毎週水曜も休みだったらいいのに。こんなふうに週の真ん中で休めれば、先週のやり残しを片付け、次の週末の準備もできる。今日は、掃除をして、通販の荷物を開封して片付け、それから明太フランスとカスタードクリームの入ったデニッシュを吸いこむように食べて少し眠たくなったあと、結局昼寝はせずに2時間半ほどピアノを弾き続けた。
発表会が近いので、いい弾きこみになった。久しぶりに最初の20分はハノンで指をほぐしてみたけれど、やっぱりこれは毎回やったほうがいい。指さばきが格段に良くなるのだ。同じ運指の繰り返しだけれど一音ずつはっきり弾かなければならないのでなかなかハードかつ退屈だけれど、今度こそハノンを習慣づけると心に決めた。それから先生と連弾で弾くことになっているMrs. GREEN APPLEの『ライラック』を練習した。わたしの通っているピアノ教室の発表会はキッズが多いので、その時々のポップソングと、自分のすきなクラシック曲を1曲ずつ演奏させてもらっていて、今回のポップソングは誰でもしっている曲が良かろうと、この曲を選んでみた。ミセスといえば突然の転調とか凝ったコード進行がてんこ盛りで、伴奏を弾いてくれる先生(もちろんクラシックの定石を体で覚えてきた方)は、譜読みをしながら何度も「こうはならんやろ」というリアクションをしていた。メロディラインを担当しているわたしのほうは、ギターのフレーズがピアノで再現されているところが早くて、とても難しい。ギターは弾けないのでわからないけれど、ギターだったらもう少し弾きやすいのではと勘繰っているが、今日はハノンで指慣らしをしたのでいくぶん粒立ちの良い音で弾けたとおもう。メロディ部分は大森元貴のハリと独特の節回しのある歌声を再現できるように謎のアクセントをつけたりして弾いている。弾いているほうとしてはかなり大袈裟にやっているつもりなのだけれど、録音して聴いてみると大してクセの強い感じには聴こえないので不思議である。あとこの手の曲は、弾いているととてつもなく早く感じるが、だからといってテンポを落とすと途端に小ダサくなるので、どんなに忙しくてもテンポを落としてはいけない。そしてとにかく元気な体で明るい音で弾くことだ。弾くことに一生懸命になると、真面目でこぢんまりした音になって本当に面白くなくなってしまう。はじけるような元気さをたくわえておかなければ。
それからもう1曲は、ドビュッシーの『沈める寺』を練習している。この曲は印象派展の音声ガイドでBGMになっていて、いつか弾いてみたいとおもっていたのだが、ドビュッシーといえば読譜が面倒で、曲が完成するまでは苦痛の時間だった。そして読譜をするだけではどう弾いていいかわからない部分もあったり、もはや楽譜には書いていないが慣習的に(?)「ここからの音符は全部半分の長さで弾いてね」みたいなゾーンもあるので厄介すぎる(半分の長さで弾くなら半分の長さの音符で書いてほしい)。それでも、やっと通して弾けるようになってからは、この曲の構成やストーリーを楽しめるようになってきた。ドビュッシーの曲はいつもこのゾーンに入ってくると一気に奥深くて弾きこみ甲斐がある。『沈める寺』とは教会のことで、フランスの伝説がモチーフになっている。ある街の大聖堂が不信心のために海底に沈み、再び海の中から水をざばざばと押しのけて浮かびあがる様子、そしてまた静かに沈んでいく場面が描かれているといわれている。中世風の讃美歌をおもわせるような和声、鐘の鳴る堅くて澄んだ冷たい音、徐々に勢いをたたえていく水の流れ、水の中へ教会が沈んでいく音など、とにかく色々な音と響きをひとつひとつ仕上げていくような練習がとても楽しい。発表会の曲はいつも自分で選んでいるものの、今回はとにかく本番の1回でおもったとおりに弾きたいという一心で練習を続けられており、すごく健康的な精神状態だ。週末もまた練習時間を取って弾いてみようとおもう。