる懐の深い街、渋谷。それをいいことに、人々はそれぞれにちがう形をして渋谷にあつまって交わる。ときにぶつかる。

チエ「お姉ちゃんはいいよね、絵が描けてさ」
姉「チエちゃんも描けるよ」
チエ「子どものころ、お姉ちゃんと一緒にわたしも絵画教室かよってたけど、ぜんぜんダメだったじゃん。怒られてばっかりで。お姉ちゃんばっかりほめられてさ。」
姉「覚えてないのか?わたしは暗い色ばかり使ってて、いつもチエちゃんの絵にあこがれてたんだよ」

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渋谷という寛容の街に暮らして、お姉ちゃんは、自分とはちがう他人を許し、認めて、また他人のことを許せる自分のことを許し、愛しているのだ。


他人とちがうのがこわいから、無理をしてあわせようとして、自分を見失う。それどころか、他人にあわせようとしない人には衝突して攻撃し、排除しようとする。

だけれどもほんとうはだれしも、他人とはべつの、ひとりだけの存在なのだ。
だからこそ、自分とはちがう他人を許す。そういうふうに、だれかを許せる自分を許す。

柴田さんの口から、このことが語られたのがうれしい。ほかのだれでもない、だけれどもまわりの人を愛して、まわりから尊敬されるシンガーソングライターの柴田さんの口から。


映像を勉強されていたから演技ははじめてではないかもしれないけれど、テレビ画面でみる柴田聡子の存在感はなかなかにどっしりとあって感激する。
ひょうひょうとしていて、スクランブル交差点のような猥雑さからはなれて生きているようにみえて、本質をぐさりと突くお姉ちゃんが、柴田さんの人柄とかさなって、いっそう柴田さんをすきになった夜であった。

12月のおわりのこと

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サンタがこなくなって久しいけれど、自分のためになにか買うというのは大人の玉虫色のぜいたくだ。きょう買ったレコードだいじにしよう。

24日は山下達郎のサンデー・ソングブックで、サンソン25周年のアコースティックライブを聴いた。リアルタイムにはうとうとねむっていて聴きのがしてしまったのでradikoで。

この日のオンエア曲はTOKYO FMホールであったライブ音源から。

  • ターナーの汽罐車
  • Paper Doll
  • Bomber
  • Ride On Time
  • REBORN
  • Have Yourself A Merry Little Christmas
  • WHITE CHRISTMAS
  • クリスマス・イブ

ギター 達郎さん、ベース 伊藤広規さん、キーボード 難波弘之さんの豪華3人編成、「われわれはドラムがなくてもちゃんとロックンロールできます」といってはじまった『Bomber』、もうほんとうにびりびりしびれるファンクでかっこいい。
24日に聴く『クリスマス・イブ』は格別だ、ベタだけれどベタでいいじゃないか、最高じゃないか。
達郎さんのちょっと早口な話し方が小気味よくてすきだ。


radikoを使うたびにおもうけれど、ラジオをいつでもどこでもさかのぼって聴けるというのはラジオっ子にとって革命だ。

中学生のころなんて夜11時の番組まで起きていられなくて、何度も聴きのがしてくやしいおもいをしたな。アッ寝てしまった・・・って、目がさめた瞬間にこの世の終わりみたいにがっかりしていた。オールナイトニッポンなんて、あしたは学校だし起きていられなくて、1部を聴くのもやっとだった。だれもがそういう経験してるとおもうんだけどな。ほんとうにべんりになったものだ。

それからradikoのいいところは、ノイズがまったく入らなくてストレスがない。子どものころ住んでいた家のむかいに大きめのマンションがあって、そのせいかどうかはしらないけれど、ラジオから聞こえてくるのはノイズばかりだった。だから子どもなりに、窓際の、いちばん音がクリアに聴こえてくる場所をさがして、アンテナをたててがんばって聴いていた。いまはそんなことしなくていいんだ。この達郎さんのライブだっておどろくほどクリアな録音で感激した。

だけれどもいまさらいいたい、いわしておくれ。あの「もう二度と聴けないんだあの回、うわーなにやってんだわたし!」というくやしさと、「ここにおくと、ザーッていわない!」というちいさなうれしさをきれいさっぱりどこかへやってしまったradikoをすこしだけうらめしくおもうよ。たくさん恩恵うけているけれど。

