磨硝子日記

すりがらすのブログ

1983『golden hour』のこと

先日、高円寺の銭湯 小杉湯にてEMC江本くんが毎月開催しているライブに行ったときにはじめて観た1983(読み方は「イチキュウハチサン」)という5人組バンドが大変すばらしかったので、物販にて、ちょうど1年前に発売された2ndアルバム『golden hour』を買った。
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これがいまさらながら、最高にすばらしい。どうしてもっとはやく気づかなかったんだ、時間を巻きもどして聴きたい、そう思うくらいの大名盤だ。

昨年末に神保町試聴室で開催された『年末木霊まつり』*1で、新間功人氏(ベースとボーカル)、関信洋氏(ギターとボーカル)、谷口雄氏(鍵盤とコーラス)による演奏が終始ほんとうにかっこよく、ミュージシャンてすごい・・・!と思ったのだけど、いま思えばあれは1983に出会うための伏線だったのか。

まず、1曲目の『文化の日』。

1983 『文化の日』 (Official Music Video)
関氏の柔らかくてやさしい、はりのある声が心地よく、それに重なる中盤からの、芯のある松村拓海氏のフルートと高橋三太氏のトランペットの綾なす旋律がうつくしい。
リテラリーな歌詞も印象的で、たとえばこの部分、情景があざやかにうかぶ描写。

赤い車が路地を 駆け抜けて
強いどしゃぶりの雨が
遅い秋に降り過ぎる

車の赤い色がそれほど広くもない路地を残像をのこしながら走り去ったあと、空が暗くなって、強い通り雨が町を洗ってゆく、秋の日。そんなふうに思った。1曲目から大名曲。

つづいて『サマーミラージュ』。
soundcloud.comはあ心地よい。夏の抜けるような高い空の下ですずしい風に吹かれたような、さわやかさ。シンセとフルート、トランペットのメロディアスな演奏がはなやかでうきうきする。小林うてな氏のかっちょいいコーラスも最高で、思わず体をゆらしたくなる。

それから個人的にとてもすきだったのが、新間氏ボーカルの『レームダック』。横浜の街の風景がちりばめられた歌詞と、細野晴臣を彷彿とさせるエキゾチックなサウンド、新間氏のセクシーな歌声。はじめて聴いたとき、どきどきして震えた。ああすきだなと思った。北京ダックならぬ、レームダックなんだね。
もう1曲、『エメラルド・シティ』も新間氏のすこしかすれた声が最高なミディアムナンバーでおすすめ。

ほかにも、夏の涼しい夜に聴きたい、関氏のファルセットがキリンジ感たっぷりのメロウなナンバー『feelin』、関氏の高音冴えわたるボーカルとポニーのヒサミツ氏、yunniko氏のコーラスの重なりがたまらない『ロデオの新恋人』、ボーカルに平賀さち枝氏が参加するなど豪華メンバー大集合、ホーンセクションが大充実で、豊かな音がぎゅうぎゅう詰まった『Windy(Album ver.)』、谷口氏のやさしくあまやかな歌声がすてきな『12AM』、パーカッションに増村和彦氏(ex.森は生きている)をむかえてパライソへ漕ぎだす『アフリカン・グラフィティ』。どれを聴いてもとても心地よい。

1983「Windy/ジョンルウ (外灘行進曲ver.)」short ver.
(『Windy』は後半。こちらはSingle ver.)
この『Windy/ジョンルウ』の動画をみてもわかるように、1983の魅力は音楽だけにとどまらない。とにかくメンバーがたのしそうなところ、これもわたしが1983をすきな理由だ。このあいだの小杉湯のライブでも、MCのたびにニコニコと顔を見あわせて話し、大きな声で笑っていて、演奏がはじまってもほんとうにたのしそうに、心躍る音ばかりを奏でていて、とても好感をもった。
こういうメンバーの「ネアカ感」、これはアルバムにも通じていて、かろやかで豊かなサウンドにも存分にあらわれている。だから聴いているわたしたちも、胸のなかに新鮮な風が吹きこむような心地よさを感じるのだと思う。1983の魅力の真髄は、この「ネアカ感」なんじゃないだろか。

というわけで、もう夏も終わりだけれど、まだまだ間にあうから、みなさん1983聴いたほうがいいですよ。今度あだち麗三郎氏とカレー屋さんでライブするらしいです。

golden hour

golden hour

www.the1983band.com

*1:井手健介氏主催。井手健介と母船、1983など東京のインディーシーンを代表する豪華メンバーによる演奏をバックに、ミュージシャンたちがカラオケを披露するライブ。原曲へのリスペクトをびしびし感じる再現度高すぎの演奏と、ゆるい雰囲気の調和が最高。井手氏が定期開催している神保町試聴室のライブ『木霊でしょうか』の年末特大版。『golden hour』でコーラスを担当しているYankaNoi yunniko氏、フルートの山本紗織氏、1983のアーティスト写真を撮影したMei Ehara氏も参加。

