磨硝子日記

すりがらすのブログ

続 髪の毛をめぐる話

ここ数日でなんどか「髪のびたね」と声をかけられた。
もう切りたいとおもいながらじりじりと半年ほど、「のばしながら切る」というのをくりかえして、両耳がでるほど短かったマッシュは、あごのラインでまっすぐそろったボブになった。

そもそもだれにもなにもいわれなかったら、いまもまだぱつぱつに切りそろえたマッシュをつづけていたとおもうけれど、なんやかやで、髪の毛長いの見てみたい、なんなら長くしてほしい、みたいなことをいわれることがあって、かるい気持ちで、当面は短くしない、ときめたのだった。

マッシュがすきなのはもうここ数年ずっと、一時期クールグリースをつけて、櫛でとかしていたこともありました、VIDEOさんの髪型があこがれでした。夏目くんの髪型をまねしたくて『AFTER HOURS』のときみたいなセンターわけにしていたこともあります。

髪型というのは、まわりの人にもみえやすいところだから、ショートカットの人、とか髪をひとつにたばねた人、というように、髪型でその人をおぼえたりもする。こだわりもでやすいから、その人がどういう人かとかなにがすきかを表したりもする。
わたしの場合は、髪型ときもちと記憶が密接にからみあっているから、髪を切るときには毎回一大事なんであったはずだけれど、そんなわたしも、なんかロングヘアにしたらもてるらしい、ゆるふわで、女らしくなっちゃうらしい、とかそそのかされて、かんたんに信じこんだのだから、脳みそ直列つなぎ、相当にちょろいとしかいいようがない。まあ5年もすれば髪ものびるし、とおもううちに1年がたって、いまここ。


ほんとうになんども、わたしの髪を、いったいだれのためにのばしているのだろうかとおもったし、たぶんいってくれた方もかるい気持ちでいっているとおもうから、短くしたければすればいいのに、というとおもう。だけれどどうして、そのあたりをわりきれなくている。

かくいうわたしも、男の子の真っ黒な髪をつやつやにセットしたのは、ほんとうにうっとりするほどすきで、指のとおった跡がのこる毛流れをながめていると、朝いそいでくしゃくしゃっと手ぐしでととのえたんだなぁとおもったりして、とてもいとおしい。すきな人の黒い髪はいつみてもどきどきするものだし、前髪をさわって直すくせを、できればずっとなおさないでほしいなとおもう。わたしにこういうあこがれがあるかぎり、すきな人のすきな髪型もまた、彼にとってはすてきなのだなとおもって、後ろ髪がもさもさとふえてきたのを気にしないようにして、のばしかけの中途半端な髪型をあつかう。
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先日はたとおもいだしてみつけたこの写真にわたしが写っているのだけど、黒々とした髪がたっぷりつきすぎていて自分でもびっくりした。かわいさとはなにかがちがって、ただ健康で量の多い海藻のようだ。いくら時間がたっても、髪が順調にのびていったとしても、すきな人のすきな髪型にはなれない気がした。しゅんとしたきもちに、すきな人をおもうきもちもどばどばまぜて、ごりごりとすりつぶしては、悲しみが練りあがるのをみまもっている。

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