ちなみにわたしの15歳のころの夢は「ラジオ番組をつくること」。出る方ではなくてつくる方をやりたくて、作文に書いたこともある。いまとなってはぜんぜんちがう道をえらんでいるけれど、ラジオはいまもだいすきだ。『オードリーのオールナイトニッポン』の初回にリアルタイムで立ち会えたことはちょっとほこらしい。1曲目にかかったのは電気グルーヴShangri-La』だったのもわすれない。


もうクリスマスの浮かれ気分もわすれて、年賀状の準備をして、はやくはやく年越しの準備をしなくっちゃとおもいつつ、『GO AHEAD!』を聴いたりしている。達郎さんのレコードはどれもすきだけれど、このアルバムはそのなかでも、ほとばしっていて、だいすきだ。

2017年 すきなアルバムのこと

気づけばシャムキャッツのクリスマスイベントも終わり(めちゃんこたのしかった)、大掃除にいそしんでいる。

5月にブログをはじめて半年あまり、すきなものについてたくさん書いた。すきなことをすきっていえることはとっても大切なんだって信じているから。

そんななかでも、今年はレコード&CDをたくさん買ったので、今回は2017年にわたしがすきだった(そしてこれからもすきな)アルバムを紹介しようと思います。

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シャムキャッツ『Friends Again』
説明するための言葉なんてもういらない、ほんとうにほんとうにすばらしいアルバム。ココ吉で買った日からきょうまで、何度聴いたかわからない。
アコギと、エレキと、ベースと、ドラムと、歌を基本にした、真っ向勝負で正直な音。
晴れの日も、雨の日も、あつい日も、さむい日も、たのしいときも、いやになっちゃうときも、かなしいときも聴いた。シャムキャッツを聴くと、いつもみえるものや出会う人をたいせつにしようと思うのだ。こんなふうに、日常がすてきなものなんだっていいつづけてくれるシャムキャッツがだいすき。だいすきだ。


柴田聡子『愛の休日』
大感激のアルバム。ココ吉で買って、家につくやいなやフィルムをめりめりいきおいよくあけて聴いたのをおぼえている。『スプライト・フォー・ユー』のやさしいギターの音を聴いて、ああこれが聴きたかったんだよってぽろぽろ泣いてしまったんだった。
神保町試聴室、武蔵野公会堂、代官山UNITなど数々のライブで披露されてきた曲を、満を持して収録。
ライブで聴くといつも胸がいっぱいになるくらいだいすきになっていた曲が、ぜんぶぜんぶはいっている。それも、すてきなミュージシャンたちをむかえてすばらしいアレンジになって。出張にいくとき、新幹線で『スプライト・フォー・ユー』を聴きながら富士山をみたこと、ずっと忘れないよ。アナログ盤がたのしみ。


ラッキーオールドサン『Belle Époque
やさしさのアルバム。ラッキーのライブをはじめてみたのは3月11日(土)、埼玉県久喜市にあるカフェ・クウワで、井手健介、yojikとwandaとのスリーマンだった。
そこでアルバム発売前の新曲として『フューチュラマ』や『I want you baby』などを聴いたのだけど、いい意味ですごく素朴であたたかくて、こんなバンドってあるんだ!という新鮮なおどろきがあって、すぐすきになった。それからよくよく歌詞を聴いていると、「こんなはずじゃなかったと 言いたいわけじゃない」なんて、なかなかにやるせないけれど腐りきれない気もちを歌っていて、またそれを歌っているのが現代を生きる同時代の若者っていうところが、ますますうれしくて、もっとすきになった。篠原さんが「僕らはパンクバンドをやってるんで」といっていたのがかっこよかったな。だから正確にいうとこのアルバムは「やさしさに包まれたパンク精神のアルバム」なのかもしれない。


ラッキーオールドサン『ラッキーオールドサン』
こちらは2015年に発売、クウワのライブ後にココ池ですぐに買って、ほんとうによく聴いた。
『坂の多い街と退屈』、『ミッドナイト・バス』など8曲収録。たよりなげではかないけれど蝋燭の灯りのようにバンドをてらすナナさんのボーカルと、朴訥としているけれどやわらかな篠原さんのボーカル。ゆたかなアレンジ。青さのむこうがわに透けてみえる意志を感じるアルバム。
ラッキーを聴いていると、いくつになっても自分のなかに「青さへのあこがれ」があることに気づく。大人になって、いろいろなことをしらけた目でみつめるようになっても、目にはいるものをまっすぐまなざしていたときの自分を、ふとおもいだしだりする。そしてそのときの自分にもう戻れそうもないことにも気づいてしまう。そんなときに「心配ないさ そばにいるから」といってくれるのがラッキー。おかげでなんとか元気にやっています。


