磨硝子日記

すりがらすのブログ

ほんとうにすきな化粧品2020【メイクアップ編】

わたしにとって「化粧をする」とはなんであるのかを、ほとんど片時もわすれずに考えつづけた1年であった。あるときは新宿伊勢丹の発光する化粧品売場で、あるときはファンシーグッズがひしめくプラザのコスメコーナーで、またあるときはiPadからのぞく海のむこうのECサイトの上で、おもうままに色を、輝きを、うるおいをもとめて歩きまわっては、心地よいものを身の回りに集めるということを、絶えずしていた。変わってしまう日常に背骨を曲げられるようなおもいをしながら、どうにかもとの呼吸をとりもどし、自分で機嫌のとれない自分を慰めようとしていたのかもしれない。

朝、きれいに仕上げた化粧を、自分にさえ見せることなく覆い、再びそれを目にするころには崩れさせてしまうということを何度も繰り返す日々にあって、それでもなお化粧をすること自体をすべてやめてしまおうとおもわなかったのは、誰に見せるためでもなく化粧をする、ということが、わたしの心のよりどころであるというほかにない。肌を、髪を、見た目の上で華やかに、つやつやと、整えてみせてくれるだけでなく、そのきらめきは胸の中にも宿り、うるおいは心のひだのひとつひとつの間にも浸みて、身につける時には胸をはずませ、あるいは洗い流した後にまた愛着をはぐくむようなものであったのだ。

自他ともに認めるコスメオタクであるわたしがほんとうにすきな「マイベストコスメ2020」、心地よさをもとめた1年の記録を紹介します。

選定基準

  • 毎日使っていたもの
  • なくなったら買いたさないと困るもの
  • 使っていていい気もちになり、心がみたされるもの

ほんとうにすきな化粧品2020【メイクアップ編】

勇気を引きよせる口紅

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  • NAMING. ソフトマットリップスティック ミーニングレス
  • NAMING. ソフトマットリップスティック スモーキーブリック
  • rom&nd ゼロマットリップスティック #16 ダズルレッド
  • rom&nd ゼロマットリップスティック #14 スイートピー
  • hince ムードエンハンサーマット シグネチャーミー
  • WHOMEE マットリップクレヨン コットンキャンディ
  • Maybelline スーパーステイマットインク #150 サヴァン

口や唇というのは、生きていく上でとても大切な器官のひとつだとおもう。息を吸って吐く、ものを食べるという生命維持のために必要な働きをもっているし、あるいは考えや気もちを伝えたり、歌を歌ったり、微笑んだり、キスをしたりと、口や唇を使って何かを伝えることもできる。しかし、それがずっと覆われる日々が突然やってきたとしたら?

リップを塗るとマスクに付いてしまってがっかりするというのももちろん現実的なこととしては感じるけれど、わたしにとってはそれ以上に、口元がマスクで見えないということ自体が、何か大きなものが失われ、不安のもとになっているような気がしてならなかったのだ。

しかし今日もわたしたちは、マスクの内側で言葉を発し、目が合えば微笑む。キスをするのは、本当に愛する人とだけに。誰にもしられなくたって、ちゃんとそこにあるということを、ありありと感じるのではないだろうか。ならばいっそ、息を吸って吐き、ものを食べ、体に力をみなぎらせる口に、ほんの少し鮮やかな色を。

NAMING.やrom&ndは、パウダリーな仕上がりでもっともマスクにつきにくい。繊細に振りわけられたカラーバリエーションも豊富で、特にrom&ndのほうは、パッケージにあるロゴの色で中身の色を示しているという細やかさが、何とも心にくいのだ。

一方でhinceのリップは、マットでもしっとりとした塗り心地。使い心地もさることながら、キャップを開けたときの佇まいも美しく、背筋までしゃっきりとしてくる。

実用的なこともあって、ベタつきがなく薄膜でつくマットリップばかりだけれど、どれもマスクにこすれれば少しは付いてしまう。それでもいい、わたしの言葉も、声も、この色に勇気づけられてここにある。それだけで心づよい日々なのである。


整えるベースメイク

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  • NARS ライトリフレクティングセッティングパウダー(プレスト)
  • LANEIGE ネオクッション(マット)
  • rom&nd ゼロクッション
  • NAMING. プレイフルクリームブラッシュ トレラント
  • ADDICTION チークスティック #02 ノクターン
  • Visée トーンアッププライマー
  • goodal グリーンタンジェリン ビタCダークスポット トーンアップクリーム

ノーファンデメイクが卑近な現実になって久しい。マスクに付かないファンデというのもいろいろ聞いたけれど、結局「まったく付かない」というものはなく、カラー下地やトーンアップUVに助けられて、ごく薄いベースメイクに落ちついた。

goodalのトーンアップUVは、最近の日焼け止めではあまりない、仕上がりのツヤが少ないタイプ。日焼け止めの白浮きを現代版にアップデートしたような白っぽいトーンアップ効果なのだけれど、グレーっぽくならず、白すぎるわけでもなく、ベタつきやきしみ感もなく、毎朝塗るのにとても心地よかった。マスクをつける時にはこの上にviséeのパープルの下地、家にいる時にはLANEIGEかrom&ndのクッションを塗リ、NARSのライトリフレクティングセッティングパウダーをブラシでかぶせる。

