磨硝子日記

すりがらすのブログ

2月のおわりのこと

岡村ちゃんのツアーのチケットが当選していてうれしい。リリースがないときでも精力的にライブをやりつづけてくれるのは、ライブをみるのがすきなファンとしてはありがたい。とりわけ岡村ちゃんは半期に1度のライブをずっと続けていてほんとうにすごい。今度こそ前のほうでみたい、岡村ちゃんがターンしながらとばす汗を浴びたい。音楽にあわせて「たのしそうにおどる」のが苦手なわたしは、普段ライブにいくとせいぜいフンフンうなずくぐらいでだいたい直立不動であるが、岡村ちゃんのライブだけはべつだ。ステージの上で一心不乱に歌い、ぱりぱりのスーツで華麗なターンをキメ、ベイべいくよと囁く岡村ちゃんをみれば、全身の細胞がぶくぶくと音をたてて騒ぎだし「I give you my love」と叫ぶのである。先輩ベイベのみなさんにまじって右手を挙げながら、『Super Girl』の「♪マンションの手前で Say Good Bye」で岡村ちゃんに手をふるのも、『だいすき』の「♪僕は拍手を送りたい」で2回手拍子をいれることもおぼえた。岡村ちゃんのためだけに瞬発力および右肩の筋力と手首の柔軟性をきたえておいてもいい、それくらいに、岡村ちゃんのライブはわたしが唯一自分から「たのしそうにおどる」ことができる場所なので、5月までは元気にすごしたい。岡村ちゃんが著名人のインスタにちょこちょこ登場するのをおっかけるためだけにインスタはじめたい。ココ吉の短冊CDセールで『ラブ・タンバリン』ぜったいにほしい。財宝掲げて買いにいく。


最近ココ吉で買った新譜はSaToA、カネコアヤノ、evening cinema。どれもとてもすきだった。SaToA、なんでもっとはやく聴いていなかったのかなというくらい、すきだった。ココ吉へいったときにお店でかかっているのを聴いて、なんだかやっぱりSaToAとココ吉があっているとおもった。おたがいは仲のいい友達だとおもっているけれど、まわりからみたらつきあっちゃえばいいのに!とおもうような男女みたいに相思相愛なかんじがした。というか実際もそうだからそう聴こえるのか?とにかくだからこそ、SaToAのことをすきな人はココ吉のこともすきなわけだし逆もしかりなんだろう。BGMがいいレコード屋さんはきもちがいいです。7インチをいくつか買ってその日は帰りました。


カネコアヤノちゃんのカセット『序章』、こちらもよかった。ケースを裏返したら、カセットのすきまからジャケの裏側にデザインされたアヤノちゃんの顔がのぞいて、おもわずうわっ!と声がでた。カネコアヤノちゃんはいつもパッケージをあける瞬間からときめくプロダクトづくりに心血注いでいるのがびしびし伝わってきてほんとうにやられてしまう。レコード屋さんへいき、手にとって触ってたしかめて、家についてビニールの封をぺりぺりとあけて、ジャケットを表裏ながめてから、歌詞カードを取りだして、1ページずつていねいにめくりながら再生する、彼女はそういういとおしい営みへのまなざしを結晶にして手のひらにおさまる大きさにぎゅっとつめこんでいて、きっと彼女も同じ時代を生きながら同じように音楽を聴いて生活しているのだろうとおもわされるし、彼女をささえる人たちもきっとそうなんだろうとおもう。ちなみに音源とは違ったすさまじい魅力のあるライブで最近すきなのは新曲『アーケード』、いつものようにギターをびっちり身体にひきよせてじゃんとかきならし「君って歯並び悪いね 今気づいたよ」と歌ってのける彼女に完全にノックアウトされた。まるでiPhoneで連写したときに予期せず撮れたいちばんいい1枚のように、うつくしい日常の偶然も(必然も)のがさず切りとるアヤノちゃん。ほんとうに目が離せない。


それから個人的に声を大にしてだいすきだと宣言しているevening cinemaですがアルバムほんとうにすばらしかった。インタビューやレビューをみているとひたすらに「○○っぽい」という言葉がならんでいるけれどもそれこそが「原田夏樹っぽい」なんでは、とおもうこのごろです。つまりは、彼のユーモアと、先人たちへのリスペクトをもってして「あ~これは○○っぽいな」とまんまとおもわせながら、原田夏樹のロマンティックを織りこんだ、だれでもない2018年のバンド「evening cinema」へと昇華させているというのがかっこいい。シックなスーツを着た原田さん、ロゴがど真ん中にデザインされたジャケをみて、わたしはにやりとしたわけですが、それさえも原田さんからしてみればしてやったりだというわけで、とても痛快なアルバムである。こちらもココ吉でかかっているのを聴いたけど、なんか胸がどきどき高鳴ってレコードを繰る手がふるえた。ライブへいったらきっと、たのしそうにおどれるかもしれない、なんだかそういう気がしました。