磨硝子日記

会社員。元書店員。ココナッツディスクとくま。

『シャムキャッツ×ミツメ』、小杉湯のフォークバンケット、cero presents 『Traffic』のこと

きのう久しぶり(※2週間ぶり)にココ吉へいきましたらミツメの『A Long Day』がながれてきて、そうだわたし、こないだの『シャムキャッツ×ミツメ』に行ったのだったと思いかえした。


先手のおシャムはアルバムの曲を中心に、すごくかっこいい演奏だった。とにかくそぎ落とされた感じだな、と思いつつ、わたしは木造の一軒家の建築現場を思いうかべていた。いい香りのする太い木の柱がむき出しになっている、家の骨組みが見えているあの状態。たぶん菅原さんがMikikiのインタビューでいまのシャムキャッツのことを建築にたとえて言っていたのをおぼえていて、それから連想したのだと思う。

菅原「今回、アンサンブルを作っていくうえでのテーマは、オーヴァーダビングをしないということ。だから、演奏している様子が見える作品になっていると思います。そのぶん、個々のプレイヤーのクセがめちゃくちゃ出ていて、ぱっと見は柱が1本立っているだけに思えても、凝視すると〈この釘の打ち方、めっちゃ独特だわ〉〈このニス塗りはこだわっているな〉とかそういう感じ(笑)。

シャムキャッツのライブは何度でも見にいくけれど、毎回違った発見があってたのしい。いまの『GIRL AT THE BUS STOP』や『MODELS』はより一層力強くて骨太な演奏でぐっとくる。いつも新しいことをしつづけていてほんとうに尊敬する。ツアーたのしみだな。

後手のミツメ。ライブでみるのは武蔵大学の学園祭ぶりだったけど、やっぱりかっこいい。川辺さんの声は、あらかじめ用意されている言葉のひとつひとつを残さずていねいにくりぬいていくようで気持ちがいい。あと前髪のカットラインがいつもととのっていてすてきだ。この日はセットリストも出血大サービスで、新曲も2曲もあってよかった。

思えば、わたしがいまのように音楽に親しみはじめたとき、最初に聴いたのはミツメとシャムキャッツだった。はじめて聴いたはずなのに、どれもすきだと思ったのがとても不思議だった。どうしてだろう。まあ、そのときにすきだと思ったから、いまもずっと聴いているのだろうと思うけれど。
ミツメとシャムキャッツに関していえば、ライブへ行っても普段CDやレコードで聴くときにも、いつも、最初の出会いのことを思いだしている。真夏の蒸し暑い夜、バイト先からくたくたで帰るバスのなかで、ミツメを聴いていたこと。ミツメを聴くと大学時代のバイト先でのできごとをほんとうによく思いだせる。のちに行ったWWWXのワンマンで、最後に『Disco』でミラーボールが回りだして、目の前がきらきらと光って、うつくしかったこと。そういうことを、どうしても忘れられないし、思いだしてしまう。いつまでもいつまでも、そういう頭でいて、わたしは一歩も先にすすめずにずっとひとりで、ぐるぐる同じところを回っている。言いようのない情けなさでいっぱいになって、雨の降る恵比寿の街を足早に歩いて帰った。



8月になる。
また出張のせいで、柴田聡子のライブに行けなかった。もうなんというか、縁がないのだろうかと、落ちこんだ。日ごろの行いがわるいのだろうかと、反省した。
それからはとにかく、仕事のことだけ考えて、朝から晩まではたらいた。仕事のことを考えていると、ほかのことを考えなくてすんで、楽になった。体調をすこしくずした。


お盆休み。11日、まずは高円寺、小杉湯へ向かう。ここ最近は毎回行っているEMC江本くん主催のフォークバンケット。今回のお相手は1983。
駅前を歩いているときに前から1983の面々が歩いてくるのをちらと見かけて、小杉湯へ着いて男湯をうろうろしていたら、谷口さんから「こんにちは、さっき高円寺の街で見ましたよ」と声をかけられて急にはずかしくなる。
先手、江本くん。ロロの三浦さんと一緒に作った曲、どれもいいなと思う。海に出る直前のことを歌っている曲、あの曲はなんというか、新幹線に乗っていてもうすぐ富士山がみえるとか、江ノ電にのっていて、あとすこしで目の前がぜんぶ海になるな、とかそういうときの、うきうきたのしみにするきもちに似ているなと思った。実際、海がみえると、おー海だなー、ぐらいにしか思わないもので、きっとその直前の、うきうきする気持ちを歌わなくちゃっていうのが、あの曲なのかな、と思っている。そういうところを掬いとっている江本くんはすごいと思う。
あとドラマ『デリバリーお姉さん』でカネコアヤノちゃんが小杉湯のことを歌ったという曲、「湯気から雲 あたしたち」とはじまるのだけど、「わたし」じゃなくて「あたし」といっているのがとてもすきだと気づいた。いい意味でちょっとませてる、生意気な感じがよいと思いませんか。それをまた、江本くんが「あたしたち~」と歌うのが、すごくよかった。男性ミュージシャンが、女性の言葉で歌うのって、とてもどきどきする。
後手、1983。それぞれのメンバーのライブには行っていたけれど、1983としてライブで観るのはじめてだった。
とにかくたのしそうに演奏しているところを観ていると、こちらまでいい気持ちになる。銭湯のあたたかくてゆるい雰囲気にとても合う演奏、すばらしすぎて物販でアルバム2枚買ってしまった。最後に江本くんと1983で『ライトブルー』の大合奏、すごくよかった。


