磨硝子日記

すりがらすのブログ

寿々木ここね「FEVER」のこと

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久しぶりに出社した日の帰り、錦糸町タワレコで寿々木ここね「FEVER」を手にとった。ジャケットの写真がかわいくて、レジに持っていくのにちょっと緊張した。表題曲を推しが書いているから、推しのバンドが演奏しているからという下心なのでは、と申し訳なくおもいながら、特典(推しが書いた曲を推しのバンドが別バージョンで演奏しているから)もほしいのでなおさら後ろめたい。

ここねんさんのファンからしてみたら(わたしもファンです)、ファーストソロアルバムの1曲目がこの曲だというのはどんな意味をもつのだろう。アルバムをとおして聴いてみるとほんとうに色あざやかで七変化(6曲入り)の魅力があるけれど、そのなかでもここねんさんの私小説みたいな歌詞に、これこそがここねん、とおもうのだろうか。たぶん多くのここねんさんファンのみなさまとはちがう立ち位置からこの曲をみつめているのか、ツイッターだとおなじようなことをいっている人がみつけられない(「追いヒップ」に感銘を受けている人はけっこういる)。

表題曲を初めて聴いたとき、なんかもう、こういう曲があったら人生悪くないよな、みたいな気分までいけた。“掬われる”ようだ。この言葉をいうときの気もちをしっている、ぜんぶしっている。でもなんだか、そんなものは誰にもみつけられないうちに、心の隅のほうに追いやって、気にもしていないようにふるまっていた気がする。そうして胸のなかにもやもやと霧のようにたちこめていたいくつもの気もちをそれぞれぎゅっとかためて、ひとつずつ手に取れるようにしたみたいな歌詞だとおもった。自分でもかたちをとらえられなかった気もちを、こうかもね(よろしくどうぞ)ってみせられたようだ。わたしとは別のところにある曲なのに、勝手に、見透かされているようではずかしくなって、電車のなかで泣いた。それもみじめにおもえて、また泣いた。「可愛いだけじゃないのだと 気付かせてあげたい」、ここを通りすぎるたびに、胸がいっぱいになって涙がこぼれてしまう。わたしの人生、つまりそういうことだったのでは、みたいなおこがましい気もちにさえなる。

ここねんさんといえばステージにいてもインスタのなかでも、いつも自己肯定感にあふれていて、すきなものにかこまれていつもほんとうにいきいきとしていて、そういう自分を大切にするところがとてもすてきな人だなとおもう。誰かにかわいいとか、いいね!っておもわれるためじゃなくて、自分がそれをするのがすきだからやっているというのもすごくまぶしい。みていてうらやましくなるくらいにきらきらしていて、そうみえるのは、ライトを浴びているからではなくて、ここねんさんの額の汗が輝いているからで、外側からみえない魂のようなものがごうごう燃えているのが伝わるからなのだ。このアルバムもはじめからおわりまでここねんさんの自己愛がつまっていて、そういうアルバムの1曲目で、「子供でもないし 失くしたものもそれなりにあるの」とつぶやいたあと、つづけて「わたし、ねぇ今どんな顔? 拗らせて生きたいね」と大事そうに歌うので、おもわず鏡にうつる自分をみなおしてしまう。

それにしてもこの曲がはじめて披露されたのは去年の10月だそうで、冒頭のところはこの夏のことを言いあてるようで、もはやちょっとこわい。この春をくぐりぬけたわたしたちはめちゃくちゃに強くなっているはずだから、ちょっとつかれているけど、大切なものを抱きしめて、自分をかわいがって、たのしく生きていけたらいいよね。



寿々木ここね- FEVER  (Official Music Video)

bjons『頼りない魂』のこと

3月1日、わたしは下北沢440へ中野督夫さんのチャリティライブを観にいっていた。そのライブのとき、bjonsのみなさんとすこし話すことができて、わたしの会社ではまだみんなかわらず出勤していて、時差出勤もしていない、このまま在宅勤務にもならなさそう、というようなことをいったのを覚えている。マスクの下でうふふと笑っていたのも束の間、2週間後には時差出勤がはじまり、1ヶ月後には在宅勤務になった。在宅期間は予想をはるかにうわまわる長さで、春物のアウターもろくに着ないうちに、もう立派に夏をむかえてしまう。

bjonsはわたしのいちばん推しているバンドである。今年は上半期だけでも月に一度くらいはライブの予定があったのだけれど、それらもやむをえず延期になってしまった。だからこそ、そんな折にはじまったbandcampでの配信は、ほんとうに希望の灯火のようにおもえた。新曲を聴けることはもちろんなのだけれど、ごく近い世界の景色をまばたきで切りとったようなあざやかさに、彼らが同じときに、地続きのところで生きているのではないかとおもえる心づよさを感じたからだ。

