磨硝子日記

会社員。元書店員。ココナッツディスクとくま。

1983『golden hour』のこと

先日、高円寺の銭湯 小杉湯にてEMC江本くんが毎月開催しているライブに行ったときにはじめて観た1983(読み方は「イチキュウハチサン」)という5人組バンドが大変すばらしかったので、物販にて、ちょうど1年前に発売された2ndアルバム『golden hour』を買った。
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これがいまさらながら、最高にすばらしい。どうしてもっとはやく気づかなかったんだ、時間を巻きもどして聴きたい、そう思うくらいの大名盤だ。

昨年末に神保町試聴室で開催された『年末木霊まつり』*1で、新間功人氏(ベースとボーカル)、関信洋氏(ギターとボーカル)、谷口雄氏(鍵盤とコーラス)による演奏が終始ほんとうにかっこよく、ミュージシャンてすごい・・・!と思ったのだけど、いま思えばあれは1983に出会うための伏線だったのか。

まず、1曲目の『文化の日』。

1983 『文化の日』 (Official Music Video)
関氏の柔らかくてやさしい、はりのある声が心地よく、それに重なる中盤からの、芯のある松村拓海氏のフルートと高橋三太氏のトランペットの綾なす旋律がうつくしい。
リテラリーな歌詞も印象的で、たとえばこの部分、情景があざやかにうかぶ描写。

赤い車が路地を 駆け抜けて
強いどしゃぶりの雨が
遅い秋に降り過ぎる

車の赤い色がそれほど広くもない路地を残像をのこしながら走り去ったあと、空が暗くなって、強い通り雨が町を洗ってゆく、秋の日。そんなふうに思った。1曲目から大名曲。

つづいて『サマーミラージュ』。
soundcloud.comはあ心地よい。夏の抜けるような高い空の下ですずしい風に吹かれたような、さわやかさ。シンセとフルート、トランペットのメロディアスな演奏がはなやかでうきうきする。小林うてな氏のかっちょいいコーラスも最高で、思わず体をゆらしたくなる。

それから個人的にとてもすきだったのが、新間氏ボーカルの『レームダック』。横浜の街の風景がちりばめられた歌詞と、細野晴臣を彷彿とさせるエキゾチックなサウンド、新間氏のセクシーな歌声。はじめて聴いたとき、どきどきして震えた。ああすきだなと思った。北京ダックならぬ、レームダックなんだね。
もう1曲、『エメラルド・シティ』も新間氏のすこしかすれた声が最高なミディアムナンバーでおすすめ。

ほかにも、夏の涼しい夜に聴きたい、関氏のファルセットがキリンジ感たっぷりのメロウなナンバー『feelin』、関氏の高音冴えわたるボーカルとポニーのヒサミツ氏、yunniko氏のコーラスの重なりがたまらない『ロデオの新恋人』、ボーカルに平賀さち枝氏が参加するなど豪華メンバー大集合、ホーンセクションが大充実で、豊かな音がぎゅうぎゅう詰まった『Windy(Album ver.)』、谷口氏のやさしくあまやかな歌声がすてきな『12AM』、パーカッションに増村和彦氏(ex.森は生きている)をむかえてパライソへ漕ぎだす『アフリカン・グラフィティ』。どれを聴いてもとても心地よい。

1983「Windy/ジョンルウ (外灘行進曲ver.)」short ver.
(『Windy』は後半。こちらはSingle ver.)
この『Windy/ジョンルウ』の動画をみてもわかるように、1983の魅力は音楽だけにとどまらない。とにかくメンバーがたのしそうなところ、これもわたしが1983をすきな理由だ。このあいだの小杉湯のライブでも、MCのたびにニコニコと顔を見あわせて話し、大きな声で笑っていて、演奏がはじまってもほんとうにたのしそうに、心躍る音ばかりを奏でていて、とても好感をもった。
こういうメンバーの「ネアカ感」、これはアルバムにも通じていて、かろやかで豊かなサウンドにも存分にあらわれている。だから聴いているわたしたちも、胸のなかに新鮮な風が吹きこむような心地よさを感じるのだと思う。1983の魅力の真髄は、この「ネアカ感」なんじゃないだろか。

というわけで、もう夏も終わりだけれど、まだまだ間にあうから、みなさん1983聴いたほうがいいですよ。今度あだち麗三郎氏とカレー屋さんでライブするらしいです。

golden hour

golden hour

www.the1983band.com

*1:井手健介氏主催。井手健介と母船、1983など東京のインディーシーンを代表する豪華メンバーによる演奏をバックに、ミュージシャンたちがカラオケを披露するライブ。原曲へのリスペクトをびしびし感じる再現度高すぎの演奏と、ゆるい雰囲気の調和が最高。井手氏が定期開催している神保町試聴室のライブ『木霊でしょうか』の年末特大版。『golden hour』でコーラスを担当しているYankaNoi yunniko氏、フルートの山本紗織氏、1983のアーティスト写真を撮影したMei Ehara氏も参加。