小杉湯へ行ったあとは急いで新木場へ移動して、ceroの『Traffic』だ。なんといっても、今年の目玉は岡村ちゃんこと岡村靖幸である。
最近岡村ちゃんのツアーへ行くようになってから一層岡村ちゃんのことをすきになって、今回も出演が決まったときに、ほとんど反射神経でチケットを買った。
f:id:slglssss:20170814022614j:plain
会場へ着くととにかく人がすごくて、久しぶりに、こんなに人の多いところへきたものだと思う。ピーチマークのついたTシャツや帽子を身につけている人がたくさんいて、心づよい。思えばわたし、フェスにいったことないな、と気づく。それなのに丸腰で会場へきてしまって、あまりに人が多くてちょっとオロオロしながら藤井洋平氏のミラクルなステージを観たあと、DJブースへとふらふら歩いていたら、しょうたさんを見つけたので声をかける。こんなに人多くて知っている人なんて見つけられないやいと思っていた矢先だったので、知り合いを見つけて一気に安心する。

岡村ちゃんのライブ開始5分前くらいだろうか、会場は階段や2階席まで人でいっぱい、フロアではお客さんの熱気が湯気になって、巨大なミラーボールへむかってたちのぼっていた。
照明が落ちて、雷鳴がとどろく。1曲目『できるだけ純情でいたい』がはじまる。岡村ちゃん登場と同時にものすごい歓声。おお。
「Trafficベイべ、行くよ」。そこからはもうとにかく新旧の名曲たちが乱れ飛ぶ最高のステージ。
『カルアミルク』、イントロがはじまった瞬間に「オオ~」、1番が終わったら拍手喝采。白石さんタイムをはさんで(白石さんタイムあるのうれしかった)、『愛はおしゃれじゃない』のイントロ、ギターが鳴った瞬間に大歓声で、ほんとうにうれしい。まぎれもないキラーチューン。CDではBase Ball Bear小出祐介氏がつやつやの声で歌っている「マスカラつけたなら僕も」のところ、岡村ちゃんがこちゃこちゃとマスカラつけるフリをしながら歌うのが本当にすきだ。
それからキレキレのステップとターンで『ビバナミダ』、ギターをかきならして『あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう』とたたみかけ、泣く子もだまる『だいすき』、岡村ちゃん「君が!」お客さん「だいすっき!」の大合唱。全員汗だくである。

岡村ちゃんのステージが終わるとみな口々に「やばかった」「すごかった」と興奮気味に言いながら会場の外へでていく。完璧な岡村靖幸だった。かっこよすぎた。なにより皆が岡村ちゃんのことをだいすきなのが伝わってくる盛りあがりだったのがすごくよかった。


真打cero、ワクワクミツメまつりぶりに観た。
1曲目から『Summer Soul』、Cool down,Babyとは裏腹に、どんどん会場のボルテージは高まって、フロアには熱気が湯気になってもうもうとたちこめる。その湯気に照明が当たって、ステージは靄がかかった幻想的な光につつまれる。
「今日は長い時間、お疲れさまでした、ここから先は打ち上げで」という髙城さんの一声、それから山の日にちなんで『マウンテン・マウンテン』、『Yellow Magus』と、こちらも惜しみない名曲ばかりのステージ。『Contemporary Tokyo Cruise』で「うみなりかきけす」の大合唱、会場がひとつになる。「いかないで光よ、わたしたちはここにいます」、すこしでもこの時間が長く続いてくれたらいいのに、と思う。
そしてここからがかっこよくて、新曲をやってくれた。しかも、本編の最後と、アンコールで1曲ずつ。攻めている、かっこいい。


ライブをはしごしてくたくたになって、新宿のらんぶるでチョコレートパフェを食べるという悪行をはたらいた。生クリームが、悪魔的においしかった。
お盆休みの予定は、これでなくなってしまって、今日はテレビで、世界陸上競歩を観ていた。3人とも人がよさそうな選手で、これからはわたしももっとまじめに生きていこうとか思った。