山下達郎『COME ALONG 3』
「33年ぶり 3作目となる新作のリリースが決定!」ときいただけで胸が高鳴る、達郎さんの『COME ALONG』シリーズ新作。
今年はなにかと出張がおおくて、月に1度はかならず新幹線に乗っていたのだけど、そのときよく聴いていた。達郎さんの曲は部屋で聴いても最高だけど、やっぱり夏だ、海だ、タツローだ!駅弁を食べはじめるのが新横浜をすぎてからなら、達郎さんを聴きはじめるのは熱海のあたりからでは。よく晴れた日の、むかって左の窓際にすわってね。水先案内人 小林克也さんのDJもすばらしい。


Gofish『肺/ピアノのまわり』(EP)
テライショウタさんのソロ。A面『肺』はコーラスにイ・ランちゃん。はじめて再生したときのことを忘れられない。厚みのあるコーラスと弦楽器の綾なすひびきが雨のように降りそそぎ、「肺は 正常に血液に 酸素を送って 息をとめて 息を」のリフレインがただただ力づよくうつくしい。おおきく息をすいこんで、からだのすみずみまでいきわたらせたい。チェロとコントラバスが躍動的で妖しいB面『ピアノのまわり』とのコントラストにもはっとする。出会えてよかった。
年明けに発売されるアルバム『燐光』がたのしみ。


安藤明子『ドキソワーズ』
2015年発売、京都在住のSSW 安藤明子のアルバム。ココ吉おすすめの『冬におてがみ』でおなじみ。
なんとも素朴でキュートな少女のような声とユーモアのある歌詞、あたたかいサウンドで、今年の頭からきょうまでのひえた気持ちをあたためてくれました。京都など関西であつかわれているみたいなのでなかなか入手がむずかしいかもしれないけれど、まずは『冬におてがみ』を聴いてもらって(ココ吉で買ってもらって)、そのあとこちらもおすすめしたいです。来年はライブをみられたらいいな。


そして最後に、今年もとてもお世話になったレコード屋さんに感謝をつたえたいです。
ココナッツディスク吉祥寺店さま、ココナッツディスク池袋店さま、ほんとうにありがとうございます。

年始、夏、カセットの放出にいったココ吉。
ココ吉のインストアライブは今年も最高でした。ラッキーのインストアは『ミッドナイト・バス』が泣けました。カネコアヤノちゃんはお店がばこんと割れそうなくらいのいきおいで歌っていてすごくかっこよかった、お客さんぱんぱんのスカートのインストア、インディー最後の夜に立ち会えてうれしかった。
週末の夜にココ吉へいってなにかをぽつぽつ買って、矢島さんとおしゃべりするのがだいすきです。

ココ池は面出しのレコードがいつもいい顔で、毎回いれかわっていて、いくのがたのしみでした。
Gofishの7インチは中川さんが教えてくれて、こんなにいい曲に出会えてうれしかった。そんなにたくさんじゃないけれど、ときどきおすすめを教えてくれるのもうれしいし、そうやって知ったレコードをとてもすきになれたのもよかった。
東郷清丸インストアと井手健介インストア、こぢんまりしていてたのしかった。

上の写真にあるもの、達郎さん以外はすべて、ココ吉とココ池で買ったものです。
ふつうの生活のなかで、すばらしい音楽に出会えること、そういうすばらしい音楽を提供してくれるレコード屋さんが近くにあることが、ほんとうにしあわせだとおもいます。
自分ではみつけられなかったかもしれない音楽を、ココ吉とココ池がいつでもみえるところに置いてくれて教えてくれたから、今年もたくさんすきなレコードに出会えたとおもう。

