磨硝子日記

すりがらすのブログ

6月のこと

梅雨らしくない日が続いている。毎日晴れるなあと思うけど、身体はなんとなくだるくて、頭はいつもどおりぼんやりしている。そんな折に、イヤフォンの片耳が断線して、聞こえなくなってしまった。EMCのたのしいかけあいが半分しか聞こえない。しかたなくAmazonをひらいて「イヤフォン カナル型」などといろいろ検索してみるけど、わたしはオーディオ機器にめっぽうよわいので、レビューを読んだところでぜんぜんわからない。とりあえず、そんなに高くなくて、断線しなければいいやと思って、普通のを買った。自分のぼんやりさにはすこしあきれる。

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3日、下北沢SHELTERへ、ラッキーオールドサンのレコ発ライブ。ワンマンをみるのは初めてだったのだけど、この日は篠原さんがけっこうMCをしていたと思う。ツアー中なので詳しい内容はひかえるとして、大傑作の2nd『Belle Époque』の曲も、もちろん今までの曲も、すばらしいバンドの演奏に彩られて、もうとにかく胸いっぱいに空気を吸い込んで深呼吸したようなすがすがしさだった。ナナさんも篠原さんも、物腰のやわらかさからは想像できないような秘めたパンクロックの精神で全編を駆けぬけていて、バンドのみなさんも魅力全開で、最高にかっこよかった。篠原さんが最後のMCで「歳をとって声が出なくなっても歌い続けたい。そして、もしそうなったら別の方法で、今までを超えるすごいものを出していく」というようなことを言っていて、ナナさんもそれにうなずいていたのをみて、しびれた。ラッキーオールドサンは“青春ポップデュオ”だけどそれだけじゃない、なにかこう、とてもロックしている。すごく尖っている。決して外からは見えないけれど、たしかに中で滾っている。このワンマンを見ていちばんそのことを感じて、これからもラッキーオールドサンを聴きつづけたいと思った。


11日。生まれてはじめて整体へ行く。仕事でお世話になっている人に「最近はハイヒールを履こうと思ってるのです、えへへ」と話したら、「ハイヒールはまず姿勢よ」と猫背のわたしの脇の下のあたりに手を当てて、ぐいと正す。するとその人が「あら、あなたむくんでるわよ」と言うのであった。脚のむくみは気になったことがあったけど、脇の下がむくんでいるのらしい。その人曰く、梅雨の時期は低気圧で、身体のいろいろなものの巡りがわるくなるのだそうだ。たしかに疲れやすい。「体調がわるいときには、薬とか飲む前に、まずマッサージよ」といわれ、ほう、と思ったのであった。
わたしはおそらく疲れが原因で、月に1度体調を崩す。ライブはなるべく土曜日か日曜日の早い時間に行くようにして、週末はできるだけ体を休めるようにしているけれど、どうにも調子がわるいことがある。もしかしてそれは、むくみと関係あるのか?でもむくみってぷよぷよすることでしょ?とよくわからないままではあったけれど、とりあえずむくんでるままというのもよくないと思って、ホットペッパービューティで検索である。「整体 むくみ」「整体 リンパ」などと検索して、近所の整体院をみつけた。
そこからはもうほとんど、群よう子の『ゆるい生活』よろしく、リンパをながしたわたしの身体は突如としてさっきまでとはちがう輪郭を現して、あれ?わたしは鳩胸だと思っていたけど、この鎖骨の下の平らで急な胸板はむくみのせいだったんですか、というか鎖骨ってこんなに前から見えるもんなんですか?あと背中の羽二重餅もなくなってます、などと、担当の整体師さんにまくしたてる始末であった。整体師さん曰く「首がやばいです」とのことで、なんでも鎖骨の下に指が入らないほど固まっているのらしい。「鎖骨の下に大きな血管があって、そこからリンパが流れていくので、ここが詰まっていると・・・」といわれて、おぞっとした。それと整体師さんに「頭、いたくないですか?」と聞かれて、「え、はい、いつもいたいです」と答えたところで、はっとした。頭がいつもいたい、それって異常事態ではないのか。仕事中はほぼパソコンを見つめているし、休んでいるときも通勤中もiPhoneの画面を見つめている。それに加えて梅雨時だから、なんとなく頭がいたいのは仕方ないことだと思っていた。でも、ふつうに考えたら、「いたい」って決して身体にいい状態ではない。仕事をしているとどうしても無理のきく身体になって、少しくらいの寝不足や頭痛やだるさなら、なんとか栄養ドリンクを飲んでやりすごしていたけど、そういうことの積み重ねが身体に老廃物などをためていくのらしく、ひいてはむくみになるのだそうだ。身体にいいことばかりをしてもいられないし、多少無理をして仕事をしなければいけないときもあるけれど、月に1度くらい来るといいですよ、とのこと。それから鎖骨の下と、膝の裏と、足首を、デスクで気づいたときにぐっぐっと押してマッサージすること。これだけでむくみ予防になるらしい。いま会社の同僚からは、やたらに首元やら脚やらをさわりながら電話しているやつだと思われているに違いないけれど、わたしはまっとうにリンパを流しているのさ。