クッションファンデは今年になってはじめて、きちんと使いこなせたという実感があるのだけれど、もはや付属のパフを使わず、指で塗るというのが、指先の感覚を頼りにムラなく塗れるという結論にいたった。
LANEIGEはマットタイプの中でもややうるおいがあるように見えるタイプ、rom&ndはもっとマットでフォギーに見えるタイプで、わたしはどちらかというとrom&ndの方が好みなのだけれど、指塗りのかぎりでは、厚塗り感みたいな概念が吹き飛ばされるくらいに自然。そして信じられないくらいに崩れにくい。

チークはADDICTIONのブラウンと、NAMING.のベージュ。NAMING.のほう、外観は元気なコーラルピンクが出そうかとおもいきや、塗ってみると意外と彩度が低い。どちらも、アイメイクとリップの間に入って「わたしはベースメイクです」と謙虚な姿勢なのだけれど、あっぱれ縁の下の力持ち。

化粧が崩れることを前提に化粧をする、というちょっとわけわからない矛盾のなかでは、ノーメイクから、色をのせてもOKな程度に肌を清潔にし、これはよそ行きなのですという肌に整えるくらいがちょうどいいなとおもう。なおrom&ndのネオンムーンコレクションのファンシーなかわいさはドツボです。


盛るアイブロウ

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  • WHOMEE アイブロウパウダー Bオレンジブラウン ※ディズニーストア限定
  • WHOMEE アイブロウパウダー Nブライトブラウン
  • CLIO キルブロー オートハードブローペンシル #1 ナチュラルブラウン

ただ毛の足りないところに描き足す、補うためのものではなく、色や質感を足してみるというのがアイブロウの好みであった気がする。

まず、これだけは毎日使っていたんではとおもう、CLIOのペンシル。パウダーを使う前の下地作りとして欠かせなかった。なぎなた型の芯がとにかく描きやすく、形はもちろんのこと、しっかりと輪郭を取れるくらいに柔らかいのがよい。
日本の多くのアイブロウペンシルは、不自然な描きました感が出ないよう、あえて芯を固くし、筆跡が残らずふんわり描けるようにしているものもあるけれど、わたしのように左右のバランスを整えたい時や、パウダーを載せる前の下地作りをしたい時には、このしっかり描けるタイプが向いているとおもう。韓国のYoutuberのメイクチュートリアルを見ていると、クッションファンデでベースを作った後にパウダーを使わない人も多いけれど、そういう時にもこのCLIOのような、すべらずしっかり描けるアイブロウペンシルがいいんだろうな。

そしてパウダーに使うのはもちろんWHOMEE。Nブライトブラウンはここ最近で一番の底見えアイテム。中央の彩度の低いピンクが何とも絶妙で、毛の黒さを和らげ、後からのせる黄みのブラウンを受け入れやすく、さらになぜか眉に赤みを足すことで顔色をよく見せてくれる。ディズニーストア限定のBオレンジブラウンは、パール入りのオレンジを最初か最後にふわっとのせることで、フィルターをかけるように輪郭をソフトにしてくれる。

最後に、その日使ったマスカラを眉にものせて、毛のボリュームと統一感を出して完成。眉、まだまだ盛れる。


ご自愛するアイメイク

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  • BABYMEE ニュアンスカラーマスカラ ボルドーブラウン
  • WHOMEE ロング&カールマスカラ モーブパープル
  • dasique シャドウパレット #04 パステルドリーム
  • WHOMEE マルチペンシルアイライナー シェルピンク ※ディズニーストア限定
  • COLOURPOP BFF Crème Gel Liner Get Paid
  • excel アイプランナー R05 シナモンフィグ
  • マジョリカ マジョルカ シャドーカスタマイズ(フローティング)BR701 花言葉
  • BABYMEE ニュアンスカラーシャドウ コーラルピンク

マスクから出ているとはいえ、アイメイクの細かな変化は、自分以外の人に気づかれにくいところではないだろうか。わあとときめくような輝き、目に生気が宿るようなつや、ハズシでちょんとのせた色み、それらはこの3.5cm×2cmたらずのスペースに表現され、顔を近くで見られることもなければ、わたしには撮影した写真をアプリで加工する腕もないので、すんと座っていれば、誰にも違いを気づかれることはなく、わたしの感じる気もちよさを分かちあうこともないだろう。それでも、わたしだけがわかっている、イケていると肯定し、身につけたいものを身につけていることが、喜ばしいことなのではとおもうようになった。

dasiqueのゆめかわいい9色パレット、マジョリカマジョルカのほろほろとほどけるグリッター、まぶたをふっくらと見せるexcelやWHOMEEのシングルシャドウ、下まぶたに入れるとジュルっとしたつやがかわいいWHOMEEとColourpopのペンシル。塗ると黒か茶色に見えるのだろうけど、実はボルドーや紫のマスカラ。この色を、きらめきを纏えるということが嬉しい。鏡に映る自分をみて、よし!とおもう。アイメイクはそういうご自愛のようなものだとおもうのだ。


(スキンケア編に続く)
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