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2曲目に発表された『頼りない魂』、すきなバンドの新曲がリリースされたとなれば多少なりともウキっとした気もちになるものだとおもうのだけれど、はじめて聴いたあと、わたしははっとして、しずかに目を開かされるようなおもいがした。心待ちにしていた新曲だったしなにかうれしさをあらわさなければとおもって、とっさに曲中にでてくる歌詞をおもいだしてペガサスの絵文字をつけて感想をツイートしてみたのだけれど、そういうことじゃないとおもってすぐ消した。例によって歌詞を書きおこしながら聴いてみたけれど、そうするまでもなく数回聴くうちに、歌詞にあることばの端々から、これはきっとだれかの(というか今泉さんの)実際に経験したことで、だれにも語られなかったかもしれないことを歌っているのでは、とおもったからだ。

この数ヶ月のあいだ、ウイルスという共通の禍に対峙するにつけ、その下でそれぞれの人が環境や立場をさまざまにしていることがくっきりとうかびあがり、物理的にも心理的にも自分と近いところにいる人の生活や考え方でさえ、自分やほかのだれかのものと同じではないことに、幾度となく気づかされてきた。
わたしは会社勤めをしていて、そのなかでもパソコンとiPhoneがあれば、在宅でもほぼ100%かわりなくできる職種である。でもそれはほんとうにたまたまの、さいわいなことだ。社内でも出勤しないと仕事ができない部署があるし、友達の勤めている会社では部署内でシフトを組んで、週替わりで出勤しているときいた。自営業をしている知りあいは、どうにかして休まずにつづける工夫を考える人もいれば休業するという人もいたし、フリーランスの人だと仕事がキャンセルになったり立ちゆかなくなったときく。いったことのあるレコードショップの店長さんはコロナウイルスに感染して入院したとツイートしていた。達郎さんのラジオには、毎週のようにエッセンシャルワーカーたちの声が寄せられるし、看護師の知人はコロナウイルスに感染した方の治療に従事していたそうだ。そしてついこの間までライブをみにいっていたミュージシャンやライブハウスには、配信やクラウドファンディングをはじめる人もいた。これらのストーリーはわたしが見聞きして、しるようになったことだけれど、人の数だけストーリーはあって、きこえる声にならなかったことが、なかったことになるわけではない。

bjonsのこの曲で語られるとても個人的なストーリーは、ともすればだれにもしられることがなかったのかもしれない。けれどもそれがひとたびだれかにわたされれば、ある人に気づかせ、またある人の懐にしみしみとはいりこみ、やわらかな希望や、悲しみへのあたたかい手あてになることがある。
鎮魂歌でもあって、それを歌う生きる人の声でもあろうこのストーリーは、これまで心をくばれていなかったようなことにおもいをいたす道標になり、そしてかならずしも自分の経験と一致したというわけではなくても、なにか波長のおなじ記憶や胸の内に散らばったものとひびきあう。

今泉さんと話していると、ほんとうにこの人にはいろいろなことを表からも裏からも見透かされるようだなという気もちになることがあるのだけれど、このたびも語り手は、目の前で起こっていることをつぶさにみつめ、それらを積みあげて想像力をはたらかせる思慮深さをもって、まなざしの先にあるものをみせてくれた。そしてバンドのアンサンブルはストーリーの体温をそのままに、ひとりひとりの音色がはっきりと際だち、音の鳴っていない余韻にさえもふくよかな響きをかんじるようで、5人の心くばりの賜物だとおもわされるのだ。

先日笹倉さんの配信ライブをみていたら、谷ぴょんさんが、最後に笹倉さんと人前で演奏したのは3月の督夫さんのライブだった、久しぶりだな、というようなことをいっていて、しばらくしまいこんでいた記憶にお湯をかけてふやかしていくような気もちになった。ライブがあったら、レコードが発売されていたら、という世界線にはもどれないけれど、こうして新曲をうけとり、心を揺さぶられるようになるともわからなかったわけで、おもいがけずたどりついた今を、うれしいものだとおもいたい。わたしたちはまた積みあげていくのだ。そこに想像力があれば、うしなったものも、みえないものでさえも、なかったことにはならないのだから。

bjons.bandcamp.com

最近のこと

家のなかで寝たり起きたりをくりかえすうち、日は高く、窓をあければそよそよと吹きこむ風もあっという間に湿っぽさをたたえた季節をむかえて、クローゼットのなかはいまだに時が止まっていても、ひとりでに動く、前にしかすすまぬ荷台に腰かけ、あるいは波から波へと乗りこなし、ここまでこられたのだという事実を、文字どおり身をもって感じている。