お盆のこと

先日書いたブログを読み返していたら、なんかすごく、長いこと書いてるな、と思い、これからはなるだけさらっと書こうと思います。

今年のお盆はふつうの日から地続きで、ずっと現実にいるまますごすことができた。遠くへも行かなかった。

11日、小杉湯とTraffic。岡村ちゃんが最高だった。公式サイトをみたら秋冬ツアーの先行受付中だったので申しこんだ。いつもライブはわりと後ろのほうで観ているけれど、チケットがあたったら、今度こそ前のほうで岡村ちゃんを観たい。

12日、吉祥寺でレコードを買ったり、カレーを食べたりした。久しぶりにユニオンへ行った。f:id:slglssss:20170816004340j:plainお昼の元気なうちなら体力もまだあって、けっこうたくさん棚をみられると学んだ。高中正義の『T-WAVE』とTUBEの『THE SEASON IN THE SUN』と南佳孝の『12 Lines』を買って、頭のなかが海になっているなと気づく。海なんて行かないくせに、日焼けなんてきらいなくせに、夏なんて嫌いだと思っていたのに、なんでか、こういうものをあつめてしまう。岡村ちゃんの『ビバナミダ』を見つけて、そっと棚に戻す。ジャケがかっこよかったからほしかった。
それからココ吉へ行って、バービーの『LISTEN! BARBEE BOYS 4』を買う。バービーボーイズは中学生のころからすきなのだけど、それを書くと長くなるので思いだしたら書くことにして、とにかくいつ聴いてもコンタさんがかっこいいなと思う。そういえばココ吉にフィンガー5が2枚あって、どっちもジャケがばつぐんですごくそそられた。まだあったら買いたいな。

13日と14日、ずっと寝ていた。競歩をみていたら、日本代表の3選手はえらくいい人そうで、メダルをとってもおごらず、にこにこと愛想よくインタビューにこたえていて、応援してくれたお父さんにお礼まで言って、人間として大切なことはこれだな、と思った。ボルトが走りきれなくて、かなしかった。
それから部屋の掃除をした。レコードとCDがたくさんあって、正直もうしまいきれないのだった。わたしの部屋は、突然堰を切ったようにあつめだしたレコードに対応していなくて、とにかくだんだんどんどん、レコードをしまう場所がなくなって、それなのにまた買ってしまって聴いては、やっぱりいいな、おおきいジャケットはすてきだなと思うから、また買いにいってしまうのだった(高中正義氏のレコードは円盤のまんなかに猫がいた。猫がぐるぐるまわるのをながめていた)。
家にいるとたいくつなのでパクチー料理を作った。ナンプラーを使いこなすというどうでもいい特技を身につけてしまった。根っこをざっくり切りおとしたあとは、水をはったコップに入れて、次の日に庭のプランターに埋めた。すこし葉っぱがでてきた。のちにふと気づいたけれどこれ、『百万円と苦虫女』で森山未來演じる中島くんもやっていたな(中島くんはネギ)とか思いだすけれど、いや、でもわたしが育てているのはパクチーだし、とかふてくされて、また寝た。

15日、雑誌に載っていたヴィンテージショップへ洋服を買いにいく。大学生のころから古着はだいすきだ。吉祥寺のフラミンゴはほとんど通学路にふくんでいたくらいのいきおいで、仲よくしていた店員さんとよくよく古着の話で盛りあがっていたな、などと思いだす。今日はすてきな柄のブラウスを買った。
雨がやまなくて、ワンピースのすそを濡らしながら歩いた。家に帰ってきて、1983を聴く。ゆたかな音がたくさんつまっていて、とてもすきだと思った。今度のカレー屋さんのライブに行きたいな。

『シャムキャッツ×ミツメ』、小杉湯のフォークバンケット、cero presents 『Traffic』のこと

きのう久しぶり(※2週間ぶり)にココ吉へいきましたらミツメの『A Long Day』がながれてきて、そうだわたし、こないだの『シャムキャッツ×ミツメ』に行ったのだったと思いかえした。


先手のおシャムはアルバムの曲を中心に、すごくかっこいい演奏だった。とにかくそぎ落とされた感じだな、と思いつつ、わたしは木造の一軒家の建築現場を思いうかべていた。いい香りのする太い木の柱がむき出しになっている、家の骨組みが見えているあの状態。たぶん菅原さんがMikikiのインタビューでいまのシャムキャッツのことを建築にたとえて言っていたのをおぼえていて、それから連想したのだと思う。