ゆるい生活

ゆるい生活


f:id:slglssss:20170618233030j:plain18日。高円寺小杉湯にて、フォークバンケット。EMC江本くんと、シャムキャッツ菅原さん。
江本くんがいつも1曲目に歌うソロの曲、もう何度も聴いているのにタイトルをしらなくて恐縮なんですが、あの曲のこと、とてもすきだ。あの曲はどこで聴いてもすてきなのだけど、小杉湯のお風呂リバーブがかかるとさらに最高なのだ。小杉湯でゆっくり時間がながれる様子と、江本くんのやわらかい人柄に、とても合っていると思う。今日は東北でロロの三浦さんと作った曲、山形でHi,how are you?の原田さんと作った曲など、東北シリーズの曲がすばらしかった。1曲ずつ、作曲の経緯などを話してから歌うという形式もよかった。『ライトブルー』何度聴いてもいいな。音源もいいし、弾き語りもいい。江本くんの青春に対するまなざしってすごく、胸がぎゅっとする。青春へのあこがれと、思い出と、未練みたいなものがないまぜになっているような。これの7インチを手に入れられなかったことをずっと悔やんでいる。
菅原さんは、終始お風呂に張ってあるお湯で「茹だっちゃった」と言っていた。『オブリガード』、お風呂リバーブのおかげで、お風呂場のなかにひとつひとつの歌詞が浮かびあがるようだった。お風呂場の蒸気と相まってすごくほわっとあったかくなった。来週発売のアルバムから『Four O'clock Flower』、これはもうはやくアルバムがほしい。歌詞がすばらしかった。「春の風が伸びすぎた前髪の長さを教える」とはじまる、オシロイバナをめぐる、こんなにうつくしい曲。歌詞が聴いたままなので間違っているかもしれないのですが、とにかくはやく歌詞カードをみながら聴きたい、はやくはやく。『Riviera』、こちらはMikikiのインタビューにもあった、夕陽をみたあとに作ったという曲。そういえばMikikiのインタビューがすばらしかったな。mikiki.tokyo.jpリリースされたらこのインタビューを羅針盤に、何度も何度もくりかえし聴こう。『Friends Again』。
ちなみに江本くんと菅原さんでゆずの『友達の唄』をハモるというのがあって、それがなんかすごくよかったんですよね。ハモるっていいですよね。
小杉湯をでたら、ぽつぽつと雨が降りはじめた。商店街にでるころにはざーっと降りはじめて、前を歩いていた女の子たちが「ゲリラ豪雨だ!」ときゃっきゃいいながら駅へ向かって駆け出した。さっきまで湯気のなかでぽわぽわしていた頭で富士山をみつめていたのに、急にワンピースに雨が跳ねかえることが気になりはじめる。現実にぎゅんと引きもどされて、ココ池へ行った。ずっとほしかった図書館のLPを買って帰る。

(6/21追記 『Four O'clock Flower』の歌詞が間違っていたので訂正しました。失礼しました)