磨硝子日記

会社員。元書店員。ココナッツディスクとくま。

音楽を聴くときのこと

ただいま、熱海駅を通過。
今日は台風がきているのらしい。いまから大阪へ行く。
夜の新幹線は景色がみえない。みえるのは汗と湿気でべたべたの自分の顔だけで退屈だ。街も田んぼも川もみえない。富士山もみえない。


わたしに音楽を教えてくれた友達が「ミツメの『fly me to the mars』は冬に聴くのが最高だ。夏は暑いっていってるけどさ」と言っていて、なんかいまのいままでそうだよなと思ってきている。電子音が青っぽいイルミネーションの冷えた無機質さとつながって、たしかに冬の寒い日に聴くのがとてもよい気がする。彼に借りたBeach Boys、夏になるまで聴く気になれなかった。山下達郎の『Big Wave』、もうずっと前からココ池にあるの知っていたし、他のレコード屋さんにもあったけれど、暑くなるまで買わないでおこうと思っていて、やっと暑くなった昨日、ついに買った。

音楽を聴くとき、これはいつ、どんな気持ちのときに聴きたいか、と考えていると思う。
朝、お化粧をするときには、大貫妙子さんの『横顔』。いろいろな色のついたきらきらをまぶたにのせたり、唇を色づけたりする、色のかさなりは、心の機微であるなと思う。かろやかでやわらかい大貫さんの声を聴いているととてもみずみずしいきもちになる。
残業してやっと帰る金曜日の夜に、EMC。『Forever』をつづけて。これは最強に、麻薬的に、大人の玉虫色の娯楽であるなと思う。べつにクラブには行かないけど、EMC聴いているとほんとうになんでか、1週間のご褒美をもらっているようなきもちである。真正面からたのしい。
休みの日はカネコアヤノちゃん、あたたかいお昼にがらがらの電車に乗って、座席に座って車窓の景色を流しみながら聴くのがすきだ。ワンピースを着ているときなら、なおよし。
先週の土曜日の夜に、思い出野郎Aチーム『ダンスに間に合う』の7インチを聴いていたのだけど、これはなんですか、最高の週末讃歌じゃなかろうか。とにかくあまやかできもちがいい。最後転調するなんて完全にやられる、これはほんとうにすきだ。

いまは車内で柴田聡子『いじわる全集』を聴いている。『会いに行きたい』を聴きながら、会いたい人とどんどこ物理的な距離がとおくなるという、自分の首をしめるようなことをして、すこししゅんとした。新幹線のなかで急にひとりになったきもちである。このアルバムは夜に聴くとかならずひとりになって、さみしくなる。べつにそうなろうと思って聴いているわけではなくても、どうしようもなくありありとひとりであることをわからされて、くるしくなる。せめてほんとうのひとりのときにはたのしい曲を聴こう、なにを聴こう。もう名古屋に着いてしまった。