菅原「今回、アンサンブルを作っていくうえでのテーマは、オーヴァーダビングをしないということ。だから、演奏している様子が見える作品になっていると思います。そのぶん、個々のプレイヤーのクセがめちゃくちゃ出ていて、ぱっと見は柱が1本立っているだけに思えても、凝視すると〈この釘の打ち方、めっちゃ独特だわ〉〈このニス塗りはこだわっているな〉とかそういう感じ(笑)。

シャムキャッツのライブは何度でも見にいくけれど、毎回違った発見があってたのしい。いまの『GIRL AT THE BUS STOP』や『MODELS』はより一層力強くて骨太な演奏でぐっとくる。いつも新しいことをしつづけていてほんとうに尊敬する。ツアーたのしみだな。

後手のミツメ。ライブでみるのは武蔵大学の学園祭ぶりだったけど、やっぱりかっこいい。川辺さんの声は、あらかじめ用意されている言葉のひとつひとつを残さずていねいにくりぬいていくようで気持ちがいい。あと前髪のカットラインがいつもととのっていてすてきだ。この日はセットリストも出血大サービスで、新曲も2曲もあってよかった。

思えば、わたしがいまのように音楽に親しみはじめたとき、最初に聴いたのはミツメとシャムキャッツだった。はじめて聴いたはずなのに、どれもすきだと思ったのがとても不思議だった。どうしてだろう。まあ、そのときにすきだと思ったから、いまもずっと聴いているのだろうと思うけれど。
ミツメとシャムキャッツに関していえば、ライブへ行っても普段CDやレコードで聴くときにも、いつも、最初の出会いのことを思いだしている。真夏の蒸し暑い夜、バイト先からくたくたで帰るバスのなかで、ミツメを聴いていたこと。ミツメを聴くと大学時代のバイト先でのできごとをほんとうによく思いだせる。のちに行ったWWWXのワンマンで、最後に『Disco』でミラーボールが回りだして、目の前がきらきらと光って、うつくしかったこと。そういうことを、どうしても忘れられないし、思いだしてしまう。いつまでもいつまでも、そういう頭でいて、わたしは一歩も先にすすめずにずっとひとりで、ぐるぐる同じところを回っている。言いようのない情けなさでいっぱいになって、雨の降る恵比寿の街を足早に歩いて帰った。



8月になる。
また出張のせいで、柴田聡子のライブに行けなかった。もうなんというか、縁がないのだろうかと、落ちこんだ。日ごろの行いがわるいのだろうかと、反省した。
それからはとにかく、仕事のことだけ考えて、朝から晩まではたらいた。仕事のことを考えていると、ほかのことを考えなくてすんで、楽になった。体調をすこしくずした。


お盆休み。11日、まずは高円寺、小杉湯へ向かう。ここ最近は毎回行っているEMC江本くん主催のフォークバンケット。今回のお相手は1983。
駅前を歩いているときに前から1983の面々が歩いてくるのをちらと見かけて、小杉湯へ着いて男湯をうろうろしていたら、谷口さんから「こんにちは、さっき高円寺の街で見ましたよ」と声をかけられて急にはずかしくなる。
先手、江本くん。ロロの三浦さんと一緒に作った曲、どれもいいなと思う。海に出る直前のことを歌っている曲、あの曲はなんというか、新幹線に乗っていてもうすぐ富士山がみえるとか、江ノ電にのっていて、あとすこしで目の前がぜんぶ海になるな、とかそういうときの、うきうきたのしみにするきもちに似ているなと思った。実際、海がみえると、おー海だなー、ぐらいにしか思わないもので、きっとその直前の、うきうきする気持ちを歌わなくちゃっていうのが、あの曲なのかな、と思っている。そういうところを掬いとっている江本くんはすごいと思う。
あとドラマ『デリバリーお姉さん』でカネコアヤノちゃんが小杉湯のことを歌ったという曲、「湯気から雲 あたしたち」とはじまるのだけど、「わたし」じゃなくて「あたし」といっているのがとてもすきだと気づいた。いい意味でちょっとませてる、生意気な感じがよいと思いませんか。それをまた、江本くんが「あたしたち~」と歌うのが、すごくよかった。男性ミュージシャンが、女性の言葉で歌うのって、とてもどきどきする。
後手、1983。それぞれのメンバーのライブには行っていたけれど、1983としてライブで観るのはじめてだった。
とにかくたのしそうに演奏しているところを観ていると、こちらまでいい気持ちになる。銭湯のあたたかくてゆるい雰囲気にとても合う演奏、すばらしすぎて物販でアルバム2枚買ってしまった。最後に江本くんと1983で『ライトブルー』の大合奏、すごくよかった。