朝日のまぶしさで目を覚まし、夕暮れのすずしさに気づき、町ごと寝静まった夜の空に、駅を発った電車が線路を鳴らす音だけがこだまするのを聴きながら、からだのすみずみまでが休眠させていたするどさをとりもどしていくような日々にあって、わたしのこれまでの暮らしや考えの筋道がみえなくさせ、またはそもそもまったく心をくばれていなかったような、さまざまなことに想いをいたすほどに、こんこんと湧きでるような怒りやかなしみ、無力さ、呆れなどにさいなまれたこともあったけれど、それでもわたしの入れ物である体を、わたしで落ちつける気力と体力を養い、さらにいちだんとくっきりとした輪郭を得たような気さえしている。

ツイッターで現在地を変えると、トレンドの欄に表示される国内のあれやこれやのニュースに心を乱されなくなるときいてやってみたところ、ほんとうに胸が凪ぐようなおもいがした。はじめはいったこともない南の島、それから言葉を読めない地域、仕様の問題なのか、トレンド欄になにも表示されないことすらあった。わたしはいままで、いかにひとときの話題を見知っては、それにぶらさがる玉石混交の言葉を浴び、ひとしきり疲れていたのだろう。とにかく自分の心を守り、養うことを大切に、お化粧品や読書など気もちがうきうきとすることに時間をかけ、仕事は在宅勤務で通勤と同僚とのコミュニケーションのストレスを減らしている。体に水分がたまりやすい体質で、梅雨時はいつも背中に敷き布団くらいの大きさのぶよぶよしたものが覆いかぶさるような重々しい感覚があったのだけれど、幸いなことに今年はまだない。落ちついたらあおやぎさんとこで整体を受けようとおもっていたのだけれど、おもった以上にまだいける、なんなら体に力がはいるので、もうすこしこのままうまくいけるといいとおもう。

ほんとうにすきな化粧品2020【上半期編】

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気づかぬうちに梅雨いりし、日に日に風が湿っぽさをたたえるようになったことに驚いています。

自他ともに認めるコスメオタクのわたしであっても、この半期はだいすきなお化粧さえできないこともありましたが、ふたたび心地よく粧うよろこびをうけいれるようになった6月に、このごろのわたしにうるおいをあたえるお化粧品を紹介します。

選定基準

  • (なんとか)毎日使っていたもの
  • なくなったら買いたさないと困るもの
  • 使っていていい気もちになり、心がみたされるもの

【スキンケア】

FARMACY/Green Clean Makeup Meltaway Cleansing Balm

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宇壽山貴久子さんに教えていただいた「Beautylish」という海外コスメのECサイトで購入。もともと海外ブランドにあかるくなかったのですが、宇壽山さんのおすすめでCOLOURPOPをはじめコスメを個人輸入で買うようになり、また視野が広がりました。

このクレンジングバームは、Beautylishのタイムセール(宇壽山さんが教えてくれた)で買ったものです。
ひとことでいって、よく落ちる、ヌルつかない、スパチュラがしまえる。バームクレンジングにもとめたいことがすべて難なく叶えられています。洗いながした後はW洗顔していませんが、ほどよくしっとりし、肌がなめらかになります。

ほのかなライムのトップノートに、メイクになじませると花のような芳しさが広がるという洒落た香りもとてもすきです。
そして蓋をあけたところにスパチュラをしまえる内蓋がついていて、衛生面への気くばりも。FARMACYというブランド名のとおりナチュラルでクルーエルティフリーな成分にこだわっているのはいわずもがな、こういう小さいようでとても大切な配慮がほんとうに効いてくるとおもうのです。

WHOMEE/モイストボディクリーム

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ボディクリームってこれまでいくつか買ってきたけれど、そもそもなんのために塗っているのかあまりぴんときていないというのが正直なところでしたが、これは人生で出会ったボディクリームのなかでも、ほとんどはじめて、すごくいい!と体感できたものです。リピートしていて3本目になります。
お風呂あがりの濡れた肌に塗ってもヌルつかず、ベタつかず、香りがない。たしかに肌がふくふくと生きかえるような実感があります。