それから、今年おもったことは、ココナッツディスクはわたしにとってただの買い場ではないということです。
ライブでみたバンドの音源を買おう、だったらココナッツならぜったい置いてあるはずだからいこう、そうしてライブの記憶とココナッツで買った記憶が、バンドへの気もちにくっつく。
ココナッツコメントカードをつぶさに読む(けっこう読んでいるので何人か書き手がいらっしゃることが把握できてくる)、「○○ファンにもおすすめ!」と書いてあると聴いてみたくなる、ココ吉で「ライナーノーツだれだれ」とみつけるとまんまと買ってしまう。
おすすめを教えてくれるけれど、ほおっておいてくれて、でもコミュニケーションはココナッツコメントカードとレジでちゃんとしてくれるから、ありがたいです。
あの放出のときに、あの休みの日に、あの夜に、どんなふうにレコードをみつけたのか、ぜんぶおもいだせる。どこでもいいんじゃなくて、ココナッツがすきだから!
ついついお店にいきすぎてしまうので、来年も愛想つかされないようにがんばります。よろしくおねがいします。

来年もすきなレコードにたくさん出会えるといいな。

12月のはじめのこと

f:id:slglssss:20171216230352j:plainiPhoneのバッテリーの寿命がちかいのか、86%くらいのところでも平気で電源がおちてしまう。
このあいだは朝に電車をまちながら100%の状態で音楽を聴こうとしたら、イヤフォンをさすやいなやシュンとこときれてしまってホームのうえでボーゼン、通勤時間は混雑への忍耐に心をくだくしかなかったんである。

さいわい連絡がとれなくてこまるということはいまのところないけれど、これのおかげで電源のある飲食店&座席にくわしくなった。たとえばJR吉祥寺駅改札前のスターバックスには奥のカウンター席にだけ電源がある。そこの席からは、いまはクリスマスツリーがとてもよくみえる。

休みの日にでかければ、気がつくと吉祥寺にたどりついている。
学生のころはPARCOと古着屋フラミンゴにかよっていたけれど、いまはもっぱらココ吉。なんでか週末になるとココ吉にいてなにかを買っている。

最近はyouthcomics『Shower of 411 sec.』と洪申豪『メロウ』をよく聴いている。youthcomicsはジャケもカセットのラベルもすんごくかわいくて、さわるたびいつもうれしい。『メロウ』のほうは「メロウ カセット」と検索したらココ吉ブログがでてくるというありがたさで、2015年12月9日のブログによると「これからしばらく続くであろう寒い日々、ふと手のとどくところにこのカセットがあるのはとても素敵だなー、と思います。大推薦。」だそうです。御意。

カセットを聴きながら掃除をしようとおもって結局ベッドにはいってぬくぬく寝たり、最近やっと「キャンピングカー内の家具を充実させる」という目的のもとたのしくなってきたどうぶつの森をすすめてしまって、いっこうに掃除がすすまない。まいっか。
milesapartrecords.bandcamp.com
youtu.be


先日リリースされたシャムキャッツの新曲『このままがいいね』がとてもすきだ。

このままずっと 二人でずっと 一緒にいれたらいいね
このままずっと 二人でずっと 抱きしめたままがいいね

くりかえす日常のなかにある、いとおしい瞬間と、その瞬間がずっとつづかないこと、シャムキャッツはそのどちらも愛あるまなざしで切りとった。
ずっとつづいてほしいこと、けれどもそうはいかないこと。夏目くんがひなたと日陰をいったりきたりする、光と影が印象的なMVがそのことを象徴しているのかなとおもった。でもなるべくあったかそうな場所にいたいよね。
youtu.be

きょうはココ吉でNRBQの『CHRISTMAS WISH』を買った。シャムキャッツのクリスマスイベントたのしみだな。

Mステで岡村ちゃんをみる、ココ池で東郷清丸インストア、小杉湯フェス、埼玉大学『THREETONE』へいく

鍋焼きうどんがすきだ。冷凍うどんを土鍋に入れてぐっつぐっつと煮るだけでできる。ぶよぶよになるまで煮こんで豚肉とねぎをいれて味噌味にするとおいしい。

さむくなってきたので冬物の洋服を買いたいとおもうけれど、だれにも会わないしどうでもいいやとおもって毎日てきとうな服を着た。すきな人に会うときは唯一あたらしく買った花柄のスカートをはいたりして、お化粧もきれいにするやる気がなぜかあって、ほんとうにあほあほだった。いつもなにかをたくさんたべた。ビッグマックがおいしかった。