小杉湯へ行ったあとは急いで新木場へ移動して、ceroの『Traffic』だ。なんといっても、今年の目玉は岡村ちゃんこと岡村靖幸である。
最近岡村ちゃんのツアーへ行くようになってから一層岡村ちゃんのことをすきになって、今回も出演が決まったときに、ほとんど反射神経でチケットを買った。
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会場へ着くととにかく人がすごくて、久しぶりに、こんなに人の多いところへきたものだと思う。ピーチマークのついたTシャツや帽子を身につけている人がたくさんいて、心づよい。思えばわたし、フェスにいったことないな、と気づく。それなのに丸腰で会場へきてしまって、あまりに人が多くてちょっとオロオロしながら藤井洋平氏のミラクルなステージを観たあと、DJブースへとふらふら歩いていたら、しょうたさんを見つけたので声をかける。こんなに人多くて知っている人なんて見つけられないやいと思っていた矢先だったので、知り合いを見つけて一気に安心する。

岡村ちゃんのライブ開始5分前くらいだろうか、会場は階段や2階席まで人でいっぱい、フロアではお客さんの熱気が湯気になって、巨大なミラーボールへむかってたちのぼっていた。
照明が落ちて、雷鳴がとどろく。1曲目『できるだけ純情でいたい』がはじまる。岡村ちゃん登場と同時にものすごい歓声。おお。
「Trafficベイべ、行くよ」。そこからはもうとにかく新旧の名曲たちが乱れ飛ぶ最高のステージ。
『カルアミルク』、イントロがはじまった瞬間に「オオ~」、1番が終わったら拍手喝采。白石さんタイムをはさんで(白石さんタイムあるのうれしかった)、『愛はおしゃれじゃない』のイントロ、ギターが鳴った瞬間に大歓声で、ほんとうにうれしい。まぎれもないキラーチューン。CDではBase Ball Bear小出祐介氏がつやつやの声で歌っている「マスカラつけたなら僕も」のところ、岡村ちゃんがこちゃこちゃとマスカラつけるフリをしながら歌うのが本当にすきだ。
それからキレキレのステップとターンで『ビバナミダ』、ギターをかきならして『あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう』とたたみかけ、泣く子もだまる『だいすき』、岡村ちゃん「君が!」お客さん「だいすっき!」の大合唱。全員汗だくである。

岡村ちゃんのステージが終わるとみな口々に「やばかった」「すごかった」と興奮気味に言いながら会場の外へでていく。完璧な岡村靖幸だった。かっこよすぎた。なにより皆が岡村ちゃんのことをだいすきなのが伝わってくる盛りあがりだったのがすごくよかった。


真打cero、ワクワクミツメまつりぶりに観た。
1曲目から『Summer Soul』、Cool down,Babyとは裏腹に、どんどん会場のボルテージは高まって、フロアには熱気が湯気になってもうもうとたちこめる。その湯気に照明が当たって、ステージは靄がかかった幻想的な光につつまれる。
「今日は長い時間、お疲れさまでした、ここから先は打ち上げで」という髙城さんの一声、それから山の日にちなんで『マウンテン・マウンテン』、『Yellow Magus』と、こちらも惜しみない名曲ばかりのステージ。『Contemporary Tokyo Cruise』で「うみなりかきけす」の大合唱、会場がひとつになる。「いかないで光よ、わたしたちはここにいます」、すこしでもこの時間が長く続いてくれたらいいのに、と思う。
そしてここからがかっこよくて、新曲をやってくれた。しかも、本編の最後と、アンコールで1曲ずつ。攻めている、かっこいい。


ライブをはしごしてくたくたになって、新宿のらんぶるでチョコレートパフェを食べるという悪行をはたらいた。生クリームが、悪魔的においしかった。
お盆休みの予定は、これでなくなってしまって、今日はテレビで、世界陸上競歩を観ていた。3人とも人がよさそうな選手で、これからはわたしももっとまじめに生きていこうとか思った。

夏の京都、ココ吉の放出、小杉湯のフォークバンケットのこと

毎日あつい。
マッシュヘアは、頭皮と髪のあいだに湿気と熱気をためこみまくるので、すごくあつい。顔から汗をかくのははずかしいけど髪を伸ばしているので、マッシュ頭はやめられない。しかたなくぼたぼた汗をながして、てかてかの顔であるいている。


海の日。子どものころは夏休みの合図。今年、わたしは京都にいた。
お昼過ぎに新幹線にのる。出張の前乗りのためだ。今日は休みだからワンピースにオールスター。ごきげんである。
この日東京は、うだるようなあつさとはこのこと、というようなあつさで、東京駅についたところですでにくたくただったので、座席にすわったら気づかないうちに眠ってしまって、目が覚めたら京都に近づいていた。
京都駅に着く前、車窓から山が見える。山のなかをくぐって、ぽんとでればそこは、あこがれの京都である。

わたしの京都へのあこがれは、半分くらいくるりだと思う。京都タワーをみるとやっぱり、くるりのベスト、と思う。
それから最近は、Hi, how are you?である。去年原田さんのライブをゆすらごでみられたのはほんとうによかった。

