磨硝子日記

すりがらすのブログ

先週のこと

もうだいぶまえのことのようにおもえるけれど、先週、出張で静岡へいった。ひさしぶりの静岡、1日目はさくさくとおわり、上司はわたしをおいて帰京。2日目はひとりでむうむうとパソコンをみつめながら仕事をして、夕方には東京へかえってくるという、最近ではめずらしい、余裕のある出張だった。

初日に上司が帰ってしまったので、さてどうしよう、と考えたときにおもいつくのは、炭焼きレストラン さわやか。みんなたべている、さわやか。
ホテルですこし仮眠をとってから(気づいたら1時間半もぐうぐうねていた)、むっくり起きあがって、うしうしとローカル線の駅へむかい、ホームをまちがえ、次の電車は20分後で、改札の前のベンチにすわって、制服を着た高校生ぐらいの男の子と女の子が会話するのをながめていた。すずしい夜だったのでよけいに、うらやましいなとおもった。がんばれ野球部。

なんだかちいさい冒険みたいだった。出張おわりで、ホテルをぬけだして、ひとりで夜の冒険。ローカル線が町をあかるいライトで照らしながらがたごとすすむ。真っ暗な空と、ぽつぽつみえる灯り。駅のホームにとんと降りれば、はじめてふれるつめたい空気や、しずかさ、ホーム下の土や雑草の匂い。むこうにみえる「炭焼き」のネオン。

わたしもきちゃったよ、さわやか。まずはコーラ(とポテト)でカンパイです。ぷは。「カンパイドリンク」が100円(税抜)という超良心価格で感激した。これだけでさわやかにまた来たいよ。
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そして、でた、げんこつハンバーグ・・・!(じゅるる)
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黒々とひかる牛さんがどしっとすわった鉄板がかわゆい。

帰りの道は、ひたすらに「おいしかった、おいしかった」とつぶやきながら歩いた。夜のひとりのさみしさは、満腹でかんたんに埋めあわせられた。帰りの電車の窓に、顔がてかてかのわたしが映った。おなかがいっぱいでほくほくした顔と、いつも東京で着ている仕事用の服がすごくつりあっていないようにみえた。つかれていたけど胸がどきどきして、ホテルにかえるだけなのに揚々と歩いた。さわやかのことをツイートしたら友達がいいねしてくれて、そこから少しLINEをした。元気そうで安心した。その夜はまたぐうぐう寝た。

2日目、昼過ぎには仕事をおえて、すこし早いなとおもいながらグミを買ってこだまへ乗った。
もう夏はおわったなとおもいつつ、車窓から景色をぼんやり流しみながらHi,how are you?の『さまぁ~ぎふと』を聴いていたら、『メロン』の「君のことなんてわかりっこないけど 君のことばっか好きだ」という歌詞が、油断した胸にとすっと突きささって抜けなくなってしまった。反芻すればするほど、かえしのある棘のように深くはいりこんでしまってくるしくて、そのまま目をぎゅっとつぶった。わたしはこういう曲をいま、誰のことを考えながら聴いているのだろうかと、はたと考えて、思いうかぶすきな人の顔が、しゅわしゅわとうすく記憶から消えかかっていくのをみた。遠くにみえる、わたしと関係のない景色が、わたしがひとりであることをわからせて、ピアニカの音が細くなるとともに、潮がさーっと引いていくように、いろいろなことから目がさめるような気がした。

さまぁ~ギフト

さまぁ~ギフト


こだまとはいえ新幹線はあっというまに東京駅に着き、読むつもりで持っていっていた益田ミリの『今日の人生』は、バッグのなかからスーツケースのポケットへ移動させただけでぜんぜん読まなかった。帰ってきてから病院の待合室で読んだら、なんというか平板にみえることがぐっと奥行きをもったものにみえてきた。

今日の人生

今日の人生

そういえば出張のときに新幹線が止まってしまって、新神戸で何時間か待ちぼうけしたことがあって、その時駅のセブンイレブンで買ったのが益田ミリの『ちょっとそこまで旅してみよう』だった。電車がうごかないときに旅行の本をよむというのは、まあいまは止まってるんだけどね、とか思ってしまうけど、益田ミリの日常から非日常をのぞくまなざしがよいと思った。ちなみに読破しても電車はうごかず。


このあいだ久しぶりにココ池に行ったら、中川さんがブログ読んでますよ、といってくださって、めちゃめちゃにはずかしかった。スピッツの『名前をつけてやる』を買った。
f:id:slglssss:20170915003910j:plainこの猫がうちにくる日がくるとは思ってもみなかったな。

ココ池、お店のなかがオレンジ色の光で充満していてあたたかいきもちになるし、雑貨とかZINEとかかわいいし、いつもいい匂いがするからすきだ。すこし行かないあいだに、というか毎日どんどん移りかわっていて、季節のようだなとおもった。