磨硝子日記

すりがらすのブログ

6月のはじめのこと

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リーファンデさんがツイッターでいっていた『夏の終わりのハーモニー』を聴いてみたらすごくかっこよくて、そんな頭でいるときにたまたまユニオンでライブ盤をみつけたので、おもわずハッときこえるくらいの音量で息をのんで、ここ最近でいちばんすばやい動きでひきぬいた。井上陽水玉置浩二も有名な曲しか聴いたことがなかったけれど、こんなに強烈な個性をもっているふたり、おたがいに決して消しあわず、手をとりあい、目くばせをして、縦糸と横糸の綾なす無限大のハーモニーをかなでていて、ドラマチックなメロディラインもあいまって胸をゆさぶりまくり、ほんとうにすごい、つたない感想だけれどそうおもうしかなく、リーさんありがとうとおもいながら毎日聴いている。まだ夏はじまっていないけれどね。

井上陽水&安全地帯 夏の終わりのハーモニー


それからオリジナル・ラヴをやおら聴きはじめる。友達がカラオケで『接吻』を歌っていてすごくかっこよくて、それからずいぶんとたったけれども、ぽつぽつと聴いている。
このあいだ掃除をしようとおもってかけたら、聴きいってしまっていっこうに掃除すすまず。いままで聴いてきたオリジナル・ラヴ以降のいろいろなバンドの曲をおもいだし、たとえるならば、肥沃な土壌の養分をぐんぐんすいこんで育った栄養まんてんの牧草あってのおいしい牛の肉、すばらしい営み、ありがとうございます、というような深遠な気もちでありました。
そんなわけでオリジナル・ラヴ、順番にすこしずつ聴いていきたいとおもっている。最近売場であ行とか行の境目あたりを目を皿にしてみまわしているのはそのせいです。


9日、柴田聡子の神保町ひとりぼっちを観にいく。夏になると細い髪が湿気でくるくるとうねる柴田さんがかわいい。ワンピースがいつでも似あう柴田さんがかわいい。
柴田聡子の神保町ひとりぼっちとは。東京は神田にある神保町試聴室にて、柴田聡子がギター弾き語りで2時間ライブをするというものである。いつはじまったのかどのくらいつづいている企画なのかわからないのだけど、すこし前までは月1?隔月?とかで開催されていた。最近は不定期だけど、なるだけ毎回いきたい心もちでいる。

今回は前半をいままでの曲、後半がすべて新曲という攻めた構成。『スプライト・フォー・ユー』『あなたはあなた』『いきすぎた友達』『後悔』などおなじみの名曲たちで心をやわやわにほぐされたあとの、おどろきとあらたな感動にみちた新曲乱れ打ち、風穴がずばずば開くようであった。
ちなみに新曲のなかでは「やっぱハワイより 海へいこうよ」とはじまる曲が最高にすきだ。今年のワクワクミツメまつりでも柴田聡子 in FIREで演奏されていた曲で、試聴室でやる弾き語りもいいし、バンドバージョンもほんとうにかっこいいから全員聴いてほしい。曲中で「箱の中にはちばてつや」というキラーフレーズがブッこまれて、何度聴いてもその部分だけをくっきりおぼえてしまうのだけど、これははやく歌詞カードをみながら、全編の歌詞をとおして聴きたい曲でもある。
柴田さんの曲、とわたしがいうのも恐縮なのだけれど、いつも想像もしないことをあざやかに繰りだしてくる。
たとえば、『後悔』しかり、ポップで体をゆらしたくなるような曲調にあわせて、すごくせつないこととか、じんわりと余韻ののこることをうたう、というのがあり、それがまじかよみたいなおどろきでもあるし、そういう一見(一聴?)噛みあわなさそうなことをさらりとやってのける柴田さんはほんとうにすごいとおもわされるのだけど、このちばてつやの曲もきっとちゃんと歌詞をよんだらそんな曲なんじゃないかという気がしている。
そのほかの曲も、あんまりおぼえられていないけれど、Jポップ感(てなんだろう)のあるシンコペーションがきいていたりして新鮮だしエネルギーをたたえているなとおもう一方で、歌詞は「つくりもののまつげの後ろをながれる涙をホンダの軽で追いかけよう」みたいなことをいっていてもう胸のなかがぐちゃぐちゃである。
それから新曲『ジョイフルコメリホーマック』というのも多分にもれず、「道ばたには ジョイフルコメリホーマック」なんて一度聴いたらわすれないような強烈なワードを何度もおりこみながら、「あれやこれの使い道は わからないけど(?) ひんやりとした銀色の筒をなんとなく買ったね」なんていう後ひく言葉をつらねてくるから、ああなんだかあじわいぶかい、そういう気もちに着地するのだ。柴田さんの歌を聴いていると、かんたんには意味を推しはかれないことを、なんだかとくべつな意味をもっているようにおもわされるし、じぶんの体験していないことのはずなのに、記憶や経験のはしっこをちいさくふるふると共鳴させられる。柴田聡子はほんとうにすごいです。
この日のカバーはTWICEの『LIKEY』、韓国語で歌っていた。イ・ランちゃんの歌を聴いていて韓国語はら行の発音が丸っこくてかわいいなとおもっていたけれど、柴田さんが歌ってもやっぱりかわいかった。終わったあと譜面台をみにいったら、歌詞がぜんぶカタカナで書いてあってますますかわいかった。

ちなみにこのブログを読んでくださっている方から「すりがらのブログ、だいたい出張のときに新幹線のって『スプライト・フォー・ユー』聴いて泣いてるみたいなこと書いてるよな」っていわれたのですが、わるいかよそりゃあ大名曲だもの、いろいろなことを勝手にぶくぶくおもいだしてしまうから、泣きたいほうが涙こらえているのだよ、といいたい気もちである、でもブログをすみずみまで読んでくださっているのがわかってとてもうれしはずかしかった、ありがとうございます(前におしえてくださった『微熱少年』のカセット買いましたヨ)。いろいろな方にいろいろな音楽とか、それ以外のことをおしえてもらいながら、たのしくすごしています。