京都駅のホームにつく。湿気がすごくて、ワンピースが背中にぴたぴたにはりついたまま、スーツケースをがらがらしてあるいた。
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街は祇園祭だった。四条通りには祭の提灯がかざられて、地元の人も観光客もわさわさとあるいてにぎにぎしい。
この日は、京都在住で、全国のイベントやライブで活躍されているDJのしょうたさんとお会いして、いろいろなところへつれていってもらった。

おいしくて安い洋食、キッチンゴン。おなかが空きすぎているのとあんまりにおいしいので、無言でたべてしまった。
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ホムカミの1stのアナログもあった、セカロイショップ。すんごくかわいいお店。
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その下の階のアートロック。オールジャンルいろいろあって楽しい。洋楽を聴くんだ!と思って洋楽の棚をさがしていたら、目がまわりそうになった。
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河原町のフランソア喫茶室。店員さんのワンピースがかわいかった。おいしいザッハトルテ
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最後に、祇園祭のお神輿に出会う。四条通りは歩行者天国になって、河原町の交差点は熱気と歓声にあふれていた。はじめて目の前でみられて感激だ。
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もう何度も京都へきているけれど、いつきても、はじめてきたときのような新鮮な観光客気分になれる。それはきっと、京都で暮らしていないからだと思う。
どこへいってもすてき、神社やお寺はうつくしい。だけれど、京都はそれだけじゃないのだ。街があって、人が暮らしているのだから。近所のスーパーやコンビニ、行きつけのレコード屋さんや喫茶店、洋服屋さん。通学路、お昼にいくような会社の近くの定食屋さん。わたしの京都へのあこがれはそのままに、ガイドブックにのっていないことを知りたいのだ。
だからこそ、しょうたさんが自分のすきなお店につれていってくださったのはとてもうれしかった。そういうお店を知りたかったのです、と鼻息荒く言ったら、しょうたさんは笑っていた。


2日間の出張を終えて東京へ帰ってくると、ココ吉さんからすてきなお知らせがながれてきた。


きた、ココ吉 夏の放出。ココ吉さんはこういうふうに、突然すごいことをするのでほんとうにかっこいい。(矢島さんの思うツボ)

わたしは行列に並ぶのが苦手だし、人がわーっとたくさんいるのも苦手だけど、なんでか今回は、まじで行かなければ、というきもちになった。だって、わたしのすきなところどまんなかだったから。土曜日はお昼すぎまで余裕で寝ているけれど、そんなことをしている場合ではない。むりやりに起きて、吉祥寺へGO AHEAD!

開店前についたので入口のところで並んで、放出されるレコードの画像を何度も何度もみて、どれにしようかな、と考えていた。今日はほんとうにじりじりとあつくて、いいレコードが買えるようにとゲン担ぎで着てきたハイハワTシャツにどんどん汗がしみていった。ああマッシュ頭をいますぐ刈りあげたい、とか思いながら汗だくで待っていたら、前に並んでいたお客さんがお友達と「トロピカル3部作、どれにしようかなあ~」と話しはじめたので、ますます汗がふきでてきた。そうだよね、細野さんほしいよね。

そして開店。放出のときに社長が開店してくださるの、わたしはとてもうれしいです。社長にいらっしゃいませっていわれるの、めちゃくちゃ光栄です。
開店したらお客さんはたくさんいたけれど、ほしかったものをぱっと見つけたので、えい!ととって胸にかかえた。うれしい。なんでこんなにうれしいんだろ、って思った。LPをかかえるのはいつもうれしい。おおきくて少し重くてずしんとするのがいい。

なによりみんなが一斉に壁から棚のなかまでレコードをさがしているのはほんとうになんか、宝さがしみたいですてきな光景だ。みんな大事そうにレコードいっぱいかかえてレジにいって、ほくほく帰っていくのも最高だ。
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レジへ行ったら土曜日にいつもいらっしゃる店員さんが「何買ったんですか?」と聞いてくださって、お客さんたくさんいて忙しいのに、いつも本当にいい人だなあと思う。ココナッツポイントも、こんな時でもつけてくれて、なんていいお店なんだ。
おかげさまで、めでたく2017年の10枚目が満タンになりました。ありがとうございます。今日買ったレコード、宝物にする。


ココ吉をでたら次は、総武線にのって高円寺の小杉湯へ。毎度おなじみになりつつあるEMC江本くんのフォークバンケット
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小杉湯のライブは毎回、お風呂にお湯をはって、大浴場の窓を開けているので、とにかくよくひびくのと風が吹きぬけるのできもちいいのだけど、今日は、湯船のお湯はむあっとする蒸気をあげて、大浴場は文字通りの蒸し風呂であった。
そんなわけで、湯船に1番近くて、なおかつ全力で歌う江本くんは、歌いながら5回くらい、今日は暑いっすね、と言っていた。わたしが前からすきだった、いつも1曲目に歌う曲は『夏風』という曲名なのだそうだ。今日は湿気のおかげなのか、ほんとうによくひびいていてよかった。江本くんソロのアルバム出ないかな。