WHOMEEといえばわたしのフェイバリットブランドです。メイクアップアーティスト イガリシノブさんプロデュース、開発は「TVチャンピオン」の化粧品女王選手権で優勝した庄司麻美さん。なにをとってもおしゃれに決まるトレンド感と理論に裏づけされたセンスはもちろん、発色やテクスチャーなどのパフォーマンスもよくなかったことがなく、絶大の信頼と尊敬の念を抱いているブランドです。毎日かならずといっていいほど、なにかしらWHOMEEのアイテムを使っているくらいです。

そんななかスキンケアプロダクトの1アイテムとして発売されたボディクリーム。手にだすと黄色みをおびていて、美容成分には常在菌をととのえる効果が期待できるものも配合されているそう。
顔のスキンケアには力を入れていても体のほうは疎かになっている人にぜひこのクリームを使ってほしい、と庄司さんがYoutubeの動画で話すのをみて、これまでほおっておいた背中や脚の裏、おなかや腰まわりのケアをしようと使いはじめたところ、二の腕にできやすかったプツプツや背中のニキビができにくくなりました。そうかボディクリームを塗りつづけると、肌ってこんなに応えてくれるんだ、という発見があります。

こちらは香りがないのもいいところ。化粧品によっては香りがあるほうがきゅんとするものもありますが、全身にたっぷり塗るボディクリームとなると、体調などによっては無香料が心地よい時も。あえて香りはつけない質実剛健さと、たぶんこういう感覚をわかっているのであろう庄司さんの思慮深さに拍手を送りたいです。

【ベースメイク】

WHOMEE/モイストUVクリーム

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WHOMEEのスキンケアはいくつか使っていますが、そのなかでも毎日使っているのがこのUVクリーム。
紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)の日焼け止めが「白浮きする」「きしむ」「乾燥する」というのはもう過去の話なのだなとおもわされました。

とにかくみずみずしくて軽い。きしまないし乾かない、乳液を塗っているような感覚です。わたしの肌では、ほんのりトーンアップするくらいでほどよく明るさがでると感じました。
また、日焼け止め特有のにおいがまったくしないのもいいところ。多かれ少なかれ原料臭はするものですがそれさえもほとんどしないです。個人的に、紫外線吸収剤入りの日焼け止めは服につくと黄ばみの原因になるので首より下には塗らないのですが、これは顔も首も一気に使えるので気もちも楽です。これなら日焼け止めを塗るのが面倒な時でも使えるのでとても助けられています。
メイクをする時にはこの上にスムーサーを塗ると、テカりにくく、もちがよくなるとおもいます。

THREE/プリスティーンコンプレクションパウダーファンデーション

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マスクをするようになってからファンデーションを塗らなくなったとよく聞きますが、わたしもこの数ヶ月、リキッドのファンデーションを塗っていません。日焼け止めを塗り、フェイスパウダーの代わりに使っているのがこのパウダリーファンデです。
専用のブラシを寝かせて肌を撫でるようにつけると、素肌かな?とおもうような肌らしい質感を残しながら、なにも塗っていない肌よりも整えてくれます。

THREEのプロダクトってチークしかり、フォーミュラと、それをつけるツールの組み合わせの妙だなとおもうことが多いのですが、このファンデは特にパウダーの粒子が細かく、ツールによって塗布できる量がかなり変わるので、仕上がりも変わってくるとおもいます。
こちらは付属のスポンジやブラシもありますが、スポンジだとパウダーの粒子がつぶれて肌の上に均一に伸びていかない気が。毛が密集していないやわらかめのブラシで、圧をかけずに塗った時の仕上がりが好みです。

【メイクアップ】

N by Only Minerals/ミネラルソリッドチーク コンプリート 02、WHOMEE/マルチグロウスティック w rose

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青みのチークをさすと、「クールな血色感」をだせるというのが上半期の発見でした。
カラーメイクの主役がリップになってからチークは控えめになることが多かったのですが、たとえば赤リップをつけるとき、チークなしというのは自信がないし、でも同じような赤やコーラル系のチークをあわせると、どことなくほてったような暑苦しい顔になってしまうというのが悩みだったのです。

そんなときにみつけたこちらのチークは、どちらも青みをふくんでいて、肌にのせるとたしかに血色感はでているのに、ぽっと赤みがでず、すんとしてくれるのがいいところ。青みが肌の黄みをカバーして、赤みがつよくでてくるのを防いでいるのだとおもいます。