17日、ミュージックステーションでDAOKO×岡村靖幸ステップアップLOVE』をみた。

地上波の、ゴールデンタイムの番組に岡村ちゃんが出演することはほとんどないから、ほんとうにたのしみにしていた。ちなみに3年前の11月17日には『SMAP×SMAP』に出演していたのらしい。この映像すごくすきだ。

岡村靖幸 ✖ SMAP
とにかくそもそもテレビにあまりでないし、ライブでMCをまったくしない(曲中のベイべへの声かけは『ベイべ、準備はできてるの?』『ほんとのデンス、チェンス、ロメンスは自分たち次第だよ!知ってた?』『僕はあのほんとに・・君たちを・・だいすきです!(ターン)』等いろいろある)ので、Youtubeで過去に出演した番組をみるくらいだったのだけど、なんかひな壇にすわってすんなりとタモリさんとトークする岡村ちゃん、新鮮でこそばゆかった。ジャケットの衣装に、この日はピーチバッジをつけていて、こんなに笑うのかってほどに歯をみせてる笑顔がすてきだった。
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曲がはじまるとオオオかっこいい、DAOKOちゃん青いキャットラインかわいい、足首が折れそうなほど細く、そろりそろりとした足運びがクール。岡村ちゃんのデンスがキレキレだ、あ岡村ちゃんのうしろに、白石さんがいる!!!!!!!!!バンドメンバーいる!!!!!!!!!白石さ~~ん!!!!!!!(狂乱)
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MV中盤でDAOKOちゃんを岡村ちゃんが抱きしめるシーンも完全再現されていておもわず息をのんでしまった。汗をかきながらデンスする岡村ちゃん最高にかっこよかった。おわってみればTwitterのトレンドワードに「岡村ちゃん」があがっていておどろいた。

DAOKO × 岡村靖幸『ステップアップLOVE』MUSIC VIDEO

今日で岡村ちゃんのツアーがおわるのでネタバレしてしまうけど、今回のツアーは1曲目がこの『ステップアップLOVE』だった。中野サンプラザにはDAOKOちゃんも出演したらしい。真っ赤なスーツに身をつつんだ岡村ちゃん、すごくまぶしくて、一気にぐわっとこころをうばわれた。

それから今回のツアーのカバーでは大貫妙子『都会』をやってくれて、感激した。大貫妙子トリビュートに坂本龍一が編曲して岡村ちゃんが歌っているバージョンが収録されているのだけど、大貫さんのことがとてもすきで、YOUも日本まで買いにきた大名盤で、そのなかの大名曲で、それを岡村ちゃんがメロウに歌ってくれて、とてもうれしかった。男性が歌うのもいいなとおもった。

大貫妙子トリビュートアルバム - Tribute to Taeko Onuki- (2枚組ALBUM)

大貫妙子トリビュートアルバム - Tribute to Taeko Onuki- (2枚組ALBUM)


22日、ココ池で東郷清丸のインストアライブをみた。アルバムに『2兆円』というタイトルをつけるなんて、どんな人なんだろうとおもったら、目がきらきらしてるすごくおしゃれでかわいい好青年で、こんないいお兄ちゃんなのか、とおもった。さらりと裏切られて痛快だ。


あんなに近くでライブをみるのはひさしぶりだったのだけど(いつもライブはうしろのほうでみるから)、ココ池のカウンターにちょんとすわって歌う清丸さんはなにかこう「舞いおりた」感じで、いい声でいいギターの音だった。やわらかそうな赤いスウェットがかわいくて、ほしかった。足首がすこしだけみえるパンツの丈とか、まるっこい白いスニーカーとか、かろやかですきだ。おしゃれなのにぜんぜんかっこつけていなくて肩の力がぬけていて心地よい、そういう人がすきだし、いまはそういう音楽を聴きたい気分なのかもしれないとおもった。

終わったあとに帰ろうとお店をでたら、フライヤーを手渡ししてくださった。ライブよかったですとか、そういういちばん肝心なことをちゃんといえないままに話していたら、清丸さんが自分から握手をさしだしてくれた。指がながくてきれいな手だった。ライブよかったです、アルバム聴いています、変拍子がたのしいです。


23日、高円寺 小杉湯にて『小杉湯フェス』。今回もまたすごいメンバーで、江本くんはすごいとおもった。

江本くん、ロロの『BGM』劇中歌の『サマーバケーション』がとてもよかった。ロロメンバーが見守るなかでこの曲と『ライトブルー』を歌う。『ライトブルー』のあと「エモかったっす」といって笑っていたけど、そりゃエモくもなる。

