磨硝子日記

すりがらすのブログ

6月のこと

後ろ髪のある生活にも慣れた。去年のいまごろはマッシュをやめようと決意したのだったが、いまでは襟足がぱっつりそろったボブになっている。部屋の床に寝転がったときにぬけた髪をみつけると、しみじみと、こんなに長くなったのかとおどろく。
このあいだすきな人と焼肉をたべていたら髪伸びたよね~といわれ不覚にも肉を口に運ぶ手がとまってしまう。すきな人がわたしをすきになることは一生ない、地球が逆回転してもない、ロングヘアだったころからずっと小松菜奈がすきだそうだが急にショートになった彼女をかわらずかわいいという彼は畢竟かわいい子がすきであるのは明白で、それは髪型云々の問題ではなく、わたしのようにかわいくもなく憎たらしいばかりでなおかつうまく会話をかみあわせることもできないやつには興味もないとおもうけれど、ここまでしりあいとしてお付き合いいただけてそれだけでありがたいとおもうばかりだ。夏になると色白の肌がまぶしくてガラス玉のような目を直視することなどかなわず会いたいけど会いたくないしいまだにうまく話せません。一生すきになってくれなくていいからずっとしりあいでいてね。


5月の末から風邪をひいたりなどでどうにも体調がわるく、最近お世話になっている整体のあおやぎさんのところへ6月のはじめにお邪魔する。あおやぎさんのことはスカートの澤部さんのツイートでしる。
あおやぎさんの施術は凝っているところをゴリゴリ揉んだり叩いたりせず素人目には何をしてもらっているのかわからないのだけど、うつぶせになったりあおむけになったりしているうちに気がつくとほぼ眠りにおちている。毎回あおやぎさんの一挙手一投足をじっとみたりさわってもらっている部位に気をくばってみたりするけれど結局わからず、でも施術をしていただくと1日後、2日後と目にみえてぐんぐんと体調が上むきになり、体のなかや頭のなかのとどこおりがほぐれていくような気がするというすばらしいもので、ご本人のおだやかでやさしいお人柄(会えばわかる)ともあいまって、もう無理しんどすぎるというときに予約をいれさせていただいている。わたしの語彙のすくなさからあまりつたわっていないとおもうけれど、いままでゴリゴリ揉んでもらう整体があわず、体の疲れがどちらかといえば気もちからはねかえってくるわたしのような人にとって、あおやぎさんがいてくださるのはたいへんこころづよい。
あおやぎさんはご自宅で施術をされているので、施術をしていただいているあいだもかたわらにある本棚にならぶ本やCDがずっと気になる。中医学とか整体の本はもちろん坂口恭平とかくるりの7インチとか上の方には『20/20』もある。
ちなみにあおやぎさんの整体へかよおうと決意したのははじめてお邪魔したときに玄関をあけた瞬間である。ドアをあけると3月にあったイ・ランのジャパンツアーのフライヤーがよくみえるところに貼ってあったからだ。
自分ひとりのことさえもなかなかおだやかにたもっていくのがむずかしいけれど、他の人の痛みやつらさをわかってくれようとして力をかしてくれる人の無償のやさしさがありがたく、尊いとおもう。そういうやさしさをうけとって、わたしはどうすれば他の人へくばっていけるのか、そういう人になりたいといつもおもって、結局また大切な人を傷つけてしまう。仲直りがしたい。


イ・ランのジャパンツアー東京公演ではあまり知り合いに会わなかったのだけれど、最近リーファンデさんもいっていたとうかがっておどろく。あの場にいたんだね!といわれて、彼に2018年に出会えたことは偶然ではないなと確信する。先日リーさんの主催するバンド、Lee & Small Mountainsの自主企画へいったのだけど、この日このライブへいけてほんとうによかったといまだにかみしめている。はじめてみたシアターブルックTHE NEATBEATSはどちらもでてきた瞬間からしびれるほどかっこよく、演奏にも心のもちようにも鋼のように一本の筋がとおっていて、またあたらしい音楽に出会えてよかったと心の底からうれしかった。最近、自分がこういう音楽もすきなんだなと気づくことばかりで、あまり得意ではなかった黒地に赤い字のレコード屋さんへいきちょこちょこと買いあつめたり、いったことのないライブへいきなりいったりしている(昨日の野音カーネーションすばらしかった)。
リーさんはライブ中以外は(こんなことをいうのもあれだけど)ほんとうにほんとうに普通の青年という言葉がびったしはまる青年で、いるだけでオーラがめらめらとでているとかそういうタイプではないのだけど、ひとたびステージにあがりGUILDのギターをかまえれば、たちまち青き炎を燃やすソウルミュージシャンになるのだ。わたしはこの瞬間を目撃するのが、ほんとうにすきだ。MCでは話したいことがあふれてしまうのか毎回話がまとまらなくなってしまうのだけど、それをみまもるお客さんのまなざしもあたたかく、リーさんのライブにはまたすぐにいきたいとおもっている。THE NEATBEATSのレコード、ジャケがかっこよすぎる~



インスタグラムをはじめてまたいろいろなものをしるようになる。ストーリーズというのはツイッターとかインスタのふつうの投稿とかましてやブログみたいにばっちりのこるところにはちょっと書くのためらうけれどだれかみている人(とくにつたわってほしいあなた)へつたわってほしいよ、ということを発信する場なのだな~みたいなことをなんとなくかんじ、ストーリーズにライブの感想とかいま聴いているレコードのこととかのせはじめると、ブログにじっくりかんがえをのこすこととかなんだかはずかしい(これまでさんざんやったのに)みたいな気もちにもなりかねず、ストーリーズみたいな一瞬の熱量にまかせる伝え方に慣れている方は、わたしのブログを読んで、よくこんなことずっとのこしておけるな、とかおもうんだろうかとかおもってしまう。でも何回か前のブログに書いたのだけど、わたしはブログに自分の気もちを書いて、自分の気もちをとっておくことが大切だとおもっているんだよ。すぐに書けないときはストーリーズにのせてしまうこともあるのだけど、わすれたくなくて書いておいたことが、のちのちはからずも自分をはげましてくれることに気づいて、なんとか書けるときには書くことにしている。
ところでリアルの世界で直接みられないことを「それインスタでみた~」といえるようになるのがふしぎでたまらなかったのだけど最近はそういうものなんだなとおもえるようになっている。しらない人の、心のなかとか、何を食べているのかとか、部屋の壁紙のもようとか、最寄り駅のホームの点字ブロックとか、こんなにふつうにみられるのってすごくないですか。