アイメイクとリップをつないでくれる名脇役で、他のパーツを邪魔しないのに、きちんと自らの存在感もしめしてくれる。カラーメイクは1点盛りから2点、3点盛ってよいという自由さのなかで、アイメイクなりリップなりとチークがお互いにひきたてあうというネオなバランスを簡単に実現できるアイテムだとおもいます。

ETVOS/ミネラルクレヨンルージュ フィグブラウン、LUNASOL/シームレスマットリップス 10

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マットリップがだいすきです。唇に染みこむような質感のものが特にすき。この2つは特に染みこみ感が好みで、よく使っていました。

ETVOSのは人気色で、バラエティショップを何軒かまわってやっとみつけたもの。たしか開店したばかりの@cosme TOKYOにありました。そしてたぶん同じ日に、LUNASOLのほうも買ったとおもいます。
ブラウンリップってとても流行っていますが、個人的にシックな色はシックな質感でつけたいという好みがあって、それにとてもマッチしたのがこの2つ。色味はどちらも赤みのあるブラウンで、裏側に葡萄色のような冴えた青みをわずかに感じます。この青みが洒落のエッセンスなのだろうなとおもいながら、それでいて部屋着のリラックスした素材にも合い、マスクにもつきにくく、きっと外へでるときにもつけられるブラウンは、これからもたくさん手にとるのだろうとおもいます。

エチュードハウス/ベターリップトーク ベルベット BE105

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マットリップがだいすきです(2回め)。こちらはふんわりパウダリー質感で、唇がマシュマロの表面みたいにすべすべになります。

韓国の化粧品って、コーラルの色味で「あ、韓国コスメっぽいな」と感じることがありませんか?このBE105はまさに、韓国っぽいくすみコーラル。MLBBカラーです。くすみ色がはいっていてひとひねりあり、無難にならず、唇をふっくらみせてくれて、よく使っていました。

エチュードのリップスティックは、似たようなカラーでもツヤ/マットや青み/黄みのバランスで細かくふりわけられていて、何色も集めたくなってしまいます。特にコーラル系や、黄みの強いオレンジ、彩度の高いレッド、くすみベージュなどお得意の色出しがやっぱりかわいいです。次は黄みのオレンジを試したいなとおもっています。

COLOURPOP/Give it to me straight

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アイパレットから長らく離れていましたが、このパレットはほんとうに試してみてよかったです。こちらは「COLOURPOP」(通称カラポ)というL.A.のブランドで、日本からはECサイト個人輸入ができます。

宇壽山さんがカラポのアイシャドウをいくつかもっていて、そのなかの「Super Shock Shadow」という単色のアイシャドウがほしくなってECサイトをみていたら、このパレットも買っていたという...。
単色アイシャドウは山ほどもっているのでもうパレットは買わないとおもっていたのですが、このパレットはシマーとマットの両方のテクスチャーがあるので組み合わせのバリエーションも楽しめるし、しかも色はウォームブラウンがベースなのでどれも使いやすいというのがとてもいいです。

カラポのプロダクトには、日本では手にはいらないような、ラメやグリッターがたっぷり使われているものもあり、それはそれでとてもかわいいのだけれど、こちらのパレットはいい意味で普段使いしやすく、他の単色シャドウやパレットの中の色とも合わせ使いしやすいのが予想以上に使い勝手がよくて、ポテンシャルの高さに感じいっています。発色がいいので、夏はリップをグロスにして軽めに仕上げるメイクに使いたいです。


昨年のベストコスメ(ベースメイク編で力尽きた)はこちら。
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bjons『皮肉屋』のこと

bjonsの宅録新曲『皮肉屋』、みなさん聴かれましたか。なかなかに何をしても滅入る、怒りやしんどさが上塗りされていくような日々にあって、だいすきなバンドが活動をつづけている、そのことだけでうれしい。暗がりの灯火であるなあとおもう。

bandcampで配信されたこの曲、歌詞は公開されていなかったので聴きながらiPhoneのメモに書きおこした。“君は嘘つき とても好きになれない”とはじまる、けして長くはない歌詞の全体を見渡して、これを書かれた今泉さんのまなざしがこれまでにないほど現実にまっすぐむけられていて、そしてまたわたしたちもおなじようなものを近いところに立って目撃している、と確信した。これまでのbjonsで歌われてきた、気づくと夢のなかにいるような、現実からふわりと浮いたような情景、彼の頭のなかにしか再現できなくて、他の人がおなじように想像しようにもできないような景色、そういう歌詞世界には一線を画していて、もうこれは彼のまなざしの先にあって、メンバーにもきっとみえているもの、そしてbjonsを慕い、この曲を聴く人にもみえるものがたしかにある。そうとしかおもえずに、今日までこの曲を聴いている。