今回のゲストはHara Kazutoshiさん。ライブでみるのははじめてだったけど、めちゃくちゃすてきだった。お風呂に響くギターの音っていいな。井手健介と母船でも活躍されている山本沙織さんのフルート、いつ聴いても透明で、芯があって、すきだ。

ちなみにフォークバンケットは休憩時間にかかっている曲がいつもよくて、今日は『パレード』がかかっていた。いつぞやの回で大滝さんがかかっているときもあったな。

ライブが終わって、高円寺の町をぶらぶらと歩いていたら、そうだ小杉湯フェスで食べたあのカレー、と思って、妄想インドカレー ネグラにたどりつく。
つめたいガンボカレーと、ごぼうと山椒のキーマカレーのあいがけに、あのおいしいタンドリーチキンをトッピング。ぴりっと山椒のきいたチャイ。おなかがすいていて、写真を撮る前に食べはじめてしまった。すごくおいしかった。どうしてあつい日に、わざわざカレー食べたくなるんだろう。ふしぎ。


このところ日が長いから、夕方になっても気づかなくって、こんなに明るいのに7時!みたいなあんばいで、ふと時計をみて驚いたりする。週末いろいろなところへ一気にいっては、疲れているのもわすれて思いっきりたのしんで、家に帰ってようやっとくたくたなことに気づく。
夏は夕暮れのあとすぐに夜がくる。昼間のまぶしくて高い空がうすぐらくなって、どこからか生ぬるくてしっとりした風が吹いてきて、その風もだんだん涼しくてさらさらとした風に変わっていく、その移りかわりがあまりにも急で、きもちが追いつけない。たのしかった日が突然ふっと終わるようなさみしさがある。センチはひょっこり顔を出すからあぶない。

でも今日は大丈夫。ココ吉で買ったレコードを聴こう。明日は休み、夜更しだ。

香りをめぐる話

前回のエントリーで「マニキュアのにおいは夏の匂い」と書いていたら、こんなことを思い出したので書き残しておこうと思う。


先日、あたらしく香水を買った。はじめて、ちゃんとした香水を買ったのだ。
香水にはずっとあこがれがあった。去年、梅ヶ丘にあった古本屋さん「tenonaru」で柴田さんのトークショーで、柴田さんがおすすめしていたジャン=クロード・エレナの『調香師日記』というのを買って、ますます興味がわいた。

調香師日記

調香師日記

わたしは甘い香りをつけるのが苦手だ。まわりの人がつけているのは、いい香りだなと思う。でもいざ自分にふりかけると、食事のときに食べ物と香水の香りが混ざるのや、体調がわるいときにつけると気分がわるくなってしまうのが、どうしても耐えられない。第一に、わたしからお花の甘い香りがするのは、なんだかはずかしい。なにかが合っていない気がする。
そんなわけで、香水をえらぶなら、甘くなくて、体調がわるいときにつけてもおえっとならないもの、ときめていた。

お店に入って店員さんと目が合ったので、もうなにもかもわからないです、教えてください、と開きなおった顔で堂々とレジへむかっていくと、「どのような香りがお好みですか?」とやさしく聞いてくださったので、きたきた、いきますよ、「甘くなくて、すっきりした感じ、ハーブみたいな、ほら、体調がわるいときにつけても、きもちわるくならない感じがいいです、どうも、甘いのが苦手で・・・」と、なんにもしらないくせにやたらにまくしたてると、「それでしたらこちらです」と顔色ひとつ変えずに3種類ほど香りを試させてくださった。

どれもいい香りだった。こんなになにもわからない人間がわがままにオーダーを並べたてただけなのに、どの香りもたしかに甘くなくてすっきりとしたハーブのような香りで感激した。

そのなかでも店員さんが「これは高級なじゅうたんに使われる草のような香りがします、じゅうたんを踏んだときのような香りがしますよ」と説明してくださった香りがなにか心にひっかかった。すっきりとしていて甘さはまったくなく、薬草のような香り。草を編んだじゅうたんの匂いをかいだことはないし、あくまでたとえ話なのだけど、そういう物語のある説明をされるといちころである。これに決めた。わたしがつけると少しお線香のような、白檀の香りに似ている気がするけど、それがわたしらしく地味で合っていると思う。

学生のころ、誰がどんな匂いか、という話題がもちあがったことがある。○○ちゃんはダウニーの香り、とかそういうあんばいできゃいきゃい盛りあがっていたけれど、わたしはそのとき「無臭」という評価をいただいたのであった。確かに特別に香りがのこるような洗剤を使っていたわけではないし、香水も使っていなかったけれど、あまりにも香りのないのも、なんかなあと思っていた。
ついに香水を買った。今日からこの香りが、わたしの香りと思われるのかと思うと、毎日すこしどきどきする。お線香だけど。