曽我部恵一、わたしはこの人をこんなに近くでみられる日がくるとはおもわなかった。男湯の従業員通用口からするっとでてきて、お客さんはみんな、すこし息をとめていたんじゃないかとおもうくらい、しずまりかえる。演奏がはじまると、曽我部さんは息をするように歌って、ギターを弾いた。生きて、音楽をつむいでいるさまというのはこういうことなのかもしれないとおもった。わたしよりも曽我部さんやサニーデイ・サービスをだいすきな人に、絶対みてほしくなって、いますぐこられないのがとてもくやしかった。演奏がおわるとまたすっと立ちあがって控え室にもどっていった。ふしぎだった。


yojikとwanda、以前カフェ・クウワでみてすきになったので、めずらしく前のほうにすわってみた。『I Love You』やっぱりとてもいい曲だ。『ナツ』という曲でみんなでコーラスをして、たのしい。お風呂で歌うのは胸がひらくような気がして、きもちがいい。

ラッキーオールドサン、弾き語りでみるとなぜかいつも泣いてしまう。今回も『ミッドナイト・バス』でぽろりと泣いてしまった。それから『I want you baby』は最高のラブソングで、この曲を聴くときのいとおしさややさしさをずっとだきしめていたいとおもった。

カネコアヤノ、最近ほんとうになにかすごくないか。とにかくなにかがすごくないか。ギターをぴっちりからだにひきよせて、じゃんとかきならせば、ぐんぐんと歌って、銭湯の天井まで全部、彼女のギターと歌声でぎゅんといっぱいにしてしまった。するどい視線と、ときどきみせる少女のようなしぐさ、つやをたたえた長い髪をうしろへながして、また次の曲を歌う。完全に圧倒されてしまった。

最後は王舟。はじめて目の前でみたけれど、彼の声、やわらかい英語の発音がとてもすきだった。湯船のなかにはいって歌ってみたり、そうしたら「濡れてる」といってみたりして、お客さんをなごませた。

今回も妄想インドカレー ネグラのカレーがおいしかった。しびれるチャイを2回飲んで、2回ともびりびりしびれた。
sentogurashi.com


25日、埼玉大学 むつめ祭ライブ企画『THREETONE』へいった。
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発表されたときから、EMCとカネコアヤノちゃんとミツメって最高、そしてDJはココナッツディスク店主 矢島和義氏、いかない理由がないのですぐに申しこんだ。

会場に着くと、矢島さんがピンク色の照明にてらされてDJをしていた。
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EMC、むつめ祭ジャケットを着て登場。元気にお客さんを盛りあげるひらのさん、ぼそっとおもしろいことをいう松本さん、一歩ひいたところから見守る江本くんが対照的だなといつもおもう。ともあれEMCはたのしい。

カネコアヤノバンド、最近ほんとうになにかすごくないか。とにかくなにかがすごくないか。会場がはちきれそうなほどの音量で、もうとにかく胸がいっぱいになった。LP『群れたち』を買えたのがとてもよかったな、としみじみおもったりした。猫抱きしめロンT(スポーツグレー)を買った。

ミツメ、『eye』と『mitsume』の曲で、わたしは完全に、ミツメをはじめて聴いたときのことをおもいだした。わたしに音楽を教えてくれた人は、ミツメがすきで、一緒にライブにいったりした。こんどワンマンがあったら一緒にいきたいとおもった。

ミツメがおわって帰ろうとしたら、矢島さんが山下達郎『土曜日の恋人』をかけてくれた。おもわずはっとして、もうほんとうにうれしくて、やっぱり矢島さんは最高だとおもった。DJブースに近づいていったら、「土曜日なんで・・」といっていてかっこよかった。
youtu.be

家に帰ってから『POCKET MUSIC』を聴いた。土曜日の夜ははじまったばかり、そのとおりだ、わくわくするきもちで、つづけて買ったばかりのクリスマスレコードを聴いたりして、寝た。

10月と11月のはじまりのこと

チョコレートをたべたい。食事をおえたあとに口さみしいと、ああチョコレートだなとおもう。中学生のとき、透明のフィルムでつつんで左右をキャンディのようにきゅっとひねったチョコレートを毎日ぱくぱくたべていたらみるみるうちにふとったので、それ以来チョコレートはバレンタインのときにこれでもかとたべるくらいだけど、ふとしたときにアーモンドチョコをがりぼりたべたくなる。