未知のウイルスと遭遇してはや3ヶ月近くがたち、生命をも脅かす存在への恐れにかわって、リーダーシップに欠け、思慮に乏しく、民衆には内実のともなわない“座りのいい言葉”ばかりを投げかける為政者への不満が高まっている。この曲がつくられたであろう3月末や4月のはじめごろでも、どうにもできないやるせなさや無力さ、ほとんど脊椎反射的に湧きあがる怒りにふりまわされ、それらを発散することもできず気の滅入る日々を送っていた人はすくなくなかっただろうし、今でもその状況は続いている。Twitterのタイムラインでは日ごろおだやかな友人たちが怒りを露わにし、政権批判のツイートをリツイートする。わたし自身もほとんどはじめてといっていいほどに感情的なツイートを発していたし、もはや批評のないメディアによる「広報」よりも、判断のともなった情報を得たいとはおもってタイムラインを流しみていたのだけれど、切っ先鋭い言葉を浴びるたび、それが自分にむけられたものではなくても、身も心も傷つけられるようなおもいがして、SNSを離れたい、あるいは実際に離れた、という人さえいるはずだ。自らの身を守るために発する言葉が諸刃の剣にもなりえるというのはかなしいことなのだけれど、しかしながらそうして行動をおこすのは自然なことで、想像力のない相手に伝えるために取らなければならない手段で、生活を守るためにあげなければならない声で、至極まっとうなことだともおもう。

『皮肉屋』の歌詞をふりかえると、そんなやり場のない怒りややるせなさの充満する空気が真空パックされているのに気づく。音もなくあらわれた脅威が、あるいは恥を恥ともおもわない政治家たちの姿が“顔にひっついて消えなく”なり、かわらずに移ろうはずだった日常を蝕んでいく。画面ごしに顔をあわせても、埋めあわせられない社会的な距離をありありとかんじ、“誰かと誰かが折り重なっている”ことが濃厚接触なる行為として自粛を要請される。春を目前にした曲がり角の先に潜む、残酷ともおもえる世界から目をそらさずに、あたたかみのあるフォーキーな音色の経糸に、やるせなくもしなやかな素振りで皮肉のこもった言葉の数々を交わらせ、すぐそこにある「今」を編みあげた。


それでもってこれを、もともとライブに出演する予定だった日に投下する、このバンドの思慮深さとfolksへの目配せよ。骨の髄まで響いたよ、もちろん素直な意味で。

bjons.bandcamp.com

在宅勤務メイク【その①】4月6日(月)〜10日(金)

先週から在宅勤務をはじめました。はじめは日焼け止めだけ塗ったり、打ちあわせのある日には眉だけ描いたりしていたのだけれど飽きたらなくなってきて、在宅勤務2週目にして、どうせなら部屋着にメイク、とびきりにばっちりメイク、誰にみせるわけでもないけれど、わたしがわたしでたのしいメイクを、まずは5日間やってみました。


1日目 4月6日(月)
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あたらしく買ったCOLOURPOPのパレットから赤みのあるブラウン、リップにWHOMEEのボルドーをあわせて、赤みのこっくりしたカラーでまとめてみました。くすみ色が多いので、顔全体がくすんだかんじにみえないよう、ベースはラロッシュポゼのピンクのトーンアップUVに、WHOMEEのこれもピンクのコントロールカラー。夕方にリップの色を変えたくなり、rom&ndの赤をつけました。

  1. ラロッシュポゼのUVを全顔に塗り、目の下の三角ゾーン、小鼻の横、口角の下にWHOMEEのコントロールカラーを重ねて、ベースをあかるく整える。
  2. WHOMEEのボルドーリップを唇全体にぐりぐりと塗る。
  3. COLOURPOPのパレットの赤みのあるブラウンで上下まぶたを囲む。
  4. WHOMEEのパレットのピンクで上下まぶたのキワを囲む。
  5. 眉毛をスクリューブラシでとかし、WHOMEEのアイブロウパレットのピンクをベースにのせたあと、左右のブラウンをブレンドして全体にのせ、最後にスクリューブラシでもう一度眉毛をととのえる。
  6. WHOMEEのパール入り赤みブラウンチークを目の下の三角ゾーンにふわっとのせ、顔の中心をぐっとしめる。顔の中心にパーツが寄って見え、輪郭部分の余白が気にならなくなる。
  7. 昼食を食べてリップが落ちたので、rom&ndの赤リップを重ねる。