それにしても、誰がどんな匂いか、なんて話になるということは、人は、他人のことを意外なほどに「匂い」でわかっているのだなあと思う。

これもまた学生のときの話だけれど、当時すきだった人はいつもほのかに甘い香りがして、それが煙草の匂いと混ざって、それはほんとうに彼だけの匂いだった。なんの洗剤を使っているのかとか、香水をつけているのかとか、聞いたことはなかった。煙草の銘柄もわからない。でも彼の匂いだけは覚えていて、会わなくなってもしばらくは、鼻の奥のほうで彼の匂いを思いだせる気がしていた。

たまに、満員電車のなかで似ている匂いがすることがある。一瞬どきっとするけれど、彼であるはずもないので、すぐにその匂いを追いかけるのはやめる。けれど、匂いとは不思議なもので、似ている匂いをかいだだけで、彼のするどいまなざしや長くて濃いまつげなどを鮮烈に思いだしたりする。そのたびに胸が苦しい。普段は考えることもないのに、なんでか、匂いを思い出すと、いろいろなことがつながって思いだされる。忘れていた声や、言っていたことを思いだしたりする。思い出は、匂いと一緒にある。

新しく買った香水。これから起こっていくことを、この香りと一緒に覚えていくのだなあと思う。気に入っている香りなので、どうかこの香水をつけているときに、つらいことや悲しいことが起こりませんようにと思う。うれしいことなら、たくさんあってほしいと思う。この香りをほめてくれる人がいたら、ずっとこの香りをまとっていたいと思う。


いまはココ吉の匂いがすきだ。邦楽のCDのあたりが、匂いがたまっていてすきだ。ずっとぼんやり座っていたい。雨の日は、湿気をすった木の什器の匂いが最高にいい。あと中古のレコードの匂いもすきだ。買ったら一度は、そっと匂いをかいでいる。わたしだけなんだろうか。

夏がきた


VIDEOTAPEMUSIC / Sultry Night Slow【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

VIDEOTAPEMUSIC / Kung-Fu Mambo live at LIQUIDROOM 2015.08.08

急に暑くなったこのごろ、なまぬるい風のふく夜にはVIDEOTAPEMUSICがきもちいい季節になりました。
去年の9月に(先日惜しまれつつなくなった)黄金町試聴室で初めてライブをみたのですけど、あの日は9月だというのにむわっと暑くて、ビデオさんみるにはとてもおあつらえむきだった。
おしゃれな髪型とメガネでスマートに電子機器とピアニカをあやつる姿がとてもかっこよく、あつくてあまくて南国情緒あふれる、それでいて洗練された音楽と、つぎつぎとスクリーンに映しだされる大人のロマンスとユーモアがつまった映像が、まるでおたがいのために生まれてきたかのように溶けあって、この人はほんとうに魔法を使える人だ!と思って、しばらくビデオさんのことばかり考えてすごしていた(気がする)。しかもこのときはHi,how are you? 原田さんの企画で、ランタンパレード、ビデオさんという組みあわせだったから、最高によかったのだった。ご本人のいうとおりトークがぎこちないのも、個人的にはなんでか、いいなと思っていて、このときは黄金町にちなんで『スローなブギにしてくれ』の話をしていて、わたしはとてもおもしろいと思った。
もちろん年末のワンマンも行った。冒頭の渋谷の映像がすばらしすぎて、いまだにセンター街歩くときちょっとどきどきする。また東京でワンマンないかしら。(昨日オウガとライブだったみたいで、いいな、、、)

最近またココナッツディスクによく行っています。矢島さんも中川さんも、わたしが何を買うのかなんとなくわかっているような気がしてすごくはずかしいのですが、他に普段気軽に行けるようなだいすきなレコ屋はなく、ココナッツディスク一択なので、よいのです。
わたしはほとんど洋楽を聴かなくて、いつでも洋楽を聴きたいとは思っているのですが、なんでか自分ですすんでゆけないな、と思っていて、そんなときにココ池ブログをみていたらTELEVISIONの『ADVENTURE』を「ミツメファンにおすすめ」と紹介してあるのをみつけた。
f:id:slglssss:20170709003104j:plainこれをみて、なんかほんとうにココナッツディスクの心遣いってすばらしいな、洋楽を聴かないわたしでもミツメがすきだったらこれもすきかもしれないと思って、とたんに興味がわいて試聴して、すきになれそうだ、と思って次の日に買いにいきました。実際、とてもすきな感じでよかった。

実は先日、シャムキャッツタワレコ渋谷のトークショー伊藤銀次さんが登場した日)で、タワレコのバイヤーさんがFazerdazeというニュージーランドの女の子の『Morningside』というアルバムを紹介していて、なんかそれが1曲聴いただけでとてもぐっときたので、ぱっと買ったのですけど、かわいくていいのです。