台風が2回きて、週末は雨だった。きもちがおちこんで、半分以上体調をくずした。鼻水とのどのいたみと咳がかわりばんこにやってきて、なにかしらの薬をのみながらがんばってヨガへかよった。だんだん、ポーズがとれるようになってきた。

おシャムのワンマンはほんとうに救いだったし、ココナッツディスクへたくさんいけたのもうれしかった。スカートのインストアは、出張帰りのつかれたからだにとてもしみた。

雨があがるとすこしだけからだがかるくなって、ココナッツディスクへげんきにかよった。
なにかあたらしい音楽を聴きたいなとおもいながら、知識もなくてぼんやりしていたけれど、ココ吉の壁にあったRobert Wyattのジャケの色づかいがとてもうつくしくて、おもわず買ってみた。矢島さんはおどろいていたとおもうけれど、わたしもおどろいた。それからココ池にいってBruce Cockburnを買う。ジャケのライオンが全体的にもちもちしたフォルムで、ビーズクッションみたいでかわいい。

あたまでかんがえるよりも先に、なにかたのしいことないかなというきもちで、気になったものをぱっと買う、ということにした。レビューがあふれて、自分の買ったものや聴いている音楽がかっこいいのか、いい買いものなのかということをすごく気にして、失敗のない買いものをしようとする2017年に、わたしは、星の数も点数もしらないままに、興味のおもむくものを、きまぐれにつかまえようとおもった。こういう音楽があるんだなあとおもうことは、いつでも何回あじわってもたのしいから。毎日商品がいれかわって、それもいつもおなじものがあるとはかぎらない中古レコード屋さんなら、いっそうたのしく、いろいろと興味のわくものに出会えるとおもう。いつなにを聴いてもおそくないしださくないし、すきな音楽をすきなときに聴こう。信頼しっぱなしのレコード屋さんにいけてしあわせだ。

11月になって、連休はロロ『父母姉僕弟君』を観にいった。島田桃子さんに胸をわしづかみにされた。曽我部さんの音楽がずるいほどすてきで、キャラの濃さを引きたてる伊賀さんの衣装もこころにくく、ほわほわとしたきもちで帰った。

下北沢の東洋百貨店であたらしく買った、茶色いもこもこのフリースみたいな生地の、タートルネックのプルオーバーをおろした。毛布を着ているみたいにあったかくて、自分ひとりでさわさわと手ざわりをたしかめていたのだけど、誰かにさわってほしいきもちになって、誰もいなくてすこしかなしくなった。

4日にはZepp Divercity Tokyoで岡村ちゃんのライブを観た。岡村ちゃんのライブはフリや掛け声がけっこうあるけど、最近無意識にできるようになったので、わたしもそろそろベイべの仲間にいれてもらえるだろうかとおもったりする。春のツアーの会場がZepp Tokyoだったので今回も観覧車のしたで待っていたら、チケットに「Divercity」と書いてあって、めちゃくちゃ走った。(お台場にZeppはふたつある)

岡村ちゃんはいつ観てもかっこいい。最高のパフォーマンスをすることだけに徹していてかっこよすぎる。Trafficのときにおもったけど、あの時のお客さんが『カルアミルク』『だいすき』『あのロン』から『愛おしゃ』まですべて歌えて、みんなが知っているってすごい。これまでの曲も新アレンジでかっこいいし(マニピュレーター白石さんと徹夜してつくっているらしい、岡村ちゃんは夜がつよいが白石さんはぼろ雑巾のようになってしまうとのこと)、どんどん更新されている最新がかっこいいというのはこれもまたいいことだ。ちなみに白石さんのキャラはナイスすぎてだいすきだ。いつも手をふってしまう。また次のツアーにもいこう。

最近は通勤のときにラッキーオールドサンの1stをくりかえし聴いている。ラッキーを聴いていると、わたしのみている世界はまだまだたのしいことがありそうだなとおもう。つらいときに、つらいことばかりみつめないで、もっとひろく見渡してゆけば、どこかにかならずこころをやすめる場所があるから、そういうきもちで、ときどきがまんをして、てきとうにやすんで暮らした。