2日目 4月7日(火)
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取引先とZOOMで会議があったので、画面越しにも伝わる、ぱんとあかるい赤リップを。ポルジョのりんご飴みたいにクリアなレッド、アディクションの朱赤、夕方にはWHOMEEの血色レッドを重ねました。
アイメイクはカラポの左のパレットから、オレンジのマットをベースに、右のパレットの赤みの強いブラウンを重ね、UZUのカッパーマスカラをまつげに塗って、赤みで目の形を丸く膨らませました。眉毛にもパウダーの上から同じマスカラを重ねて、眉頭をツヤッと立たせる。ベースはWHOMEEのブルーのコントロールカラーで、赤リップの映える冷えた肌に。リップとアイメイクがツヤツヤきらきらだったので、チークはアディクションのマットなブラウンで控え目に血色感をオン&頬を低く見せてリップとアイメイクを目立たせる作戦。

  1. ラロッシュポゼのUVを全顔に塗り、目の下の三角ゾーン、小鼻の横、口角の下にWHOMEEのブルーのコントロールカラーをのせる。
  2. ポルジョの赤リップを唇全体に塗り、アディクションの朱赤を指にとって中心にのみ重ねる。
  3. カラポの左のパレットのオレンジを上下まぶたに広げ、右のパレットの赤みの強いブラウンを上まぶたの中心と、下まぶたの黒目の下のまつげのキワに埋めこむようにつける。
  4. UZUのカッパーマスカラを上下まつげに塗る。根元にたっぷりつけ、まつげはあげずに庇のように前にむけて伸ばす。
  5. WHOMEEのアイブロウパレットで眉を描き、UZUのマスカラでコッパーニュアンスとパールのツヤを足しながら、眉頭の毛を立てる。
  6. アディクションのマットなブラウンチークを頬に広くのせ、頬のふくらみを低くみせると、リップとアイメイクの立体感やボリュームが際立つ。
  7. 最後にWHOMEEのちっちゃ顔シャドウで髪の生え際にシェードを入れる。赤みのポイントメイクで肌があかるくみえると、輪郭が膨張してみえやすいので、シェードでぐっと引きしめるとバランスがとりやすい。
  8. リップが落ちてきたらWHOMEEの血色レッドを足す。


3日目 4月8日(水)
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NARSのDamageという紫リップを主役に、紫とボルドーでまとめました。買ってから顔色がしずんでしまいそうでなかなか使えていなかったけど、あかるめのベースにWHOMEEのラベンダーカラーのきらきらチークをつけたら、このリップもうまく似合って、使いこなしかたがわかった。ブラウンベースにボルドーで囲ったアイメイクに、眉にもボルドーをのせました。

  1. ベースは昨日と同じ。コントロールカラーはパープル。
  2. NARSの紫リップを唇全体に塗る。
  3. WHOMEEのブラウンを上下まぶたにベースカラーとしてしこみ、カラポの赤茶を重ねる。上下まぶたのキワを同じパレットのボルドーで囲む。
  4. 眉を描き、アディクションのShanghai Breakfastを全体に重ねてボルドーニュアンスに。
  5. WHOMEEのラベンダーカラーのチークを目の下の三角ゾーンに塗り、色味とあかるさを足す。


4日目 4月9日(木)f:id:slglssss:20200411190049j:plain
コーラルメイクがしたい!全体は同じ色味にまとめながら、質感のちがいをたのしみたいです。アイメイクはきらきら、チークはふわっと、リップはシルキーマット。

  1. ベースは昨日と同じ。コーラルカラーは顔全体がふっくらみえるので、ベースはすっきりと。
  2. エチュードハウス ベターリップトークベルベットのコーラルカラーを唇全体にふっくらと輪郭をとりながら塗る。黄みと青みのバランスのよさ、シルキーでするすると塗れるテクスチャーでがすばらしい。おしゃれにまとえるコーラルカラー。
  3. カラポのパレットにあるブラウンで上下まぶたを囲む。アディクションのタイニーシェルの色味を少しつよくしたような色で、あたたかみがあってかわいい。下まぶたの真ん中にだけジェリーマッチシャドウのきらきらをつけて。ピンクブラウンのマスカラでまつげの印象をくっきりとさせると、ラメのきらきらが瞳にはいって、白目がきれいにみえる。
  4. チークはSHISEIDO。ムースのようなテクスチャーで、肌にのせるとさらさらとのばしやすい。やや彩度低めのオレンジだから元気はつらつにならず、渋い干し杏子のような色味。
  5. 眉を描いて顔全体をひきしめる。