Fazerdaze - Lucky Girl (Official Video)

Little Uneasy - Fazerdaze

こういうふうにして、洋楽を聴きはじめていくのかもなあと思います。おシャム『Friends Again』のココナッツ特典CDとか。

夏になると爪にいろいろときらきらや色をつけたくなる。このあいだはロンリーを聴きながらベランダできらきらのマニキュアを塗った。マニキュアを塗ると指先から数日のあいだ、マニキュアの溶剤のにおいがする。aikoが『恋のスーパーボール』で「日焼け止めを綺麗に洗いきれずに 夜中に腕が夏の匂い」と歌っているけれど、わたしにとっての夏の匂いは、マニキュアのにおいかもしれない。ちなみにわたしがユーミンをすきなのは間違いなくaikoのおかげ。このMVのaikoかわいい。


aiko-『恋のスーパーボール』music video short version

8日はタワレコ新宿でおシャムのインストアライブ。f:id:slglssss:20170709003153j:plainセットリストは『Friends Again』の曲のみ、というのがかっこよくてよかった。菅原さんの新しいギター、ギターにまったく詳しくなくて申し訳ないんですけど、あのチョコレート色のかっこいい、あのギターはとても音が太く響いていい音だった。あと夏目くんのアコギの音がとても立っていてよく聴こえた。バンビさん、『GIRL AT THE BUS STOP』でじつはすごくたくさんごりごり弾いているのとか、『MODELS』でめっちゃくちゃごりごり弾いているのがだいすきだったけど、今回はごりごり弾くことこそなくても、バンドの背骨という感じで、かっこよかった。藤村さんも、熱さをふつふつと内に秘めている感じでよかった。シャムキャッツ、ほんとうにすごくかっこいい、新しい。はやくライブでみたい。ちなみに『Coyote』はライブでみるのがよりいいなと思いました。

ココ池で買った『Big Wave』を毎日かけています。夏がきたね。

音楽を聴くときのこと

ただいま、熱海駅を通過。
今日は台風がきているのらしい。いまから大阪へ行く。
夜の新幹線は景色がみえない。みえるのは汗と湿気でべたべたの自分の顔だけで退屈だ。街も田んぼも川もみえない。富士山もみえない。


わたしに音楽を教えてくれた友達が「ミツメの『fly me to the mars』は冬に聴くのが最高だ。夏は暑いっていってるけどさ」と言っていて、なんかいまのいままでそうだよなと思ってきている。電子音が青っぽいイルミネーションの冷えた無機質さとつながって、たしかに冬の寒い日に聴くのがとてもよい気がする。彼に借りたBeach Boys、夏になるまで聴く気になれなかった。山下達郎の『Big Wave』、もうずっと前からココ池にあるの知っていたし、他のレコード屋さんにもあったけれど、暑くなるまで買わないでおこうと思っていて、やっと暑くなった昨日、ついに買った。

音楽を聴くとき、これはいつ、どんな気持ちのときに聴きたいか、と考えていると思う。
朝、お化粧をするときには、大貫妙子さんの『横顔』。いろいろな色のついたきらきらをまぶたにのせたり、唇を色づけたりする、色のかさなりは、心の機微であるなと思う。かろやかでやわらかい大貫さんの声を聴いているととてもみずみずしいきもちになる。
残業してやっと帰る金曜日の夜に、EMC。『Forever』をつづけて。これは最強に、麻薬的に、大人の玉虫色の娯楽であるなと思う。べつにクラブには行かないけど、EMC聴いているとほんとうになんでか、1週間のご褒美をもらっているようなきもちである。真正面からたのしい。
休みの日はカネコアヤノちゃん、あたたかいお昼にがらがらの電車に乗って、座席に座って車窓の景色を流しみながら聴くのがすきだ。ワンピースを着ているときなら、なおよし。
先週の土曜日の夜に、思い出野郎Aチーム『ダンスに間に合う』の7インチを聴いていたのだけど、これはなんですか、最高の週末讃歌じゃなかろうか。とにかくあまやかできもちがいい。最後転調するなんて完全にやられる、これはほんとうにすきだ。

いまは車内で柴田聡子『いじわる全集』を聴いている。『会いに行きたい』を聴きながら、会いたい人とどんどこ物理的な距離がとおくなるという、自分の首をしめるようなことをして、すこししゅんとした。新幹線のなかで急にひとりになったきもちである。このアルバムは夜に聴くとかならずひとりになって、さみしくなる。べつにそうなろうと思って聴いているわけではなくても、どうしようもなくありありとひとりであることをわからされて、くるしくなる。せめてほんとうのひとりのときにはたのしい曲を聴こう、なにを聴こう。もう名古屋に着いてしまった。