5日目 4月10日(金)
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NARSの青みミルキーピンクリップ2つを重ねて、目元には血色感のあるオレンジをもってきてみました。まつげには遊び心でフォレストグリーンをのせて、カラーで遊ぶメイクになりました。

  1. ベースは昨日と同じ。青みリップに合わせてベースで肌のくすみをはらっておく。
  2. 青みピンクリップを塗る。まずペンシルタイプの方で輪郭をとって塗りつぶし、上からリップスティックを指にとって、中央にボリュームが出るように塗る。
  3. WHOMEEの右のパレットのオレンジを上下まぶたにのせ、中央に左のパレットのピンクを重ねてアイホールに丸みを出す。
  4. グリーンのマスカラの濃い色の方を上まつげに塗る。
  5. チークも2色づかい。NARSのベージュピンクを広くベースにのせたあと、頬の中央にポルジョのピンクをのせる。このポルジョの限定品、レコードのデザインをしていてかわいいのだけど、このかわいさとアイデアをわかちあえる人がいなくて、いまのところわたしひとりで抱きしめている。
  6. 眉を描く。アイブロウパレットの中央のピンクをベースに仕込み、左右のブラウンを混ぜてのせる。

来週につづく。

週末のこと

ピアノの先生が替わってからちょうど1年になる。かわらずフィンランドの曲をやっていて、いまはシベリウスの『樅の木』だ。
ピアノ教室は2週間休講になり、そのあいだに練習していたら、なかなか弾けなかった中間部のアルぺジオも要領を得てきた。
シベリウスといいメリカントといいフィンランドの曲は、厳しい寒さ、降り積もる雪、鬱蒼とした針葉樹の森、切りたったフィヨルドや凍てつく湖といった自然の雄大さと、それのあわせもつ厳しさをかんじさせるとともに、ショパンへのあこがれをたたえたあまく優美なメロディがたまらなくすばらしい。日本ではあまりしられていない作曲家だとおもうけれど、前の先生がおしえてくれたのはとてもよい機会だった。年末に発表会が決まっているから、それまで何曲か練習するけれど、この曲も演奏する候補にいれておきたい。

暖かくなったことだし春物の服を買いにいきたいけれど、こんな状況だから外出するのもおっくうになり、通販でズボンとスウェットとバッグを買った。いってみたい古着屋があるのだけれど仕事の帰りにはなかなか足が向かず、けれどいちどいってみたら、すきなお店なのかそうでないのかわかるとおもうから、今週こそはいってみようとおもう。
ずいぶん前にパルコで買った古着の右腕にもや〜とシミをみつけていて(クローゼットにかけたときに気づいてしまった)、きょうやっとシミ抜きをした。酸素系漂白剤と重曹を3:1の割合で混ぜ、食器用洗剤を3滴たらす。襟につく日焼け止めを落とすのに覚えたシミ抜き剤のつくり方で、古着のシミにつけてみたところきちんと落ちて、どこがシミだったのかもわからないほどになった。中性洗剤で全体を押し洗いし、脱水にかけて干す。鮮やかな水色の織り生地なので色が抜けないか心配だったけれど、生地へのダメージはなく、気もちへのダメージもなかった。古着は大学生のときにおぼえたのだけれど、シミやほつれなどに気づかず買ってしまったときの「しまった感」は何度経験してもどうにも後味のわるいもので、できれば味わいたくない気もちなので、最近はシミ抜きやボタンつけ、縫い目飛びくらいならリペアするようにしている。ああこれはシミがあるからなあとクローゼットで眠らせるのはもったいないし、なにせ買うときの、ああこれはかわいい着たいとときめいたみずみずしさを守りたい。なるべく服にはいい思い出をおぼえさせておいて、それを着るときさえもいい思い出になるようにしたい。

キャベツ、にんじんを千切り、新たまねぎをスライスし、ツナ1缶と交互にタッパに詰め、オリーブオイルと酢、塩を混ぜたフレンチドレッシングを上からかけてフタをしておいたもの、ドレッシングがしみてきたころのサラダが常にタッパの中でできているようなかんじでおいしい。しばらくつくりおきしたい。